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Emin Yilmaz : 10年後の日米欧:トランプ後の世界とAIバブル

· 109 min read

前置き

どこまで当たるか、10年後に確認できるように記録しておく。

要旨

AI

10年後の日米欧:トランプ後の世界とAIバブル

この対談の記録は、‌‌地政学、経済、そして未来の動向‌‌に関する広範な見解を提供しています。特に、‌‌米国政治の分極化‌‌が進み、トランプ後の時代にはより急進的な左派ポピュリストが出現する可能性について論じています。また、‌‌欧州は移民を力として経済を維持し‌‌、米国との距離を置きながら中国との経済的な相互依存を深めていくと予測しています。さらに、‌‌日本の製造業は米中対立の恩恵を受け成長の大きな機会‌‌にあり、規制緩和と優秀な外国人材の受け入れが重要であると提言されています。最後に、現在の‌‌AI市場の熱狂はバブル‌‌であると断言しつつも、日本株については‌‌長期的な強気の見通し‌‌を示しています。

目次

  1. 要旨
  2. 10年後の世界経済と日本の針路:エミン・ユルマズ氏の洞察
    1. エグゼクティブサマリー
    2. 1. 米国政治の未来:トランプ後の分断と極左の台頭
    3. 2. 欧州の展望:移民問題と中国との接近
    4. 3. 日本の好機:製造業復活と地政学的恩恵
    5. 4. 日本社会の課題:外国人との共生
    6. 5. AIバブルの警鐘:本質と崩壊リスク
    7. 6. 長期経済予測と個人への提言
  3. 10年後の世界はどう変わる?未来を生き抜くための地政学・経済学入門
    1. 1. 政治が「プロレス化」するアメリカ:トランプの次に来るものは?
    2. 2. 意外なパートナー?接近するヨーロッパと中国
    3. 3. 日本に訪れる「100年に一度のチャンス」:再び世界の工場へ
    4. 4. 日本が乗り越えるべき2つの課題
    5. 5. AIブームはバブルか?その正体と備え方
    6. 6. まとめ:変化の時代を「賢く、たくましく」生きるために
  4. 論点整理:AIバブルと移民問題の本質を対話形式で学ぶ
    1. 1. はじめに:現代社会の二つの大きな「問い」
    2. 2. 第一部:AIバブルは必ず弾けるのか?
    3. 3. 第二部:移民問題の本質はどこにあるのか?
    4. 4. まとめ:多角的な視点を養うために
  5. アメリカの政治動向
    1. 1. トランプ化する政治と極左の台頭
    2. 2. 民主党の衰退とリーダーシップの危機
    3. 3. 歴史的回帰(ルーズベルト的な人物の出現)
    4. まとめ
  6. 欧州の未来(第 3極)
    1. 1. 欧州の統合の難しさとナショナリズムの台頭
    2. 2. 経済的な強さと「移民」の役割
    3. 3. 地政学的ポジション:アメリカから離れ、中国と接近
  7. AI バブルの現状と将来
    1. 1. 現状認識:完璧なバブルとその構造
    2. 2. 将来的な崩壊とタイミング
    3. 3. AIの現実と社会への応用
    4. 4. 知識とAIの未来
  8. 日本経済と高市政権への期待
    1. 1. 日本経済の長期的な見通し:復活と株価上昇
    2. 2. 高市政権と地政学的なチャンスへの期待
    3. 3. 製造業の復活と必須の「規制緩和」
    4. まとめ:日本経済と高市政権への期待
  9. 外国人問題(インバウンドと移民)
    1. 1. 日本における外国人問題の現状:インバウンドの急増と反動
    2. 2. 欧州の教訓:移民は経済を支える「力」
    3. 3. 日本の戦略:優秀な留学生を増やし、質の高い人材を確保する
  10. 日本の株価見通し(長期)
    1. 1. 長期目標と10年後の見通し
    2. 2. 株価上昇を支える主要な要因
    3. 3. バブル崩壊との比較と日本の安定性
    4. まとめ
  11. 情報源

10年後の世界経済と日本の針路:エミン・ユルマズ氏の洞察

AI

エグゼクティブサマリー

本ブリーフィングは、エミン・ユルマズ氏が語る今後10年の世界情勢と日本の立ち位置に関する分析をまとめたものである。米国では政治の「トランプ化」が進行し、その反動として富裕層への攻撃を掲げる「極左ポピュリスト」が台頭する可能性が指摘される。欧州は移民問題を抱えつつも、優秀な移民が経済を支える活力源となっており、地政学的な脅威ではない中国との経済的連携を深めていくと予測される。

このような世界情勢の中、日本には製造業復活の大きな好機が訪れている。米中対立を背景に、米国が日本の生産能力に期待を寄せており、歴史的な円安がその追い風となっている。このチャンスを最大限に活かすためには、ドローン開発などに代表される過剰な「事前規制」を緩和することが不可欠である。

一方、現在のAIブームは、実体を伴わない循環取引による「完璧なバブル」であり、いずれは弾けると警鐘を鳴らす。バブル崩壊のタイミング予測は困難だが、過去のコロナバブル崩壊時には主要ハイテク株が7〜8割下落した事実を忘れてはならない。

長期的には、日経平均株価は10年後に10万円を超え、2050年には30万円に達するとの強気な見通しが示されている。変化の激しい時代を生き抜くためには、AIを使いこなす基盤となる専門知識や、地政学・歴史に根差した「対局観」を持つことが個々人にとって極めて重要となる。

1. 米国政治の未来:トランプ後の分断と極左の台頭

政治の「トランプ化」と民主党の弱体化

ドナルド・トランプ氏の登場は、米国の政治手法そのものを変質させたと分析される。従来の政治的慣習を無視し、プロパガンダや相手を中傷する戦い方が常態化し、政治全体のレベルが低下している。

これに対し、現在の民主党は有効な対抗策を打ち出せておらず、弱体化が顕著である。「老害クラブみたいになっちゃってる」と評されるほど活力を失い、多様な利権の中で当たり障りのない人物しか指導者に選べない状況に陥っている。この政治的空白は、必然的に新たなプレイヤーの登場を促すことになる。

「政治っていうのは空白を許さないんで。今空白があるからね、そこに必ずそれ埋めに誰か来るから」

極左ポピュリストの出現予測

トランプ氏のような右派ポピュリズムへの揺り戻しとして、今後はより左派的なポピュリスト、すなわち「極左」が登場すると予測される。これは、富裕層を明確な敵と位置づけ、労働者層や中間層に直接訴えかけるカリスマ的な人物像を想定している。

  • 主張: 「私は社会主義者だ」「ビリオネアを全員潰します」といった過激なスローガンを掲げる。
  • 背景: トランプ氏が労働者層に訴えながらも、実際には伝統的な共和党の政策(レーガノミクス)を踏襲し、格差是正に繋がらなかったことへの不満が土壌となる。
  • 事例: ニューヨーク市長選の動向など、既にその兆候は見られる。世界有数の富裕層が集まる都市で「社会主義者」を公言する候補が支持を集めること自体が、米国の大きな変化を示唆している。

ルーズベルト型リーダーの必然性

さらに大きな視点では、歴史的な社会変革期において、フランクリン・D・ルーズベルト(FDR)のような強力な指導者が登場する可能性が指摘される。FDRは、当時の価値観では「社会主義者」と見なされるほどの改革(ニューディール政策)を断行し、米国のセーフティネットの基礎を築いた。現在の深刻な格差と社会の分断を乗り越えるためには、同様の大胆な変革を行うリーダーが必然的に求められるという見方である。

2. 欧州の展望:移民問題と中国との接近

移民がもたらす経済的活力

欧州では移民問題が右傾化の一因となっているが、経済的な側面から見ると、移民は不可欠な活力源であると分析される。

  • 労働力の提供: 高齢化が進む欧州において、移民がいなければ経済は崩壊すると指摘される。「移民がなくなった途端にヨーロッパ崩壊するもん。それこそ本当に高齢化社会だから」
  • 優秀な人材の流入: 近年、トルコやシリアなど周辺国から欧州へ流入しているのは、単なる労働者(ブルーカラー)だけでなく、自国の政治体制から逃れてきた優秀なエリート層が多い。欧州は結果的に「才能を吸収している」状態にある。

欧州各国の個別性と統合の限界

ユーロという共通通貨は存在するものの、欧州が単一の国家やエンティティとして機能するという見方は現実的ではない。ドイツはドイツ、フランスはフランスというように、各国は依然として自国の利益を最優先する「ナショナルセントリック」な動きを続けると予測される。

米中対立下の中国との経済的連携強化

地政学的に、欧州と中国は利害が一致しやすく、今後さらに経済的な結びつきを強めていくと考えられる。

  • 脅威認識の欠如: 欧州にとって中国は覇権を争う相手ではなく、太平洋における安全保障上の脅威でもない。むしろ、高級ブランド品などを購入してくれる「いいお客様」である。
  • 地理的近接性: 欧州と中国は陸続きであり、「シルクロードの復活」が実現すれば、物流コストが劇的に変化する。
  • 米国の影響力低下: 陸路での経済圏が確立されれば、米海軍による海上交通路への影響力は相対的に低下する。これは中国の長期的な戦略目標と合致する。

3. 日本の好機:製造業復活と地政学的恩恵

米中対立がもたらす「日本の工場化」

米中間の新冷戦構造は、日本にとって戦後最大のチャンスをもたらしている。安全保障上の懸念から、米国は中国製の製品(ドローン、ロボット、半導体、EVなど)を市場から締め出し、信頼できる同盟国である日本にその生産を担ってほしいと考えている。

「アメリカ中国から買いたくないでだって信頼してないもん。そうしてないからもうロボットもドローンも半導体も船も全部日本に作ってくれって言ってるようなもんですこれは」

これは、かつて日本が米国の安価な工場として機能し、高度経済成長を遂げた時代と同様の構造であり、再び「物づくりの国」として繁栄する絶好の機会である。

円安を活かした市場独占のチャンス

現在の歴史的な円安に対し、米国が強い牽制を行わないのは、日本の製造業の競争力を高め、米国市場向けの製品を作ってほしいという意図の表れである。これにより、日本の製造業は米国市場で中国製品と競合することなく、大きなシェアを獲得できる可能性がある。

成功の鍵としての規制緩和

この好機を掴むための最大の課題は、日本の過剰な規制である。特にドローンのように新しい技術分野において、開発や実用化の前に厳格な規制を設ける姿勢が成長を阻害している。

「アメリカが発明して中国がコピーを作ってヨーロッパは規制を作る...残念ながらそこに今日本が入りきれてないていうか日本もなんかヨーロッパみたいに規制を先に作って」

まずは自由に開発・競争させ、問題が発生してから事後的にルールを整備するアメリカ的なアプローチへの転換が不可欠である。「国益のためだ」と世論を説得し、産業規制を抜本的に見直すことが求められる。

4. 日本社会の課題:外国人との共生

インバウンド急増による摩擦

近年の日本国内における外国人への反発感情は、移民問題そのものよりも、コロナ禍後に「インバウンドが急に増えすぎた」ことへの反動であるとの見方が示される。

  • インフラの不備: 新幹線の荷物棚のサイズに代表されるように、日本のインフラは国内旅行者を前提に設計されており、大量の大型スーツケースを持つ外国人観光客に対応できていない。
  • 許容量の超過: インフラや国民の心理的な準備が整わないうちに、円安や中国人の渡航先の変化といった要因が重なり、許容量を超える観光客が一気に殺到したことが摩擦の原因となっている。

優秀な外国人人材を獲得するための戦略

労働人口が減少する中で、優秀な外国人人材の獲得は不可欠である。そのための最も効果的な方法は、ブルーカラー労働者をいきなり受け入れるのではなく、優秀な「留学生」を増やすことである。

  • 若年層からのアプローチ: 科学オリンピックの優勝者など、世界中の優秀な若者に奨学金を提供し、日本の大学や高校に招く。
  • 日本社会への適応: 5〜6年の学生生活を通じて、日本語や日本の文化・習慣を自然に学び、社会にソフトランディングさせることができる。
  • 将来への投資: 彼らが卒業後に日本に残って研究者や起業家になれば、日本の国力向上に大きく貢献する。これは、サッカーチームが世界中から若い才能を引き抜くのと同じ戦略である。

5. AIバブルの警鐘:本質と崩壊リスク

「完璧なバブル」の構造と循環取引

現在のAI関連株の急騰は、「完璧にバブル」であると断言される。その根拠は、実体経済からの資金流入ではなく、特定の企業間での資金の「循環取引」が中心となっている点にある。

  • 循環取引の構図: OpenAI、Oracle、NVIDIAといった企業群がお互いに出資し合い、売上を計上することで、見かけ上の企業価値を膨らませている。
  • 実体経済との乖離: この構造は、外部から新たなリアルマネー(キャッシュフロー)が入ってこない限り持続不可能である。

バブル崩壊のタイミング予測の困難さ

AIブームがバブルであることは明白だが、それが「いつ弾けるか」を予測することは極めて困難である。バブル崩壊は、株価上昇のような長期的な「プロセス」ではなく、予測不可能な「イベント」だからである。リーマンショックのように、誰もが予期しないタイミングで突発的に発生する可能性がある。

「バブル崩壊っていうプロセスじゃなくてイベントです...イベントって予想できないです。飛行機事故みたいなもん」

過去のバブル崩壊からの教訓

多くの投資家は、直近のバブル崩壊の記憶を忘れがちである。

  • コロナバブルの崩壊 (2022年): この時、ナスダック指数は40%下落し、メタ(旧Facebook)やテスラは高値から75%、Amazonは60%も株価が下落した。これはわずか数年前の出来事である。
  • リスクの大きさ: 現在のAIバブルが崩壊した場合、関連銘柄の株価が7〜8割失われる可能性は十分にある。その過程で、多くの投資家が市場から退場を余儀なくされるだろう。

6. 長期経済予測と個人への提言

日経平均株価の長期見通し

時期予測株価備考
10年後 (2035年頃)12万円「楽々12万ぐらいは行ってると思う」との見解。
2050年まで30万円これは保守的な見積もりであり、さらに上振れる可能性もある。

過去の実績として、2011年の6000円台から現在の株価(5万円台)まで約8〜9倍に上昇したことを踏まえれば、これらの予測は非現実的なものではないと分析される。

変化の時代を生き抜くための知識の重要性

インフレと急激な社会変化の時代を生き抜くためには、個人の「知識」が決定的に重要になる。

  • AIを使いこなす力: AIの登場で知識が不要になるという議論は誤りである。むしろ、専門分野の深い知識を持つ人間こそがAIを有効なツールとして使いこなせる。知識のない人間がAIを使っても、「ただのGoogle検索」の結果しか得られない。
  • 対局観の獲得: 目先の情報に一喜一憂するのではなく、地政学や歴史といった普遍的な知識を学び、世の中がどちらの方向に向かっているのかという「対局観」を持つことが、安定した判断を下す上で不可欠である。特に変化の時代においては、その重要性が増す。

10年後の世界はどう変わる?未来を生き抜くための地政学・経済学入門

AI

皆さん、こんにちは!地政学と経済学を教えている先生です。今日の授業のテーマは「未来」。これから10年後、私たちが生きる世界は一体どう変わっているのでしょうか?この記事では、まるで未来の世界地図を広げるように、アメリカ、ヨーロッパ、中国、そして私たちの国、日本のこれからを、専門家の分析を基に分かりやすく解き明かしていきます。少し先の未来をのぞいて、変化の時代を生き抜くためのヒントを一緒に探してみましょう!

1. 政治が「プロレス化」するアメリカ:トランプの次に来るものは?

アメリカの政治は、トランプ前大統領の登場によって、まるでルールが変わったかのように大きく変化しました。これまでの常識が通用しなくなり、政治が極端から極端へと大きく揺れる「振り子」のような状態になっています。

もしトランプ氏のようなリーダーが再び力を持てば、その反動で、今度は正反対の極端なリーダーが登場する可能性が高まります。この振り子の動きが、次に何を生み出すのでしょうか?

1.1. なぜ「極左のリーダー」が生まれるのか?

トランプ氏のような極右的なリーダーが多くの支持を集めると、その反動として、今度は「極左」と呼ばれるような、非常にリベラルな思想を持つポピュリスト(大衆の支持を集める政治家)が登場する可能性が高まります。

専門家は‌‌「政治は空白を許さない」‌‌と言います。現在の民主党は、トランプ氏の勢いを止められず、少し元気を失っているように見えます。この「空白」を埋めるために、必ず新しい、強力なリーダーが現れるのです。

1.2. 新しいリーダーの姿:「現代のルーズベルト」

では、次に出てくるリーダーはどんな人物でしょうか?それは、かつて大恐慌からアメリカを救った‌‌「現代のフランクリン・ルーズベルト(FDR)」や、「若くてカリスマ的なバーニー・サンダース」‌‌のような人物かもしれません。

彼らは、次のような過激な主張を掲げる可能性があります。

「ビリオネア(超富裕層)を潰す!彼らがあなたたちの富を奪っているんだ!」

このようなメッセージは、経済的に苦しんでいる労働者層の心に強く響き、絶大な人気を集める可能性があります。事実、ニューヨークのような大都市で「私は社会主義者だ」と公言し、「金持ちを潰しに来た」と訴える政治家が、すでに支持を広げ始めています。アメリカの政治は、まるで「プロレス」のように、過激なキャラクター同士がぶつかり合う、新しい時代に突入しようとしているのかもしれません。

アメリカの政治が大きく揺れ動く中、世界の他の地域ではどのような変化が起きているのでしょうか。次に、ヨーロッパと中国の意外な関係に目を向けてみましょう。

2. 意外なパートナー?接近するヨーロッパと中国

アメリカが国内の政治で揺れる一方で、ヨーロッパと中国は、アメリカとは異なる理由で、経済的なパートナーシップを深めていく可能性があります。多くの人が「米中対立」に注目していますが、実はヨーロッパと中国は、対立するどころか協力関係を築くかもしれないのです。

2.1. ヨーロッパにとって中国は「脅威」ではなく「上客」

ヨーロッパの視点に立つと、中国はアメリカが考えるような「脅威」には見えません。その理由は大きく2つあります。

  • 地政学的な対立がない
    • ヨーロッパと中国は、アメリカと中国のように太平洋の覇権を争っているわけではありません。地理的に遠く、直接的な軍事衝突のリスクを感じにくいのです。
  • 経済的な相互依存
    • 中国は、ヨーロッパの高級ブランド品や自動車などをたくさん買ってくれる‌‌「重要なお客様」‌‌です。ビジネスパートナーとしての側面が非常に強く、敵対するメリットがありません。

2.2. 「陸のシルクロード」が復活する未来

忘れてはならないのが、ヨーロッパと中国は広大なユーラシア大陸で「陸続き」であるという事実です。もし、かつての「シルクロード」のような陸の貿易ルートが本格的に復活すれば、世界経済のルールが変わるかもしれません。

陸路での輸送が活発になれば、世界の海を支配するアメリカ海軍の影響を受けずに、物資やエネルギーを安定的に運ぶことができます。これはユーラシア大陸全体の経済を活性化させる一方で、アメリカにとっては大きな不利益となる可能性があります。

ただし、この未来が実現するには大きなハードルがあります。それは、現在進行中のロシア・ウクライナ問題です。ロシアの動きはヨーロッパに独裁的な大国への強い警戒心を抱かせており、この問題が解決されない限り、中国との全面的なパートナーシップの構築は難しいでしょう。

ヨーロッパと中国が手を結び、アメリカが内向きになるかもしれない。そんな激動の時代に、日本にはどのようなチャンスが訪れるのでしょうか?

3. 日本に訪れる「100年に一度のチャンス」:再び世界の工場へ

米中対立の激化は、実は日本の製造業にとって‌‌「100年に一度」‌‌とも言える大きなチャンスをもたらしています。アメリカは、安全保障上の理由から中国製品を心から信頼できなくなりました。そこで、代わりに「ものづくり」を任せられるパートナーとして、日本に白羽の矢を立てているのです。

これは、まるで戦後、日本がアメリカの協力のもとで経済成長を遂げた時代の再来のようです。日本が再び「世界の工場」として輝く時代が来ようとしています。

3.1. アメリカが日本に作ってほしいモノ

アメリカが中国の代わりに、日本に製造を任せたいと考えているのは、特にハイテク分野の製品です。

  • ロボット
  • ドローン
  • 半導体

これらの分野は、かつて日本が世界をリードした得意分野でもあります。このチャンスを活かせば、日本の製造業が再び世界のトップに立つことも夢ではありません。

3.2. 円安は「追い風」

「円安で生活が苦しい」というニュースをよく聞くかもしれませんが、この円安は、日本の製造業にとっては強力な‌‌「追い風」‌‌になっています。

円安になれば、海外から見て日本の製品が安く買えるようになります。アメリカが日本の製品を買いやすくするために、現在の円安をある程度「黙認」している、という見方もあるほどです。この状況は、日本の製品がアメリカ市場で競争力を持つ上で、非常に有利に働いています。

しかし、この大きなチャンスを最大限に活かすためには、日本国内にも解決すべき課題があります。次に、未来の成長を妨げる2つの問題点を見ていきましょう。

4. 日本が乗り越えるべき2つの課題

大きなチャンスを掴むためには、国内の課題を解決し、成長できる体制を整える必要があります。特に重要なのが、「過剰な規制」と「外国人材の問題」という2つの壁です。

4.1. 課題①:イノベーションを妨げる「規制」の壁

日本の新しい技術やサービスがなかなか育たない大きな原因の一つに、‌‌「何かを始める前に、まず規制(ルール)を作ってしまう」‌‌という文化があります。この慎重さが、時にはイノベーションの芽を摘んでしまうのです。各国の違いを比較すると、日本の立ち位置がよく分かります。

アプローチ
アメリカまず発明する(問題が起きたら後で考える)
中国アメリカのものをコピーして広める
ヨーロッパ/日本まず規制(ルール)を作る

新しいドローン技術を開発しても、厳しい規制のために自由に飛ばせない。これでは世界との競争に勝つことはできません。時には「まずやってみる」という姿勢が不可欠です。

4.2. 課題②:「移民問題」の誤解と本当の解決策

最近、日本で外国人に対する反発の声が聞かれることがありますが、専門家は、その根本的な原因は移民そのものではなく、「インバウンド(訪日観光客)の急増」に社会のインフラが追いついていないことだと指摘します。

例えば、新幹線の荷物棚を思い浮かべてください。あれは元々、日本人が小さなカバンを置くために設計されたもので、外国からの観光客が持つ大きなスーツケースを置くことは想定されていません。インフラが整わないうちに観光客が急増したため、多くの人が不便を感じ、それが外国人全体への不満につながってしまっているのです。

では、本当に日本に必要な「優秀な外国人材」を増やすにはどうすればよいのでしょうか。その解決策として、次のような方法が提案されています。

優秀な留学生を奨学金で呼び、学生時代に日本社会に慣れてもらう

日本語も文化も知らない労働者をいきなり社会に受け入れるよりも、学生として数年間、日本の言葉や習慣を学びながら社会に馴染んでもらう方が、はるかに摩擦は少なくなります。彼らが卒業後、日本の企業や研究機関で活躍してくれれば、日本の大きな力になるはずです。

国内の課題を整理する一方で、世界ではAIという巨大な技術トレンドが進行しています。これは本物の革命なのでしょうか、それともいずれ弾けるバブルなのでしょうか?

5. AIブームはバブルか?その正体と備え方

現在のAIブームについて、専門家は‌‌「完璧にバブルである」と断言しています。ただし、重要なのは「バブルだからといって、すぐに弾けるとは限らない」‌‌という点です。

かつてのITバブルやリーマンショックも、崩壊する2年も前から「これはバブルだ」と気づいていた専門家はいました。しかし、その崩壊の正確なタイミングを予測するのは、誰にもできないのです。

5.1. バブルの仕組み:「ぐるぐる回るお金」

なぜAIブームがバブルだと言われるのでしょうか。その仕組みは、一部の巨大企業(OpenAIやNVIDIAなど)の間で、お金を回し合っている「循環取引」のような状態になっているからです。

これは、中学生にも分かるように例えると、こんな感じです。

私があなたにコップを100万円で売ります。次に、あなたがそのコップを私に100万円で買い戻します。 これを繰り返すと、私たちの間では巨額のお金が動いているように見えますが、実際にはコップが行ったり来たりしているだけで、新しい価値は何も生まれていません。

今のAIバブルもこれと似ていて、外から新しいお金がどんどん入ってこない限り、この仕組みには限界が訪れます。

5.2. バブルが崩壊したらどうなる?

バブルの崩壊は、ゆっくり進む「プロセス」ではなく、ある日突然起きる‌‌「イベント(事故)」‌‌のようなものです。そのため、予測はほぼ不可能です。

その破壊力は凄まじく、実はつい最近、2022年にも大きなバブルが崩壊しました。コロナ禍の金融緩和で生まれた「コロナバブル(エブリシング・バブル)」が弾け、ハイテク株が暴落。メタ(旧Facebook)やテスラの株価は7割以上も下落したのです。

そして、現在のAIブームは、その後に生まれた‌‌「新しいバブル」‌‌です。もしこのAIバブルが弾ければ、2022年の時のように、関連企業の株価が価値の7〜8割を失う可能性があるという、厳しい現実を直視する必要があります。

一方で、日本の株式市場はハイテク企業への依存度がアメリカほど高くないため、2022年の下落局面では被害が比較的小さく済んだ、という側面もあります。

世界経済が大きく変わろうとする中で、私たちはどのように未来と向き合えばよいのでしょうか。最後に、10年後を賢く生き抜くためのヒントを考えてみましょう。

6. まとめ:変化の時代を「賢く、たくましく」生きるために

この記事では、アメリカの政治不安、ヨーロッパと中国の接近、そして日本に訪れる大きなチャンスという、世界の大きな変化を見てきました。このような変化の時代を生きる私たちにとって、何が一番大切になるのでしょうか。

6.1. 未来の最強スキルは「知識」

「AIが進化すれば、もう知識なんて覚える必要はない」と考える人がいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。未来の最強のスキルは、間違いなく‌‌「知識」‌‌です。

  • 知識がある人:AIを強力な武器として使いこなし、圧倒的な成果を出す。
  • 知識がない人:AIをGoogle検索のようにしか使えず、ありきたりな答えしか得られない。

特に、地政学や歴史といった、物事の大きな流れ(対局感)を掴むための知識は、変化の時代にこそ羅針盤のようにあなたの進むべき道を照らしてくれます。

6.2. 10年後の日本経済への明るい展望

最後に、日本の未来に対する明るいニュースをお伝えします。ある専門家は、これからの日本の成長を見込んで、‌‌「10年後の日経平均は10万円を超えているだろう(おそらく12万円ぐらい)」‌‌と予測しています。

世界は大きく変わろうとしています。しかし、その変化を正しく理解し、知識という武器を身につければ、未来は決して暗いものではありません。この記事が、皆さんが未来を考える上での一つのきっかけになれば嬉しいです。

論点整理:AIバブルと移民問題の本質を対話形式で学ぶ

AI

1. はじめに:現代社会の二つの大きな「問い」

生徒:先生、最近ニュースを見ていると「AI」の話題ですごく盛り上がっていますよね。かと思えば、街に外国人が増えたことに対する反発の声もよく耳にします。AIの熱狂と外国人問題、どちらも大きなテーマなのは分かるのですが、それぞれがなぜこれほど注目されているのか、少し混乱しています。

先生:良い質問ですね。一見すると全く関係のない二つのテーマに見えますが、どちらも現代社会が直面している大きな構造変化を象徴する、非常に重要な「問い」なのです。今日はこの二つのテーマについて、一つずつその本質を対話形式で解き明かしていきましょう。表面的な現象に惑わされず、その裏にある構造を理解することが大切ですよ。

2. 第一部:AIバブルは必ず弾けるのか?

2.1. 今のAIブームは「バブル」なのか?

生徒:ではまず、AIの話題からお願いします。今のAIの盛り上がりは、単なる技術的なブームではなく、「バブル」なのでしょうか?

先生:結論から言うと、完璧にバブルです。そして、覚えておいてほしい大原則があります。それは、「弾けないバブルというのは、まず存在しません」 ということです。歴史上、どのようなバブルも、いつかは必ず弾けてきました。

2.2. なぜ「バブル」だと言えるのか?

生徒:AIは実際に世の中を便利にする力があると思いますし、多くの企業が投資しています。それなのに、なぜバブルだと断言できるのでしょうか?

先生:それは、現在のAI市場が「循環取引」という、非常に危うい構造によって成り立っているからです。具体的には、以下のような特徴が見られます。

  • 特定の巨大IT企業(Microsoft, Oracle, NVIDIAなど)が、お互いのサービスを利用し、お互いに出資し合っている。
  • これは、いわば二人の人間がコップ一つを何度も高値で売買し、見かけ上の取引量を人工的に作り出しているようなものです。コップは行ったり来たりしているだけで、新しい価値は何も生み出されていません。
  • この構造は、外部から新しい実体経済のお金、つまりリアルキャッシュフローが継続的に入ってこなければ、いずれ限界を迎える運命にあります。

つまり、外部から新しい価値(お金)が供給され続けない限り、評価額だけが膨らむこのゲームは、いつか必ず誰かが椅子取りゲームに敗れる形で終わるのです。

2.3. バブルは「いつ」弾けるのか?

生徒:なるほど…構造的な問題を抱えているのですね。では、そのバブルは一体「いつ」弾けるのでしょうか?

先生:それは誰にも分かりません。市場の長期的な成長は、ある程度予測可能な「プロセス」ですが、バブルの崩壊は突発的な「イベント」なのです。プロセスは分析できますが、イベントのタイミングをピンポイントで予測することは、飛行機事故を予言するのと同じくらい不可能です。

過去の歴史を見ても、多くの人が「これはバブルだ」と認識し始めてから、実際に崩壊するまでにはタイムラグがあることが分かります。

バブルの名称バブルだと認識され始めた時期実際に崩壊した時期
日本のバブル1988年頃1990年以降
ITバブル1998年頃2000年3月
リーマンショック2006年頃2008年秋

このように、バブルは「もう危ない」と言われながらも、さらに膨らみ続けることがあるため、崩壊の正確なタイミングを読むのは極めて困難なのです。

2.4. 崩壊が起きたらどうなるのか?

生徒:もしバブルが崩壊したら、私たちの生活にも大きな影響があるのでしょうか…?

先生:その影響は甚大です。実は、多くの人が忘れがちですが、ごく最近、2022年に一度「コロナバブル」が崩壊しています。その際、主要なハイテク企業の株価は軒並み暴落しました。

  • テスラ: 75%下落
  • メタ (旧Facebook): 75%下落
  • アマゾン: 60%下落

次のAIバブルが崩壊する時も、同様の事態が起こり得ます。つまり、関連企業の株が、その価値の7〜8割を失う可能性があるということです。これは、多くの投資家が市場から退場するほどの深刻なインパクトを持ちます。

第一部の締めくくり

先生:このように、熱狂の中にあるものこそ、一歩引いて冷静にその「構造」を見ることが重要なのです。技術の将来性と、金融市場の過熱(バブル)は分けて考えなければいけません。

生徒:よく分かりました。表面的な盛り上がりの裏側を見ることの大切さが理解できました。では、もう一つのテーマである移民の問題についても、同じように構造から理解することができるのでしょうか?

3. 第二部:移民問題の本質はどこにあるのか?

3.1. ヨーロッパの事例:問題であり、活力でもある移民

生徒:はい。日本では外国人が増えることに対して、反発の声が強まっているように感じます。なぜ移民は「問題」として語られることが多いのでしょうか?

先生:良い問いですね。その点を理解するために、まず視野を広げてヨーロッパの事例を見てみましょう。ヨーロッパでは、移民問題が社会の右傾化を招く一因になっている側面があります。これは事実です。

しかし、同時に忘れてはならないのが、‌‌「移民がいるおかげで経済が元気であり、もし移民がいなくなれば、深刻な高齢化で社会が崩壊してしまう」‌‌というもう一つの側面です。移民は社会問題の原因であると同時に、経済を支える「活力源」でもある。物事は常に多面的であることをまず理解することが重要です。

3.2. 日本の現状:「移民」への反発か、「インバウンド」への戸惑いか

生徒:ヨーロッパの状況は複雑ですね。では、日本の場合はどう考えれば良いのでしょうか?

先生:私の見方では、日本で今起きている外国人に対する反発は、純粋な「移民」問題というよりは、急増しすぎた「インバウンド(訪日観光客)」に対する戸惑いの側面が大きいと考えています。その理由はいくつかあります。

  • タイミングの問題 コロナ禍が明けた後、急激な円安も手伝って、一気に観光客が日本に殺到しました。
  • インフラの未整備 例えば、新幹線の荷物棚は、日本人が国内旅行で使う小さなバッグを想定して作られています。外国人の大きなスーツケースを置くようには設計されていません。このように、日本のインフラが急増した観光客の需要に対応できていないのです。
  • 許容量の超過 社会的な心の準備やインフラの整備が追いつかないうちに、キャパシティを超える人々が一度に来てしまった。その結果、「迷惑だ」と感じる人が増えてしまったのです。

つまり、多くの人が街で見かける外国人が移民なのか観光客なのか区別しないまま、急な変化に対するストレスを感じているのが実情ではないでしょうか。

3.3. 日本が目指すべき道:優秀な外国人を受け入れる戦略

生徒:なるほど。問題の本質は少し違うところにあるのですね。では、日本はこれから外国人とどう向き合っていくべきなのでしょうか?

先生:これからAI技術がさらに発展すれば、これまで人手に頼っていた単純労働の多くは不要になる可能性があります。そう考えると、‌‌「労働力不足を補うために、大量に移民を入れる必要はない」‌‌と言えるでしょう。

日本が取るべき戦略は、ブルーカラーの労働者を無秩序に増やすことではありません。そうではなく、世界中から‌‌「優秀な人材」‌‌、例えばトップレベルのエンジニアや研究者を集めることに注力すべきです。これこそが、国力を高めるための本質的なアプローチです。

3.4. 具体的な戦略:留学生こそが日本の未来への投資

生徒:優秀な人材を集める、というのは分かりますが、具体的にはどうすれば良いのでしょうか?

先生:最も効果的で、社会的な摩擦も少ない方法は‌‌「留学生を増やすこと」‌‌です。ここで、望ましいアプローチとそうでないアプローチを比較してみましょう。

  • 望ましくないアプローチ ❌ 日本の言語や文化、社会ルールを全く知らない人を、何の準備もなく労働者として社会に送り込むこと。これはゴミの分別方法すら分からない状態であり、社会的な摩擦を生むのは必然です。
  • 望ましいアプローチ ✅ 例えば、科学オリンピックの優勝者のような優秀な若者に奨学金を出し、学生として日本に招くこと。彼らは大学や大学院で5〜6年過ごす間に、日本語や日本社会の習慣を自然に学び、適応していきます。そのため、卒業後に社会に出ても問題を起こしにくいのです。

これは単なる労働力の確保ではなく、社会資本への長期的な「投資」なのです。時間をかけて日本社会に溶け込んだ人材は、摩擦を最小化し、イノベーションを最大化してくれます。

これは、プロのサッカーチームが世界中から若く才能ある選手を発掘し、自国のリーグで育成するのと同じ発想です。最高の才能に早期から投資し、環境に慣れてもらう。留学生への投資は、日本の未来チームを強化するための、最も確実なスカウティング活動と言えるでしょう。

第二部の締めくくり

先生:つまり、移民問題を考える上で大切なのは、感情的な反発に流されるのではなく、「日本の国益のために、どのような人に、どのようにして来てもらうか」という戦略的な視点を持つことなのです。

生徒:ありがとうございます!AIバブルと移民問題、どちらも感情や雰囲気で語るのではなく、その構造と戦略を考えることが重要なのですね。二つの問題の論点が、はっきりと整理できました。

4. まとめ:多角的な視点を養うために

先生:最後に、今日の議論をまとめましょう。現代社会の複雑な問題を読み解くためには、二つの教訓が役立ちます。

  1. AIバブルの教訓 熱狂の裏にある‌‌「構造(循環取引)」‌‌を見抜き、技術の真の価値と金融的な誇大広告(ハイプ)を区別することが重要です。
  2. 移民問題の教訓 「外国人」と一括りにせず、観光客なのか、労働者なのか、どのようなスキルを持つ人材なのかを区別し、感情論ではなく国家戦略として考えることが重要です。

AIも移民も、これからの日本の未来を左右する大きなテーマです。世の中全体の大きな流れ、すなわち‌‌「対局観」‌‌を持つこと。そして、物事を多角的に捉え、変化の時代を生き抜くための知識を身につけることが、私たち一人ひとりにとって、これまで以上に大切になっているのです。

アメリカの政治動向

AI

ご提示いただいたソースは、「10年後の世界と日本」という文脈の中で、‌‌アメリカの政治が従来の枠組みを破り、両極端なポピュリズムへと向かう‌‌という見解を示しています。これは、トランプ氏の登場によって政治の「戦い方」そのものが変容したことに起因する流れとして説明されています。

以下に、アメリカの政治動向に関するエミン・ユルマズ氏の見解を詳述します。

1. トランプ化する政治と極左の台頭

アメリカの政治は、ドナルド・トランプ氏がその戦い方を根本的に変えた可能性があり、その結果、政治のレベルが落ちてきている(相手を馬鹿にする、表現のレベルが落ちるなど)と指摘されています。

‌政治は空白を許さない‌‌という原則に基づき、右派が極端に振れる(トランプ主義)と、その対抗として必ず左側からもポピュリストが出現します。

  • ‌民主党の「トランプ化」:‌‌ 今後、民主党から出てくる政治家、あるいはすでに出ている政治家は、トランプ氏と同じような戦い方をするようになると見られています。これは、そのレベルで戦わなければ勝てなくなっているためです。
  • ‌極左の出現:‌‌ 具体的には、ニューヨークで台頭しているような、自らを「社会主義者」と公言し、‌‌「金持ちを潰しに来ている」‌‌と宣言する極左の人物の出現が予想されます。
  • ‌富裕層への直接攻撃:‌‌ これらの新しいポピュリストは、ビリオネア(富豪)が国民の富を奪っていると訴え、「ビリオネア全員を潰す」「ビリオネアなどそもそも存在すべきではない」と堂々と主張するかもしれません。これは、トランプ氏が中間層・労働者層に訴えかけた手法(あなたたちのことを考えていない勢力に対抗する)の逆方向、つまり、資本主義の最富裕層を標的にすることで人気を得る戦い方です。
  • これは、バーニー・サンダース氏をさらに若く、カリスマ的で、‌‌「プロレス化」‌‌させたような人物である可能性があります。

2. 民主党の衰退とリーダーシップの危機

現在の民主党は、トランプ的な戦いを避けてきた過去があり、現状では「ダメ」であると評されています。

  • ‌活力の喪失:‌‌ 民主党はトランプ氏がやりたい放題に暴走しているにもかかわらず、何も対抗策が打てておらず、‌‌「老害クラブみたい」‌‌になって活力を失っている状態です。
  • ‌当たり障りのない候補:‌‌ 党内の利権争いが激化した結果、現在の民主党は、かえって当たり障りのない人(例えば、全盛期を過ぎたバイデン氏)しか大統領候補として出せなくなっていると分析されています。本来であれば、トランプ氏と対等に戦うためには、20年前や50歳当時の活力あるバイデン氏のような人物を出すべきだったと考えられています。
  • ‌空白を埋める第三者:‌‌ 共和党をトランプ氏が乗っ取ったように、衰退した民主党の空白を埋めるために、‌‌外部の第三者のプレイヤー‌‌が党を乗っ取りに来る可能性も示唆されています。

3. 歴史的回帰(ルーズベルト的な人物の出現)

アメリカの政治が左側に振れる必要性は必然的であるとエミン氏は見ています。

  • ‌リアル左翼の必要性:‌‌ トランプ氏が中間層や低所得者層の暮らしを改善できなかったため、次は本当の意味での‌‌「リアル左翼」‌‌が現れるでしょう。
  • ‌ルーズベルトの再来:‌‌ その一つの可能性として、フランクリン・D・ルーズベルト(FDR)のような人物がアメリカに登場する可能性が「大いにある」とされています。ルーズベルト大統領は、現代の感覚で言えば‌‌「本当に社会主義者」‌‌であり、銀行や富裕層から富を再配分し、アメリカのセーフティネットの基礎を作った人物です。アメリカが本来持っていなかったセーフティネットの仕組みを確立したルーズベルトのような政策が必要とされています。

まとめ

ソース全体を通して、アメリカの政治動向は、伝統的な穏健な二大政党制から、‌‌トランプ主義(右派ポピュリズム)とそれを打ち消す極左ポピュリズムまたは社会主義的な強いリーダーシップ(ルーズベルト型)‌‌へと大きく振れようとしている転換期にある、という認識が示されています。

これは、あたかも振り子が極端な右に振れたため、次に強力な力で極端な左へと勢いよく戻る準備をしている状況に例えられます。政治の空白と中間層の不満が、この強力な反動を生み出す原動力となっています。

欧州の未来(第 3極)

AI

ご提示いただいたソースは、「10年後の世界と日本」というより大きな文脈の中で、‌‌欧州がアメリカと中国に次ぐ「第3極」として、独自の未来を歩む‌‌という見解を示しています。特に、欧州は内部的な課題を抱えつつも、経済的な活力を移民に依存し、地政学的にはアメリカから距離を取り、中国との連携を深める方向に向かうと分析されています。

以下に、欧州の未来に関するエミン・ユルマズ氏の見解を説明します。

1. 欧州の統合の難しさとナショナリズムの台頭

欧州が「第3極」として力を伸ばしていくかどうかという点について、ソースは、欧州の国々はそれぞれプロファイルが異なるため、‌‌当初期待されていたように一つの国または一つのエンティティとしてまとまって機能することはない‌‌と指摘しています。

  • ‌各国中心主義への回帰:‌‌ ドイツ人はドイツ人、フランス人はフランス人、イタリア人はイタリア人であり、これは当然のことであります。したがって、ユーロという仕組みが残ったとしても、ドイツは「ドイツ中心(ドイツセントリック)」に、フランスは「フランス中心(フランスセントリック)」に動くことになると見られています。
  • ‌右傾化の流れ:‌‌ 欧州でも右傾化の流れ(ukeka)は進んでおり、その主要な原因の一つは移民問題であると考えられています。

2. 経済的な強さと「移民」の役割

欧州連合(EU)全体としては、GDPの規模が大きく(各国を合計すると)、通貨(ユーロ)も強くなっているという経済的な強さがあります。しかし、その経済的な活力の維持において、移民が不可欠な要素であると強調されています。

  • ‌移民は欧州経済の活力源:‌‌ 移民は確かに問題ではありますが、同時に‌‌力(パワー)‌‌でもあります。ヨーロッパの経済が元気なのは、ある意味、‌‌移民がいるおかげ‌‌であり、もし移民がいなくなれば、欧州は高齢化社会であるため‌‌崩壊する‌‌と断言されています。
  • ‌優秀な人材の吸収:‌‌ 欧州は、周辺国(トルコ、中東、シリアなど)からエリート層や非常に優秀な人材を吸収しています。例えば、昔のトルコからの移民がブルーカラー中心だったのに対し、ここ10年で移住した人々は、エルドアン政権のトルコから逃げてきた非常に優秀な人々です。欧州は、悪化している治安などの「悪面」ばかり報道されがちですが、実際には才能を吸収している側面があるのです。

3. 地政学的ポジション:アメリカから離れ、中国と接近

欧州は、今後10年でアメリカと距離をより取り、‌‌中国とかなり仲良くやっていく‌‌可能性が高いと分析されています。

  • ‌中国は脅威ではない:‌‌ ヨーロッパにとって、中国は脅威でもなければ、太平洋貿易に関係がないため覇権争いの相手でもありません。中国は、ヨーロッパの高級品を買ってくれる顧客であり、観光客としても来るため、‌‌ビジネスパートナーとして非常に重要‌‌です。
  • ‌陸路での相互依存:‌‌ アメリカと中国が陸続きでないのに対し、‌‌ヨーロッパと中国は陸で繋がっています‌‌。シルクロードが復活すると、その恩恵を最も受けるのはユーラシア大陸の経済圏にいる国々(ロシア、中国、中央アジア諸国、中東、ヨーロッパ諸国)であり、‌‌一番損をするのはアメリカ‌‌です。陸路で経済活動が動けば、アメリカ海軍が干渉しづらくなるという側面もあります。
  • ‌経済的な連携深化:‌‌ 中国と欧州は、相互依存を深め、経済面で反映していくパートナーとなり得ます。実際、中国のEV(電気自動車)は欧州で売れ始めています。

ただし、この中国・欧州の総合依存を深めていくためには、現在欧州が脅威を感じている‌‌ロシア戦争(ロシア問題)を解決する必要がある‌‌とも述べられています。


‌総括:‌

欧州は、‌‌内部的には各国中心主義が優勢となる傾向‌‌を持ちますが、‌‌外部的には中国との経済的な結びつきを深める‌‌ことで、アメリカ中心の国際秩序とは異なる‌‌ユーラシア経済圏‌‌の恩恵を受け、第3極としての地位を確立する道筋をたどる可能性が示唆されています。この道のりで、移民は欧州の高齢化社会を支える不可欠なエンジンとして機能し続けるでしょう。

AI バブルの現状と将来

AI

ご提示いただいたソースが示す「10年後の世界と日本」という大きな文脈の中で、AIバブルに関するエミン・ユルマズ氏の見解は、‌‌AI技術の将来的な重要性を認めつつも、現在の市場の過熱ぶりは中身のないバブルであり、いずれは弾ける運命にある‌‌という非常に明確なものです。

以下に、AIバブルの現状と将来についての詳細を説明します。

1. 現状認識:完璧なバブルとその構造

エミン氏は、AIが世の中を変えることは間違いないと認めながらも、‌‌現在の株価の上がり方や市場の盛り上がり方は「異常」であり、「バブル」であると断言しています‌‌。

循環取引による中身のなさ

このバブルの核心的な問題は、‌‌「中身がない」‌‌点にあるとされています。

  • ‌マネーの回転:‌‌ この手のものは、外部から‌‌リアルマネー(リアルキャッシュフロー)‌‌が入ってこなければ、お互いにぐるぐるお金を回す‌‌「循環取引」‌‌には限界が来ます。
  • ‌コップの例え:‌‌ これは、金融取引において、コップ(お金)が当事者間で売り買いされるだけで、売買高(取引量)は増えるものの、‌‌何も生み出していない‌‌状況に例えられています。
  • ‌規模の拡大:‌‌ このAIバブルは、2022年に崩壊したコロナバブル(エブリシングバブル)よりも、‌‌規模的にもっと大きい‌‌と指摘されています。具体的には、Nvidia(5兆)、Microsoft(4兆)、Apple(4兆)といった巨大企業が牽引しています。

2. 将来的な崩壊とタイミング

「弾けないバブルはまずない」というのがエミン氏の基本認識です。

  • ‌崩壊の必然性:‌‌ バブルである以上、いずれは崩壊しますが、‌‌「いつ崩壊するかは分からない」‌‌という点がポイントです。
  • ‌イベントとしての崩壊:‌‌ バブル崩壊は長期的な「プロセス」ではなく、飛行機事故のような‌‌「イベント」‌‌であるため、ピンポイントでの時期の予想は不可能であるとされています。
  • ‌崩壊時の影響:‌‌ 一度バブルが崩壊し、仕組みのどこかが崩れた場合、‌‌AI関連の株価は7割から8割を失う可能性がある‌‌と警告されています。これは、2022年のコロナバブル崩壊時、NASDAQが40%下落し、テスラやメタが一時、高値から75%も下落した事実に基づいています。
  • ‌投資家の退場:‌‌ バブル崩壊は「地の海」のような状況を生み出し、レバレッジをかけていた多くの投資家が市場から退場することになるでしょう。

3. AIの現実と社会への応用

技術としてのAIの価値は認められつつも、現在の利用実態には懐疑的な見方が示されています。

  • ‌過剰な期待:‌‌ AIは面白い技術ですが、世間が「大騒ぎしているほどのものではない」という認識です。
  • ‌利用の限界:‌‌ LLM(大規模言語モデル)の導入について、リサーチ業やソフトウェア業など‌‌相性の良い分野‌‌では非常に有効である一方、多くの企業では導入コスト(ChatGPT 4から5への移行など)に見合うほどの成果が出ておらず、‌‌「ほとんど使えていない」‌‌のが実情です。人がやった方が早い場合も多いとされています。
  • ‌真の専門家の見解:‌‌ AI研究の最先端にいる研究者たちは、‌‌「人間みたいに考えるAI」はまずできない‌‌ということを理解していると述べられています。

4. 知識とAIの未来

AI時代を生き抜く上で、知識の重要性が強調されています。

  • ‌知識の必要性:‌‌ AIが来るから知識がいらないという論争は「間違っている」との見解です。
  • ‌AIの使い手:‌‌ 知識のある人はAIを‌‌うまく使える‌‌のに対し、知識のない人はAIを使っても同じアウトプットしか出せず、AIを‌‌「ただのGoogle検索」‌‌としてしか使いこなせないでしょう。
  • ‌専門家+AI:‌‌ 自分の専門分野に優れている人がAIをプラスアルファとして加えると、‌‌ものすごい力を発揮できる‌‌「とてつもない人」になる可能性があります。

‌まとめのアナロジー:‌

現在のAIバブルは、‌‌熱狂的なファンが集まり、限定品のグッズ(AI関連株)を高値で取引し続けている、中身のないオークション会場‌‌に似ています。会場の外から新しい顧客(リアルキャッシュフロー)が来ない限り、会場内の熱気(株価)だけで価値を上げ続けることには限界があり、いずれ誰かの小さな行動をきっかけに熱気が冷め、価格が暴落する運命にあるのです。ただし、そのオークションで扱われているグッズ(AI技術)自体は、未来において非常に有用な道具となり得ることは間違いないとされています。

日本経済と高市政権への期待

AI

ご提示いただいたソースは、「10年後の世界と日本」というエミン・ユルマズ氏の見解の中で、‌‌日本経済が米中新冷戦の恩恵を受けて長期的な成長プロセスに入っている‌‌と捉え、その成長を加速させるために‌‌高市政権(またはそれに近い保守政権)が取るべき具体的な政策と、そこへの期待‌‌を論じています。

主要な見解と期待は以下の通りです。

1. 日本経済の長期的な見通し:復活と株価上昇

エミン氏は、日本経済の未来に対して極めて強気な見通しを示しており、その根拠は地政学的な転換と企業努力にあります。

  • ‌日経平均の予測:‌‌ 長期的なシナリオとして、2050年までに日経平均株価は‌‌30万円に達する‌‌と断言されており、この予測は「保守的に見積もって」のものであるとされています。
  • ‌10年後の見通し:‌‌ 10年後(2035年頃)には、日経平均は‌‌楽々12万円ぐらいは超えている‌‌だろうと予測されています。
  • ‌成長の原動力:‌‌ この成長は、‌‌米中新冷戦の恩恵‌‌を受けて日本経済が良くなるという長期的なプロセスに基づいています。これに加え、日本企業のコーポレートガバナンスの改善、株価対策、そして‌‌インフレが追い風‌‌となることが挙げられています。
  • ‌市場の耐久性:‌‌ 2022年にアメリカのハイテク株が大暴落した際(コロナバブル崩壊)、日本はオールドエコノミーであることもあり、‌‌市場の下げ幅が2割にもいかず「無傷だった」‌‌という点で、市場の安定性が評価されています。

2. 高市政権と地政学的なチャンスへの期待

高市氏が総裁選で敗れたタイミングはミスだった(トランプ大統領選挙の後に実施されていれば総裁になっていた可能性がある)とされつつも、彼女のスタンスは現在の地政学的な状況と合致しているとして、大きな期待が寄せられています。

  • ‌トランプ政権との波長:‌‌ 高市氏の思想や防衛に関するスタンスは、トランプ政権と波長が合っている(似たようなスタンス)ため、‌‌トランプ政権とは仲良くできそうである‌‌という見方です。
  • ‌防衛力の強化と経済効果:‌‌ トランプ政権下では、日本が‌‌自分で防衛力をつけるためのチャンス‌‌が生まれます。高市政権がこのチャンスを掴み、防衛費の投資を経済につなげていく(防衛を軸とした経済の強化)流れは‌‌間違っていない‌‌と評価されています。また、このような難しい時代こそ、思い切ったことを実行できる‌‌女性リーダーの方がむしろ良い‌‌という期待も述べられています。

3. 製造業の復活と必須の「規制緩和」

日本経済の成長を決定づける最大のチャンスは、製造業にあり、これを実現するためには政治による抜本的な改革が必要です。

  • ‌「アメリカの工場」としての復活:‌‌ アメリカが中国を信頼しておらず、ドローンやロボット、半導体、船などの製造を‌‌日本に任せたい‌‌と考えているため、日本には‌‌アメリカ市場を独占できるチャンス‌‌が来ています。これは、戦後に日本が安くモノを作ってアメリカに売ることで反映した状況と「同じチャンスが来ている」と表現されています。
  • ‌円安の利用:‌‌ 現在の‌‌円安は普通ならアメリカが抑えに来る水準‌‌ですが、アメリカが何も言わないのは、日本にモノを作ってほしいという意図をアメリカが‌‌目認している‌‌からだと分析されています。
  • ‌規制緩和の必要性:‌‌ このチャンスを掴むために、高市氏に期待される最重要課題は‌‌規制の解体‌‌です。日本がドローンなどの分野で発展できないのは、ヨーロッパのように‌‌「規制を先に作る」‌‌風潮があるためであり、これはマーケットメカニズムを活かしきれていない社会主義的な側面だと批判されています。自動車産業が発展したように、まずは規制をかけずに開発を進め、問題が起きてから対応する(アメリカみたいにちょっと問題になるまでほっとけばいい)というアプローチへの転換が強く求められています。
  • ‌具体的な要求:‌‌ 特に、日本の産業規制や、電気自動車などの分野で競争に乗り遅れないよう、‌‌「規制とかにやってるじゃないんですがこれ全部解体してほしい」‌‌と訴えられています。

まとめ:日本経済と高市政権への期待

日本経済は地政学的要因により長期的な上昇プロセスにあり、株価も大きく伸びる見通しです。高市政権には、このビッグチャンスを最大限に生かし、防衛と製造業への投資を推進するとともに、特に‌‌古い規制を大胆に解体し、市場経済の活力を解き放つ‌‌という、難易度の高い役割が期待されています。

外国人問題(インバウンドと移民)

AI

ご提示いただいたソースは、「10年後の世界と日本」という文脈の中で、‌‌外国人問題(インバウンドと移民)‌‌について、日本が直面する現状の課題と、今後の経済成長のために取るべき明確な戦略の両方を示しています。

エミン・ユルマズ氏の見解では、高齢化社会である日本や欧州にとって外国人材は不可欠であるとしつつ、特に日本で現在顕在化している反発の原因は、従来の移民問題ではなく、‌‌急激なインバウンド観光客の増加‌‌にあると分析されています。

1. 日本における外国人問題の現状:インバウンドの急増と反動

日本国内で高まっている外国人への反発や世論の右傾化は、移民問題そのものよりも、‌‌インバウンド観光客が急に増えすぎたことの反動‌‌である可能性が高いと分析されています。

  • ‌秩序の乱れ:‌‌ 一般の人々は、外で見かける外国人がツーリストなのか移民なのか区別がつかないため、「変なことをやっている人たちがいる」「町の秩序が乱れている」と感じるケースが多く、それが‌‌インバウンドの増加‌‌に起因していると見られています。
  • ‌インフラの未整備:‌‌ 日本はこれまで外国からの観光客で儲ける国ではなかったため、インフラが‌‌日本人による国内旅行向けに設計‌‌されており、急激なインバウンドの増加に対応できていません。例えば、新幹線の荷物棚は、長期滞在用の大きなスーツケースを乗せるようには設計されていません。
  • ‌急増の背景:‌‌ コロナ後の円安進行と日本の人気上昇に加え、中国人がアメリカや欧米に簡単に行けなくなり、‌‌行き先が日本に集中した‌‌ことが、タイミングと量のバランスを崩す原因となりました。
  • ‌必要な対応:‌‌ このような状況から、インバウンドは‌‌もう少し抑制し、秩序ある成長にした方が良い‌‌かもしれないと提言されています。

2. 欧州の教訓:移民は経済を支える「力」

欧州の事例を比較することで、移民が経済的に不可欠な要素であることが強調されています。

  • ‌欧州経済の活力:‌‌ 欧州経済が元気なのは、ある意味、‌‌移民がいるおかげ‌‌であり、もし移民がいなくなれば、ヨーロッパは‌‌高齢化社会ゆえに崩壊する‌‌と断言されています。
  • ‌優秀な人材の吸収:‌‌ 欧州は、トルコや中東、シリアなどの周辺国から‌‌エリート層や非常に優秀な人材‌‌を吸収している側面があります。これは、ヨーロッパが才能を吸収しているという力(パワー)でもあるのです。

3. 日本の戦略:優秀な留学生を増やし、質の高い人材を確保する

日本が今後、国力を維持・強化し、製造業の復活というチャンスを掴むためにも、優秀な外国人材の確保は必須であるとされています。

  • ‌ターゲットは「優秀な人」:‌‌ 日本が目指すべきは、‌‌優秀な人材を国内に集める競争‌‌に勝つことです。
  • ‌留学生制度の活用:‌‌ 優秀な人材を増やすためには、‌‌留学生を増やし、奨学金を出して日本に招く‌‌べきです。特に科学オリンピックで優勝するような人たちを、すぐにでも日本に連れてくるべきだと推奨されています。
  • ‌適応期間の確保:‌‌ 重要なのは、彼らが学生として日本に来て、まず‌‌日本語を学び、日本の文化や社会に適用する期間(5〜6年など)‌‌を設けることです。その間に日本が好きになり、日本の企業や研究機関で働くというキャリアパスが望ましいとされます。
  • ‌問題の回避:‌‌ 日本語が分からず、ゴミの分別の仕方も分からない人を突然社会に放り込むから問題が起きるのであって、適応期間があれば問題は起こらないでしょう。
  • ‌技術者・研究者の必要性:‌‌ AI時代が到来するため、大量の移民は必要なくなるかもしれませんが、日本に技術が戻る(製造業復活)ことを考えると、‌‌エンジニアや研究者といった高度な人材‌‌はさらに必要になってくると結論付けられています。

‌総括:‌‌ 日本は、現在のインバウンドによる混乱を乗り越え、‌‌優秀な外国人材(特に留学生ルートを通じた)‌‌を戦略的に引きつけることで、高齢化の課題に対処し、次なる製造業の成長期に必要な専門知識と活力を確保することが求められています。

日本の株価見通し(長期)

AI

ご提示いただいたソースが示す「10年後の世界と日本」という文脈の中で、日本の‌‌株価見通し(長期)‌‌は極めて強気であり、日経平均株価は長期的な成長プロセスに入り、大幅に上昇することが予測されています。

この長期的な強気の予測は、地政学的な変化と国内の構造改革が複合的に作用することに基づいています。

以下に、日本の株価見通しに関するエミン・ユルマズ氏の見解を詳述します。

1. 長期目標と10年後の見通し

エミン氏は、日本の株価上昇を「プロセス」(長期的なシナリオ)として捉えており、具体的な目標値と時期を提示しています。

  • ‌究極の長期目標(2050年まで):‌‌ 日経平均株価は2050年までに‌‌30万円に達する‌‌と断言されています。この予測は、自身が「保守的に見積もって」のものであると述べています。
  • ‌10年後の予測(2035年頃):‌‌ 10年後(2035年頃)には、日経平均は‌‌楽々12万円ぐらいは超えている‌‌だろうと予測されています。これは、当時の現在価格(5万円台)から見て、約2.5倍以上の上昇を見込んでいる計算となります。
  • ‌イベントではなくプロセス:‌‌ この株価上昇は、バブル崩壊のような「イベント」(ピンポイントの出来事)ではなく、「プロセス」(長期的なシナリオ)に基づいているため、確度が高いと考えられています。

2. 株価上昇を支える主要な要因

日本の株価が長期的に上昇する根拠として、以下の複数の要因が挙げられています。

A. 地政学的要因と製造業の復活

株価上昇の長期シナリオの根本は、‌‌米中新冷戦の恩恵‌‌を受けて日本経済が良くなるという認識に基づいています。

  • ‌アメリカの工場化:‌‌ アメリカが中国のロボット、ドローン、半導体などを信頼しておらず、‌‌日本に製造を依頼したい‌‌と考えている状況にあります。これは、戦後に日本が安くモノを作ってアメリカに売ることで反映した状況と「同じチャンスが来ている」と表現されています。
  • ‌円安の黙認:‌‌ 現在の円安水準は通常であればアメリカが是正を求めてくる水準ですが、アメリカが何も言わないのは、日本にモノを作ってほしいという意図を‌‌目認している‌‌からであると分析されています。
  • ‌市場独占のチャンス:‌‌ 例えば、日本が電気自動車を製造すれば、アメリカが中国からのEV輸入を規制しているため、日本は‌‌アメリカ市場を独占できる‌‌チャンスがあります。

B. 企業改革と経済環境

国内の経済構造や企業行動の変化も追い風となります。

  • ‌コーポレートガバナンスと株価対策:‌‌ 日本企業がコーポレートガバナンスを改善し、株価対策を取っていることも、株価に追い風となります。
  • ‌インフレの追い風:‌‌ 現在の時代は、お金の価値が目減りしていくインフレの時代に入っており、これも株価にとって追い風となります。

3. バブル崩壊との比較と日本の安定性

現在アメリカで起きているAIバブルが崩壊するリスクがある中で、日本市場の安定性が相対的に評価されています。

  • ‌日本市場の安定性:‌‌ 2022年にアメリカでコロナバブル(エブリシングバブル)が崩壊し、NASDAQが40%下落し、GAFAMの一部が7割から8割株価を失った際、日本市場はオールドエコノミーであることもあり、‌‌下げ幅が2割にもいかず「無傷だった」‌‌と評価されています。
  • ‌リスクヘッジの観点:‌‌ この日本の安定性から、アメリカ株を一部保有している投資家が、リスクヘッジとして日本株に資産を移すという選択肢もあり得ると示唆されています。

まとめ

日本の株価見通しは、地政学的優位性、製造業の復権、企業改革、インフレ環境という「プロセス」に裏打ちされており、短期間で激しく上下する「バブル」とは区別されています。このシナリオ通りに進めば、日経平均は10年後には12万円超、2050年までには30万円に到達するというのが、エミン氏の長期的な予測です。

この見通しは、日本がグローバルな経済・地政学的変化の中で、‌‌「復活のチャンス」‌‌を掴み取るという、ポジティブな展望の象徴と言えます。

情報源

動画(41:57)

10年後の日米欧:エミン・ユルマズ トランプ後は極左がくる

https://www.youtube.com/watch?v=5qH5MOTLhaw

(2025-11-04)