Jacob W. Glazier, PhD : デリダの憑在論を超心理学に接続させる試み
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前置き+コメント
Jacob W. Glazier が、デリダ哲学のデリダの憑在論を超心理学に適用しようとしている動画を AI(NotebookLM) で整理した。
Jacob W. Glazier の試みは、私には哲学風の装いを纏ったタワゴトに聞こえる。つまり言葉のお遊びに終始し、内実がない。ついでに言えば、デリダの脱構築は中途半端でヌルい(*1)ので私は評価しないし、デリダを持ち上げる連中が漂わせている独特の臭みも好みではない。
(*1)
中途半端でヌルいから、「強力なツールとして、特にフェミニスト理論家、クィア理論家、批判的人種理論家たちによって重要視され、応用されてき」た。
言い換えれば、こういうレベルの応用のされ方止まりの思想だったという事。
脱構築が本物なら、「脱構築という考え方それ自体」も脱構築の対象になるが、それには失敗しているように見受ける。デリダ本人もその失敗の言い逃れをあれこれしているが、説得力に欠ける。デリダも「正義」を特別扱いしているようでは…。
要旨
このテキストは、心理学者のジェフリー・ミシュラブがジャコブ・W・グレイザーをゲストに迎え、哲学者ジャック・デリダの思想と超心理学の接点を探る対談を記録したものです。
両者は、デリダが提唱した「亡霊論(ホントロジー)」という概念を用い、資本主義や権力構造がいかに目に見えない存在として社会を支配し続けているかを考察しています。また、マルクス主義の批判的精神や脱構築の手法を通じて、西洋的な知の枠組みが排除してきた超常現象やマイノリティの視点を再評価することの重要性が語られています。
全体として、存在と非存在の間に漂う「スペクター(亡霊)」というメタファーが、現代の政治、時間、そして精神世界の理解にどう貢献するかを紐解いています。
最終的に、伝統的な学術的権威を超え、多様な経験や知性に心を開く「新国際連盟」的な姿勢の必要性を説く内容となっています。
目次
- 前置き+コメント
- 要旨
- 哲学的亡霊、憑依、そして悪魔祓い:ジャック・デリダの思想に関するブリーフィング
- ジャック・デリダ主要用語解説
- ジャック・デリダの「脱構築」入門:隠された前提を読み解く
- デリダの憑在論 vs. 伝統的(ハイデガー的)存在論:比較分析
- ジャック・デリダ『マルクスの亡霊』における哲学的探求:憑在論、メシアニズム、そしてグローバル資本主義の亡霊
- ジャック・デリダの哲学
- 『マルクスの亡霊たち』
- 超心理学との接点
- 社会的・文化的文脈
- 情報源
哲学的亡霊、憑依、そして悪魔祓い:ジャック・デリダの思想に関するブリーフィング
要旨
このブリーフィングは、ジェフリー・ミシュラブとジェイコブ・W・グレイザーの対談に基づき、フランスの哲学者ジャック・デリダが「亡霊」「憑依」「悪魔祓い」といった超心理学的な概念を、いかにして精緻な哲学的・社会批判的ツールとして用いたかを分析するものである。対談の核心は、デリダの思想が現代の政治、経済、そして知識のあり方を理解するための強力なレンズを提供し続けているという点にある。
主要な論点は以下の通りである:
- 「幽霊論(Hauntology)」の提唱:デリダは、伝統的な「存在論(Ontology)」、すなわち「何が存在するか」を問う学問に代わるものとして「幽霊論」を提唱した。これは、あらゆる「現前(presence)」には、必ず「不在の現前(absent presence)」、すなわち亡霊が憑依しているという考え方である。この亡霊は、過去の記憶、未来への期待、あるいは抑圧された他者性を表し、現在の安定性を常に脅かす存在として機能する。
- 資本主義批判の再活性化:デリダは著書『マルクスの亡霊たち』において、ソ連崩壊後「共産主義は死んだ」と宣言された時代に、マルクス主義の資本主義批判という「亡霊」が依然として、あるいはこれまで以上に強力に世界に憑依していると論じた。彼は、国境を持たず、法にも縛られないグローバル資本主義のシステムそのものを、惑星を蝕む亡霊的な力として捉えた。
- 悪魔祓いと召喚の力学:幽霊論は「悪魔祓い(exorcism)」と「召喚(conjuration)」という二重の運動によって特徴づけられる。伝統的な存在論や権力構造は、異質なもの(亡霊)を「悪魔祓い」によって排除しようと試みる。しかし、その排除行為自体が亡霊を「召喚」し、その存在を逆説的に強化してしまう。この力学は、科学主義が超常現象を排除しようとするほど、そのテーマが文化的に回帰してくる現象にも見て取れる。
- 音声ロゴス中心主義と知の権力構造:デリダは「音声ロゴス中心主義(phallogocentrism)」という概念を用い、西洋文明が男性的(ファルス)か つ言語・書記中心(ロゴス)の権力構造に支配されてきたことを批判した。この構造は、特定の科学的手法や学術的規範を絶対視し、個人の体験談、質的研究、あるいは非西洋的な知の体系といった「亡霊的」な知識を周縁化・抑圧する働きを持つ。
詳細分析
1. 序論:哲学と超心理学の交差点
ジェイコブ・W・グレイザーは、超心理学のバックグラウンドを持ちながら、現象学、ポスト構造主義、ポストモダニズムといったヨーロッパ哲学を深く探求する稀有な研究者である。彼は、哲学と超心理学という二つの領域が、一見無関係に見えて密接に連携している点を指摘する。
- 超心理学における亡霊:超心理学では、亡霊や憑依は、現実に存在するか否かが問われる具体的、あるいは物質的な実体として扱われる傾向がある。
- 哲学における亡霊:一方、デリダのような哲学者は、これらの概念を「メタ・メタファー」として用いる。時間、経済システム、権力といった抽象的な概念が、いかにして目に見えない力(亡霊)によって構造化され、影響を受けているかを分析するための思考ツールとして活用するのである。
2. デリダの『マルクスの亡霊たち』と「幽霊論(Hauntology)」
デリダの思想の核心は、彼の造語である「幽霊論(hantologie)」に集約される。これは、マルクスとエンゲルスが『共産党宣言』の冒頭で述べた有名な一節「一つの亡霊がヨーロッパを徘徊している」という言葉から着想を得ている。
背景:資本主義の勝利宣言への応答
デリダが『マルクスの亡霊たち』を執筆したのは、ソビエト連邦が崩壊し、フランシス・フクヤマらが「歴史の終わり」を宣言した時代であった。多くの思想家が共産主義は完全に死んだと結論づける中で、デリダは異を唱えた。彼によれば、共産主義という政治体制は死んだかもしれないが、その根底にある資本主義社会への批判精神という「亡霊」は、決して死んではおらず、むしろこれまで以上に強力に世界を徘徊していると主張した。
存在論から幽霊論へ
伝統的な西洋哲学の中心にあったのは「存在論(ontology)」であり、これは「何が存在し、何が存在しないか」「何が現実で、何が非現実か」を問う学問である。デリダはこれ を根本的に問い直す。
- 存在論:明確な「現前(presence)」、つまり今ここにある確固たる存在を中心に据える。
- 幽霊論:その「現前」が、常に亡霊、すなわち「不在の現前(absent presence)」によって憑依されている状態を指す。亡霊は「そこにいる」がある種の不在であり、「そこにいない」がある種の存在であるという、デリダが『グラマトロジーについて』で論じた「アポリア(aporia)」、つまり解決不能なパラドックスの状態にある。
悪魔祓いと召喚のダイナミクス
デリダによれば、存在論と幽霊論の関係は暴力的である。彼は次のように述べている。「存在論は、悪魔祓いの運動においてのみ、それに反対する。存在論は一つの召喚である。」
- 悪魔祓い(Exorcism):存在論は、自らの体系を脅かす異質な亡霊を追い払おうとする。
- 召喚(Conjuration):しかし、その悪魔祓いの試み自体が、亡霊の存在を逆説的に呼び起こし、定義してしまう。
- 二重の運動:幽霊論はこの「追放(悪魔祓い)」と「創造(召喚)」の絶え間ない闘争として展開される。何かを創造するためには、何かを破壊しなければならないという、ヒンドゥー教のシヴァ神のような破壊と創造の力学がここにはある。これは、ハイデガー哲学に見られるような穏やかな「隠れのなさ(unveiling)」とは対照的である。
3. 脱構築の射程
幽霊論は、デリダの主要な哲学的プロジェクトである「脱構築(deconstruction)」の一環である。
- 方法論:構造主義言語学を学んだデリダは、「テクストの外はない(there is no outside the text)」という有名な定式を提示した。脱構築とは、あるテクスト(広義には思想体系や制度も含む)が、その内部に抱える矛盾や前提を明らかにすることで、自己解体していく過程を示す分析手法である。
- 影響:脱構築は、フェミニズム理論、クイア理論、批判的人種理論などに多大な影響を与えた。これらの理論は、社会制度や言語に深く根ざした家父長制や人種差別といった権力構造を「脱構築」するために、その手法を援用している。
- ポストモダニズムと真理:グレイザーは、「ポストモダニズムはあらゆる真理を否定する」という通俗的な批判は不正確だと指摘する。むしろ、個々の思想家を丹念に読み解き、権力によって構築された「絶対的な真理」を疑い、その成り立ちを問う姿勢こそが重要であると示唆している。
4. 資本主義批判と「新しいインターナショナル」
デリダは、冷戦後の世界秩序を「新しいインターナショナル(New International )」と呼び、その背後で働く亡霊的な力を分析した。
- グローバル・ラテン化(Globalatinization):デリダは、世界がキリスト教的な「メシア主義(messianism)」、すなわち救世主や終末といった「大きな出来事」をひたすら待ち続けるという時間構造に囚われていると分析し、この現象を「グローバル・ラテン化」と名付けた。
- 資本主義と受動性:この「待つ」という姿勢は、社会正義の実現を未来へと先送りする受動性を生み出す。デリダは、この受動性こそが、十分な金を貯めて引退するまで待ち続けるといった資本主義の論理に内在する病理であると指摘する。これに対抗するため、彼は具体的な内容を持たない純粋な待望としての「メシア性(messianicity)」という概念を提起した。
- 見えざる権力としての亡霊:国家や国境という表層的な構造の背後で、グローバル資本主義という亡霊が、国境も法も無視して自由に動き回り、地球環境や人々の生活に破滅的な影響を与えている。現代社会で噴出する人種差別問題なども、過去に適切に対処されなかった問題が亡霊として再び姿を現した現象であると、デリダなら分析するだろう。デモや抗議活動は、この亡霊との対決であり、「幽霊論の暴力性(悪魔祓いと召喚の闘争)」の現れと見なされる。
5. 音声ロゴス中心主義と知の周縁化
デリダの批判は、西洋の知のあり方そのものに も向けられる。
| 概念 | 説明 |
|---|---|
| 音声ロゴス中心主義(Phallogocentrism) | デリダによる造語。西洋文明が、ファルス(Phallus)、すなわち男性的権威と、ロゴス(Logos)、すなわち言語、特に音声よりも書記(文字)を特権化してきた歴史的遺産を指す。 |
| 超常現象の排除 | グレイザーは、この音声ロゴス中心主義が、啓蒙主義以降の超心理学の周縁化と関連していると指摘する。特定の科学的手法(科学主義)のみが真理を生み出すとされ、個人の体験談や物語といった質的データは非科学的として排除されてきた。 |
| 権力構造と声の抑圧 | この権力構造は学術界にも及ぶ。ミシュラブは、博士号を持つ白人男性研究者をゲストに招く傾向が自身にあることを内省する。デリダによれば、文法や構文の正しさを過度に重視することもまた、特定の言語共同体に属さない人々を抑圧し、その声を奪う音声ロゴス中心主義の機能の一つである。 |
6. 結論:スペクトラル革命への道筋
対談は、デリダの思想が現代の文化的な闘争を読み解く鍵となることを示唆して締めくくられる。
- 現代の形而上学的闘争:超常現象を迷信として排除しようとする懐疑論者(悪魔祓い)と、それが認められる世界を構築しようとする超心理学者(召喚)との間の対立は、まさしく幽霊論的な力学の現れである。
- 亡霊の回帰:グレイザーが指摘するように、「その亡霊と戦えば戦うほど、それはさらに憑依するために戻ってくる」。
- スペクトラル革命へ:デリダ自身は、妖精やジンといった具体的な霊的存在の宇宙論を構築したわけではない。しかし、彼の「幽霊論」は、ジェイソン・レザ・ジョルジャニが言うところの「スペクトラル革命」、すなわち、目に見えない存在を現実の一部として認識するための「概念的な装備」を提供する。グレイザー自身の著作も、人間と霊的存在が織りなす世界を「新しいアニミズム」のレンズを通して描こうとする試みであり、デリダの思想的遺産を受け継ぐものである。
ジャック・デリダ主要用語解説
はじめに
ジャック・デリダは、20世紀で最も影響力のあった、同時に最も難解とされる哲学者の一人です。彼の思想は複雑で、独自の専門用語が多く用いられます。この用語解説は、デリダの哲学に初めて触れる学生の皆さんを対象に、彼の思想の核心をなす主要な概念を、平易かつ明確に解説することを目的としています。ここでの理解が、より深いテクスト読解への確かな足がかりとなるでしょう。
1. 脱構築 (Deconstruction)
脱構築は、デリダの中心的な哲学的プロジェクトです。これは単なる「破壊」ではなく、テクストや概念がその内部でいかに自己矛盾をきたし、自らを解体していくかを明らかにするための精密な分析手法を指します。この手法は、既存の権力構造を分析するための強力なツールとして、特にフェミニスト理論家、クィア理論家、批判的人種理論家たちによって重要視され、応用されてきました。
次に解説する「憑在論」は、デリダが伝統的な哲学に対して脱構築的な手法を実践した最たる例であると言えるでしょう。
2. 存在論から憑在論へ (From Ontology to Hauntology)
デリダは、伝統的な「存在論」を問い直すために、「憑在論」という新しい概念を提唱しました。両者の違いは以下の通りです。
| 用語 | 解説 |
|---|---|
| 存在論 (Ontology) | 「何が実在するのか」を問う、伝統的な存在に関する哲学研究。 |
| 憑在論 (Hauntology) | デリダが存在論に代わるものとして提唱した概念。亡霊(specter)が持つ「不在の現前(absent presence)」、つまり存在しないと同時に存在する矛盾した状態に焦点を当てる。デリダによれば、伝統的な存在論は、この「亡霊」のような存在を常に「悪魔払い(exorcism)」によって排除しようと試みる。彼はその関係を次のように表現している:ontology opposes it only in a movement of exorcism. ontology is a conjuration. |
憑在論を完全に理解するためには、その中心的な登場人物である「亡霊」について詳しく知る必要があります。
3. 中心的な比喩:亡霊 (The Central Metaphor: The Specter)
憑在論の中心にあるのが「亡霊(Specter)」という比喩です。その主な特徴は以下の通りです。
- 矛盾した存在 「不在の現前」として、存在する(present)と同時に存在しない(absent)という矛盾した状態を体現します。
- 歴史的ルーツ カール・マルクスの『共産党宣言』における有名な一節、「ヨーロッパに亡霊が出る」という言葉にその起源を持ちます。
- 現代社会への批評 デリダはこの比喩を用いて、国境を持たず「舞台裏で」働く、現代資本主義システムの広範で捉えどころのない力を批評しました。
この亡霊を用いた資本主義批判は、西洋思想そのものに埋め込まれた、より広範な権力構造への問いへと繋がっていきます。
4. 権力批判の用語 (Terms for Critiquing Power)
デリダは、西洋思想に根付いた権力構造を分析するために、いくつかの独創的な用語を作り出しました。
4.1 ファロゴサンチズム (Phallogocentrism)
この言葉は、以下の3つの要素からなるデリダの造語です。
- Phallus(ファルス): 男性の象徴。
- Logos(ロゴス): 言葉、言語、理性。
- Centrism(セントリズム): 中心主義。
これらを統合し、デリダは西洋思想が伝統的に、男性的(ファルス)な視点と言語(ロゴス)を絶対的な中心に据えてきたことを批判します。この構造が、特定の知のあり方や存在様式を特権化し、それ以外のものを排除し、従属させてきたと彼は指摘しました。まさにこの構造こそが、憑在論が扱う他の知のあり方を「悪魔払い」によって排除しようとする力の現れなのです。
4.2 グローバル-ラテン化 (Globalatinization)
これは、一般的に使われる「グローバリゼーション(globalization)」を批判的に捉え直すためにデリダが用いた造語です。デリダによれば、これは単なる経済や文化の均質化ではありません。むしろ、世界がキリスト教に根差した特定の宗教的枠組みに囚われていくプロセスを指します。彼はこれを、比喩的に「地球の首を絞めている」力であると表現しました。
5. まとめ:なぜこれらの用語が重要なのか
これまで見てきたデリダの用語は、単なる難解な専門用語ではありません。それらは、世界を別の視点から思考するための一連の概念的ツールです。これらの用語を理解することで、デリダが現実、権力、そして正義に関する私たちの基本的な前提をいかに根底から問い直そうとしたかが見えてきます。彼の哲学は、私たちの文化の中で見過ごされ、排除され、沈黙させられてきたものたちが、実は「亡霊」のように現代に憑在し続け、見えざる影響力を行使していることに気づかせてくれるのです。