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Jacques Vallee の TEDx 講演 : 情報物理学の探求が不可欠

· 約24分

要旨

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情報は万物を司る

ジャック・ヴァレ氏のTEDx講演は、現代物理学の2つの主要理論、‌‌一般相対性理論と量子力学の間の根本的な矛盾‌‌について論じています。彼は、これらの理論がエネルギーの物理学に焦点を当てており、‌‌情報という「失われた姉妹」を見落としている‌‌と主張しています。

ヴァレ氏は、‌‌エネルギーと情報は同じコインの両面‌‌であり、時間の本質や‌‌共時性のような説明されていない現象を理解するためには、情報の物理学を探求することが不可欠である‌‌と提案しています。彼は、‌‌将来の物理学は次元を文化的産物とみなし、意識が空間と時間の経験を生み出す‌‌と認識すべきだと結論付けています。

目次

  1. 要旨
  2. 全体俯瞰
    1. 1. 現代物理学の「汚い秘密」と「失われた妹」
    2. 2. マクスウェルの悪魔と情報
    3. 3. ヴァレ氏の物理学からの脱落理由
    4. 4. シンクロニシティと情報物理学
    5. 6. 2061年の新しい物理学への提言
  3. 時系列
  4. 主要関係者
  5. 情報源
    1. 動画概要欄

全体俯瞰

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ジャック・ヴァレ「万物の理論(その他)」ブリーフィング資料

このブリーフィング資料は、ジャック・ヴァレ氏のTEDxBrusselsでの講演「A Theory of Everything (else)...」の主要なテーマ、重要なアイデア、および事実をレビューし、必要に応じて原文からの引用を含みます。ヴァレ氏は、現在の物理学が抱える課題を指摘し、情報物理学という「失われた妹」の探求を提案しています。

1. 現代物理学の「汚い秘密」と「失われた妹」

ヴァレ氏は、現代物理学の2つの主要な成功理論、すなわち「一般相対性理論」と「量子力学」が、それぞれ自身の領域では非常にうまく機能するものの、「我々の世界のほとんどの場所、特に重力に関しては激しく矛盾している」という事実を指摘します。現在の物理学者は、超弦理論などの「万物の理論」を開発し、これら2つの理論を調和させようとしています。

しかし、ヴァレ氏が指摘する「もう一つの汚い秘密」は、この探求において「失われた子供」、すなわち「物理学の小さな妹である情報物理学」が置き去りにされていることです。

  • エネルギー物理学 vs. 情報物理学:大学で教えられる物理学は「エネルギー物理学」であり、レーザー、色、粒子、質量、場、加速度、慣性などに関わるものです。
  • ヴァレ氏は、情報とエネルギーは「同じコインの裏表」であると物理学で教えられるにもかかわらず、情報物理学が教えられてこなかったことを強調します。

2. マクスウェルの悪魔と情報

ヴァレ氏は、19世紀のジェームズ・マクスウェルによる熱力学の議論に言及し、熱い液体と冷たい液体が混ざり合い、平均的な温度に達するという法則について説明します。この混合を防ぐ唯一の方法は、マクスウェルの悪魔が分子を分離することです。

レオ・ジラードは1929年、この考えを一歩進め、「悪魔がこれを実行するためには、どの分子が熱く、どの分子が冷たいかについての情報が必要である」と述べました。悪魔がこの情報を持っていれば、2つの液体を分離したままにし、平均温度に達するのを防ぐことができます。これは「システム内にエネルギーと同じだけの情報が存在し、情報とエネルギーが事実上同じコインの裏表である」ことを意味します。

ヴァレ氏は、エネルギー物理学が分子、原子、基本的な力、質量、エントロピー、場、空間次元(X、Y、Z)および時間(T)、運動量、慣性、速度などについて論じる一方で、情報物理学の側では「同様の概念について語ることはない」と述べ、「今後50年間で私たちはそうするだろう」と予測します。

3. ヴァレ氏の物理学からの脱落理由

ヴァレ氏は自身が物理学から「脱落した」と告白し、その理由として以下の3点を挙げます。

  • 時間の次元性: ヴァレ氏は、X、Y、Zといった空間次元と同じように時間を次元として扱うこと、「方程式に時間(t)の前に虚数(i)を置く」という説明を「決して理解できなかった」と述べています。彼は「X方向には行ったり来たりできるのに、時間の中ではそれが許されない」と指摘し、「私たちは時間がどのように過ぎていくかについては非常にうまく語れるが、なぜ時間が過ぎていくのかは知らない」と疑問を呈します。
  • 物の落下: 同様に、「私たちは物がどのように落下するかについては非常にうまく語れるが、なぜ落下するのかは知らない」と述べ、これも大学の物理学では教えられない(説明できない)ことであると強調します。
  • 素粒子: ヴァレ氏は、原子内の粒子、その粒子内の粒子、さらにそのサブ粒子の概念が「中世の天文学における周転円の周転円の周転円」を思わせると批判します。彼は、「そうし続ければすべてうまくいくが、それは現実の仕組みではない」と述べ、このアプローチが現実を適切に記述していないと感じていました。

これらの理由から、ヴァレ氏は「失われた妹」である情報物理学の探求へと進路を変えました。

4. シンクロニシティと情報物理学

ヴァレ氏は、情報物理学の探求が「時間の性質」や「私たちの生活で起こる偶然の一致」といった根本的な問いにつながると考えます。彼は個人的な経験として、以下の2つの印象的な偶然の一致を挙げます。

  • TWA 800便事故と小説の記述: 1996年7月20日、ヴァレ氏の友人があるフランス語の小説をランダムに開いて読んだ箇所が、「ケネディ空港で離陸後に爆発したボーイング機。貨物室の爆弾。死者132人」という内容でした。これは、TWA 800便がケネディ空港から離陸後に大西洋上で爆発し、多くの犠牲者を出した事故の「3日後」の出来事でした。ヴァレ氏はこれを「予知ではない」としつつも、大きな衝撃を受けたと述べています。
  • メルキゼデクのタクシー運転手: 1970年代、ヴァレ氏はカルト集団、特に「メルキゼデク・カルト」に懸念を抱いていました。ある日、ロサンゼルスでタクシーに乗った際、レシートにドライバーの署名が「Meleded」と書かれていました。これは、ヴァレ氏にとって「何かが私とコミュニケーションを取っているようだ」と感じさせる出来事でした。

ヴァレ氏は、カール・ユングのような思想家が「シンクロニシティ」(意味のある偶然の一致)を深く考察してきたことに触れ、ユングが自身に起こった偶然の一致の目録を作成したことを紹介します。ユングは、患者が自殺した状況を予兆する夢を見た後に電報を受け取ったという出来事を経験しています。

ヴァレ氏は、これらの偶然の一致の一部は「ユングが言ったように、強力な意味を持つ」が、「他のものは全く意味を持たない。それは世界が組織されている方法にすぎない」と結論付けています。

  1. 情報の格納方法の進化と次元の概念 ヴァレ氏は、現代のデジタル情報処理の例を挙げて、次元の概念がもはや適切ではない可能性を示唆します。
  • 伝統的な図書館: 「小さな図書館」では、棚、垂直のスタックがあり、X、Y、Zといった座標を使って本を管理できます。新しい本が来ても、既存の本をずらして挿入できます。
  • 現代のデジタルライブラリ(Google、Facebook、Twitter): 「現代の図書館」では、このような次元を使うことはできません。情報は「無限の仮想メモリ」に統計的に散りばめられ、ハッシュコードによって検索されます。結果は統計的であり、意味のあるものもあれば、そうでないものもあります。

ヴァレ氏は、この現代の情報処理方法が「今や主流の物理学になり始めている」と主張します。フランスのCNRS物理学者であるフィリップ・ギユモ博士は、著書『l'a route du temps(時間の道)』の中で、「シンクロニシティは二重の因果律、または未来の出来事の原因となる意図が、現在の出来事の未来の原因となることによって引き起こされる」と論じています。

6. 2061年の新しい物理学への提言

ヴァレ氏は、2061年の新しい物理学に必要な4つの要件を提案します。

  • 宇宙を情報構造のメタレルムのサブシステムとして認識する: 「それはすべて情報構造であり、すべてが同時発生的である」。ヴァレ氏は、これを現在の粗雑なデータベース技術のアナロジーとして使うのではなく、「もっと大きく、もっと複雑なもの」であると述べています。
  • 次元を文化的産物として認識する: 私たちは「小さな図書館」を持ち、X、Y、Zが必要なので次元を作成しますが、「物理学にはそれらを必要としない」ため、将来の物理学では「次元の概念を廃止すべきである」と主張します。
  • 現在は過剰に決定されている: ヴァレ氏は、ギユモ氏の言葉を引用し、「現在」は「過去から決定され、未来から決定される」と述べます。
  • 意識が空間と時間の印象を生成する: 「時空とは、この情報の世界で意識が連想をたどり、空間と時間の幻想を作り出すことである」とヴァレ氏は結論付けます。

最後に、ヴァレ氏は、物理学者がエネルギー物理学の探求を続けるべきだとしつつ、「失われた妹」である情報物理学の探求に進むことを提案して講演を締めくくっています。

時系列

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  • 19世紀:

    • ジェームズ・マクスウェルが熱力学を議論: 熱い液体と冷たい液体を混ぜると平均温度になるという概念を提示。マクスウェルの悪魔という思考実験で、悪魔が分子を分離すれば平均温度に達しない可能性を示唆。
  • 1929年:

    • レオ・シラードがマクスウェルの悪魔の概念を拡張: 悪魔が分子を分離するためには情報が必要であり、情報とエネルギーは同じコインの両面であると提唱。
  • 中世:

    • 天文学におけるエピサイクル: 惑星の運動を説明するためにエピサイクルのエピサイクルという複雑なモデルが用いられる。語り手はこれを現代物理学の素粒子モデルに重ね合わせ、現実的ではないと批判的に言及。
  • 15世紀 - フィチーノの日記: フィチーノが空の精霊(elementals)を召喚し、宇宙の性質について問いかける。精霊たちは宇宙が一度きり創造されたという説と、絶えず創造されているという説で意見が分かれたとされる。

  • 20世紀半ば以降:

    • 量子力学の発展: W.パウリ、C.ユングなどが物理学の「失われた姉妹」(情報の物理学)を探求し始める。
    • スタンフォード研究所での超心理学研究: 遠隔視プログラムが実施され、ユリ・ゲラーも参加。語り手もこのプログラムの一部であった。
    • 語り手の経験(1970年代): カルト集団と関連付けられるメルキゼデクの像に遭遇するタクシー運転手との偶然の一致を経験。この出来事をきっかけに偶然の一致の意味について探求を始める。
  • 1996年7月20日:

    • 語り手の個人的な偶然の一致: サンフランシスコ北の家で友人と夕食中、友人の依頼で開いたフランス語の小説に、3日前に起こったTWA800便墜落事故を予見するような記述を発見し、衝撃を受ける。
  • 現代(講演時):

    • グーグルの情報処理: 毎分35時間の動画がYouTubeにアップロードされるなど、膨大な情報が統計的に処理されている現状を指摘。
    • ギルモー博士の二重因果律説: フランスのCNRS物理学者であるフィリップ・ギルモーが最新の著書で、シンクロニシティは二重因果律によって引き起こされ、未来の意図が現在の効果の原因となると提唱。これは主流物理学になりつつあると語り手は述べる。
  • 2061年(未来への提言):

    • 新しい物理学の要件:
    • 宇宙を情報構造のメタ領域のサブシステムとして認識する。
    • 次元を文化的構築物として認識し、物理学から排除する。
    • 現在は過去と未来によって過剰決定されていると認識する。
    • 意識が空間と時間の印象を生み出していると認識する。

主要関係者

AI
  • ジャック・ヴァレ(Jacques Vallée):

    • このTEDx講演の発表者。
    • 物理学の博士号を持つが、時間の次元性、重力の原因、素粒子の概念に疑問を感じて物理学を離れた。
    • 物理学の「失われた姉妹」、すなわち情報の物理学の探求を提唱している。
    • 個人的な偶然の一致の経験(TWA800便事故やメルキゼデク関連)を語り、その意味を探求している。
    • スタンフォード研究所の遠隔視プログラムにも参加していた。
  • ジェームズ・マクスウェル(James Maxwell):

    • 19世紀の物理学者。
    • 熱力学を議論し、「マクスウェルの悪魔」という思考実験を提唱した。
  • レオ・シラード(Leo Szilard):

    • アインシュタインの同僚。
    • 1929年にマクスウェルの悪魔の概念をさらに発展させ、悪魔が機能するためには情報が必要であり、情報とエネルギーが同じコインの両面であると主張した。
  • W.パウリ(W. Pauli):

    • 量子力学の創始者の一人。
    • カール・ユングと広範な書簡を交わし、物理学の「失われた姉妹」を探求していた人物として挙げられる。
  • カール・ユング(Carl Jung):

    • 有名な心理学者。
    • パウリとの広範な書簡があり、シンクロニシティ(意味のある偶然の一致)の概念を提唱した。
    • 自身に起こった多くの偶然の一致(患者の自殺と頭への感覚の同期など)を記録し、その意味を探求した。
  • ポール・カメラー(Paul Kammerer):

    • (言及のみ)シンクロニシティや情報の物理学を探求した人物として挙げられる。
  • アーサー・ケストラー(Arthur Koestler):

    • (言及のみ)シンクロニシティや情報の物理学を探求した人物として挙げられる。
  • デビッド・ボーム(David Bohm):

    • (言及のみ)シンクロニシティや情報の物理学を探求した人物として挙げられる。
  • マックス・フェルマー(Max Verman):

    • (言及のみ)シンクロニシティや情報の物理学を探求した人物として挙げられる。
  • フィリップ・ギルモー(Philippe Guillemant):

    • フランスのCNRS(国立科学研究センター)の物理学者。
    • 最新の著書『時の道(La route du temps)』で、シンクロニシティは二重因果律によって引き起こされ、未来の意図が現在の効果の原因となると主張している。
  • ランダウ(Landau):

    • (言及のみ)シンクロニシティや情報の物理学を探求した人物として挙げられる。
  • セス・ロイド(Seth Lloyd):

    • (言及のみ)シンクロニシティや情報の物理学を探求した人物として挙げられる。
  • フィチーノ(Ficino):

    • 15世紀の人物。
    • 日記に空の精霊を召喚し、宇宙の性質について議論したと記されている。
  • ルネ・バレル(René Bairel):

    • 語り手の妻が棚から取ったフランス語の小説『ラ・ロード・セザール』の著者。この小説にはTWA800便事故を予見するような記述があった。
  • ユリ・ゲラー(Uri Geller):

    • スタンフォード研究所の超心理学プログラムに参加した人物。
    • 地球外生命体と「フーバー(Hoover)」というプラットフォームを介して通信していると考えており、それが研究室での彼の能力を可能にしていると主張した。

情報源

動画(16:56)

TEDxBrussels - Jacques Vallée - A Theory of Everything (else)...

https://www.youtube.com/watch?v=S9pR0gfil_0

動画概要欄

261,700 views Nov 24, 2011

(2025-09-30)