Sam Altman : 29か月後には AGI が登場予定
要 旨
サム・アルトマン: AI爆発の正確な日付
この情報源は、YouTubeチャンネル「Matthew Berman」で公開された「Sam Altman reveals exact date of intelligence explosion」という動画の抜粋であり、OpenAIの将来の計画と人工知能の発展に関する予測を概説しています。
具体的には、2026年9月までにインターンレベルのAI研究アシスタントを、そして2028年3月までに本格的なAI研究者を持つというOpenAIの目標が示されています。 また、この資料では、OpenAIの新たな企業構造、特に非営利財団と公益法人（PBC）の関係、および1.4兆ドルのインフラストラクチャへのコミットメントについても言及しています。
さらに、チャットボットとの中毒性の問題への懸念や、「思考連鎖の忠実性」というアライメント技術 に関するOpenAIの研究についても議論されています。 最後に、AGIの実現は単一の瞬間ではなく連続的なプロセスであるという見解や、GPT-6が数ヶ月以内に登場する可能性があることが触れられています。
目次
OpenAIの将来展望とAI開発ロードマップに関するブリーフィング
エグゼクティブ・サマリー
このブリーフィングは、OpenAIのライブストリームで明らかにされた、同社のAI開発に関するタイムライン、組織構造、および将来の製品戦略に関する重要な洞察をまとめたものである。最も重要な点は、AI研究を自律的に行う能力を持つAIの具体的な開発目標時期が示されたことである。OpenAIは、2028年3月までに「正真正銘のAI研究者」を開発するという野心的な目標を掲げており、これは「知能爆発」と超知能への急速な移行の引き金になると見なされている。
さらに、サム・アルトマンは、7兆ドル規模のインフラ構想の一環として、すでに1.4兆ドル規模 のプロジェクトが進行中であることを明らかにした。組織面では、非営利財団が統治する公益法人（PBC）という新たな構造が確定し、財団は250億ドルを健康とAIレジリエンスに投資する。
Q&Aセッションでは、製品の中毒性への懸念、GPT-4oの継続提供、そして半年以内に次世代モデルの能力が大幅に向上する見込みであることなどが語られた。これらの発表は、OpenAIが自己改善AIの開発競争をリードし、業界全体のペースを定義しようとする強い意志を示している。
1. AI開発のタイムラインと知能爆発
OpenAIは、AGI（汎用人工知能）の実現に向けた具体的なロードマップとタイムラインを提示した。これは、漠然としたAGIの定義を避け、具体的な能力目標を設定することで、開発の進捗をより明確にする意図がある。
具体的なマイルストーン
OpenAIの研究プログラムの中核となる目標として、以下の2つの非常に具体的な日程が示された。
- 2026年9月: 「インターンレベルのAIリサーチアシスタント」の実現。これは、AI研究を支援できる、かなり優秀なAI研究者として描写されている。
- 2028年3月: 「正真正銘のAI研究者」の実現。このAIは自律 的に研究を進める能力を持つとされ、GPT-4のローンチからほぼ5年後にあたる。
自己改善AIと知能爆発
「正真正銘のAI研究者」の実現は、AI開発における重大な転換点と見なされている。
- 知能爆発の引き金: 自律的なAI研究が可能になると、AI開発の加速は投入可能な計算能力（コンピュート）によってのみ制限されるようになる。これが「知能爆失」を引き起こし、その後、超知能へと急速に到達すると予測されている。
- 再帰的な自己改善: 自己改善AIは、自身の改善プロセスをさらに改善するという再帰的なループに入るため、改善率が指数関数的に増大する。
- 勝者総取りの構図: この自己改善能力を持つAIを最初に開発した組織が、他の追随を許さない圧倒的な優位性を確立する。これが、マーク・ザッカーバーグのような人物が数百億ドル規模の投資を厭わない理由であり、サム・アルトマンも同様の考えを持っている。
2. AIによるタスク自動化の進化
AIが自律的に実行できるタスクの期間は、今後のAI能力を測る重要な指標の一つとして議論された。
タスク実行期間の拡大
AIが自律的に完了できるタスクの期間は、段階的に拡大していくと予測されている。
- 現在: 5秒、5分、5時間レベルのタスクは可能。
- 将来: 5日、5週間、5ヶ月、そして5年単位のタスクへと進化していく。
計算能力と効率性の重要性
タスク実行期間の長さだけでなく、その期間内での効率性が極めて重要であると強調された。
- コンピュートという制限要因: モデルが長期間自律的に稼働できるようになった時点で、AIの性能向上を妨げる唯一の要因は、投入できる計算能力の量となる。
- 効率性の追求: トークン使用量や計算リソースの効率的な活用が、タスクの成果を最大化する鍵となる。
- 広範な応用分野: このような自律型AIは、AI研究だけでなく、生物医学研究、新素材科学、創薬など、人類にとって画期的な発見をもたらす可能性のあるあらゆる分野に応用できる。必要なリソースは「砂と電気」だけである。
3. 「思考の連鎖の忠実性」という新アプローチ
OpenAIは、モデルの解釈可能性とアライメント（人間との協調）を確保するための独自のアプローチとして「思考の連鎖の忠実性（Chain of Thought Faithfulness）」を追求している。
- 概念と目的: モデルの内部的な推論プロセスの一部を、トレーニング中の監視から意図的に外す。これにより、モデルが「良い思考」をするように誘導されることなく、モデル自身の「本当の考え」を忠実に表現させることが可能になる。これにより、AIが提供する答えの背後にある推論過程の信頼性が高まる。
- モデルのプライバシー: このアプローチは、モデルに「管理されたプライバシー」を与えることで、その内部プロセスをより深く理解できるようになるという考えに基づいている。人間のように、監視されずに自由に考えさせることで、より本質的な洞察が得られるという比喩が用いられた。
- スケーラビリティと脆弱性: この手法はスケーラブルである一方、「脆弱（fragile）」でもある。思考の連鎖にアクセスする方法を制限し、明確な境界線を引くといった自制が必要となる。例えば、ChatGPTの思考の連鎖サマリー機能は、思考プロセス全体を常時可視化するのではなく、要約として提示することで、この境界線を維持している。
4. インフラストラクチャ計画とロボティクスの活用
サム・アルトマンは、AIの能力を最大限に引き出すための、極めて野心的なインフラストラクチャ計画について語った。
- 壮大な投資規模:
- 現在: 30ギガワット以上のインフラが稼働中。
- 進行中: 7兆ドル規模とされる「スターゲイト」計画に対し、既に1.4兆ドル相当のプロジェクトが進行中である。
- 「工場を建設する工場」:
- 単にデータセンター（工場）を建設するだけでなく、その工場自体を生産する「工場を建設する工場」という構想を内部で検討している。
- 目標として、週に1ギガワット分の生産能力を持つ工場を建設することが挙げられており、これは非常に大規模な計画である。
- ロボティクスの導入:
- この計画の実現には、データセンター建設を支援するためにロボティクスの考え方を応用する必要があると言及された。これは、OpenAIがロボティクスに本格的に言及した初の事例である。
5. OpenAIの新たな組織構造
OpenAIは、これまでの複雑な構造を整理し、新たな企業統治体制を最終決定した。
- ガバナンス体制:
- OpenAI Foundation: 非営利団体。後述の公益法人を統治する。
- OpenAI Group: 公益法人（Public Benefit Corporation, PBC）。株主価値の提供だけでなく、社会的な使命を追求する企業形態。Patagoniaが有名な例である。
- 所有権と資金調達:
- 非営利のFoundationは、PBCの株式の26%を所有し、将来的には追加の株式を受け取る可能性のあるワラントも保有する。
- PBCは、OpenAIの使命を達成するために必要なリソース（資金）を調達する役割を担う。これは、将来的なIPO（新規株式公開）を示唆している。
- 財団のコミットメント:
- OpenAI Foundationは「史上最大の非営利団体」になることを目指している。
- 財団は、AI分野の2つの重要領域である「健康と疾病治療」および「AIレジリエンス」に対して、250億ドルのコミットメントを行っている。
6. 主要Q&Aセッションの洞察
ライブストリームのQ&Aセッションでは、サム・アルトマンとヤコブ・パチョッキが、製品や将来の展望に関する率直な見解を述べた。
| 質問内容 | 回答の要旨 |
|---|---|
| AI製品の中毒性 | サム・アルトマン: 「非常に懸念している」。チャットボットとの間に予期せぬ関係性を築く人々や、中毒的な行動が見られることを認めた。競合他社が中毒性の高い製品を提供する可能性も指摘。自社の行動によって判断されるべきとし、「Soraが創造性ではなく中毒性を生むものになれば、製品を中止する」と明言。過去の企業の過ちを繰り返さないように努めるが、新たな過ちを犯す可能性も認め、迅速なフィードバックループの重要性を強調した。 |
| GPT-4oの将来 | サム・アルトマン: 「4oを廃止する計画はない」。ただし、宇宙の熱的死まで存続を約束するものでもない。時間の経過と共により良いモデルを構築していくことを目指しており、これは人間関係において人が成長し変化するのに似ていると述べた。 |
| AGIの到来時期 | ヤコブ・パチョッキ: AGIは単一の時点ではなく、我々が現在その中にいる「移行期間」であるとの見解を示した。チェスや囲碁での勝利、自然言語処理能力など、マイルストーン間の間隔が狭まっていることを指摘。 サム・アルトマン: AGIという言葉は多義的になりすぎていると同意。全員を満足させるAGIの定義を試みるより、「2028年3月までに真の自律型AI研究者を開発する」という具体的な目標を提示する方がはるかに有用だと述べた。 |
| GPT-6のリリース時期 | サム・アルトマン: 正確な時期は不明としつつも、「おそらくもっと早く、今から6ヶ月後には、モデルの能力において非常に大きな進歩が期待できる」という明確なメッセージを発信した。 |
| ChatGPTのWindows版 | サム・アルトマン: 正確な時期は「わからない」が、「数ヶ月以内」と推測。単なる応答ツールではなく、「常にそばにいて役立つアンビエントなアシスタント」に向けた重要な方向性の一部であるとした。 |
情報源
動画(17:29)
Sam Altman: "29 months left before AGI"
https://www.youtube.com/watch?v=w4qcTwdJRFU
35,400 views 2025/10/30
(2025-10-30)