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Jay Fikes : Carlos Castaneda の欺瞞と CIA の関与

· 85 min read

前置き

どこまで事実で、どこまでが憶測なのか が判然としないが取り上げる。

要旨

AI

カルロス・カスタネダの欺瞞とCIA

この YouTube の録画の抜粋には、‌‌ジェイ・ファイケス‌‌教授が‌‌ヤン・ルンドバーグ‌‌と対談する様子が収められており、‌‌カルロス・カスタネダ‌‌の著作を巡る‌‌欺瞞‌‌について、そしてそれが‌‌サイケデリック運動‌‌に対する‌‌中央情報局(CIA)‌‌の‌‌影響‌‌にどう結びついているかを探っています。

ファイケスは、自身の研究と自由情報法(FOIA)の要求によって、カスタネダやテレンス・マッケンナ、R・ゴードン・ワッソンなど、‌‌著名な人物‌‌が CIA に‌‌関与‌‌していたことが明らかになったと論じています。

対談者は、CIA がこの運動を利用して、政治的活動から人々の‌‌注意をそらし‌‌、‌‌「分離した現実」‌‌を作り出したという考えに焦点を当てています。また、‌‌カスタネダの生い立ち‌‌に関する新しい発見や、‌‌リチャード・ド・ミル‌‌などの‌‌「偽の暴露者」‌‌の役割、そして‌‌グレゴリー・ベイトソン‌‌を含む人類学への‌‌情報機関の浸透‌‌についても議論しています。

彼らは、‌‌プロパガンダ‌‌、‌‌言論操作‌‌、および‌‌「ネオ封建制」‌‌といったより広範な支配戦略におけるこれらの戦術の連続性について結論づけています。

目次

  1. 前置き
  2. 要旨
  3. 全体俯瞰
    1. 要旨
    2. 1. カルロス・カスタネダの詐欺行為の解明
    3. 2. サイケデリック・ムーブメントの裏にある諜報活動
    4. 3. 兵器化された人類学と「ネイティブ・リバイバル」戦略
    5. 4. 諜報員が用いる偽情報戦術
    6. 5. エリートによるマインドコントロールの歴史的連続性
    7. 6. 結論と提言
  4. 調査報告書
    1. 1. 序論:カウンターカルチャーの裏面
    2. 2. 文化的情報操作の戦略的起源:OSSと「ネイティブ・リバイバル」
    3. 3. 主要人物と諜報機関との関連疑惑
    4. 4. 実行された情報操作の手法
    5. 5. 組織的黙認と支援体制
    6. 6. 動機の分析と長期的影響
    7. 7. 結論
  5. CIA との繋がりが疑われる人物
    1. 1. CIAとのつながりや雇用が疑われる主要人物
    2. 2. 諜報機関と情報操作の戦略
  6. Carlos Castaneda の虚偽と背景
    1. 1. 諜報機関との関連と情報操作の目的
    2. 2. 著作の虚偽と捏造(「ドン・ファン」の正体)
    3. 3. 個人的背景の捏造(パーソナル・ヒストリーの抹消)
  7. 知識人/機関への批判と倫理問題
    1. 1. 学術界における不正と機会主義
    2. 2. 諜報機関に加担した知識人への批判
    3. 3. 機関の倫理的監視の失敗と内部浸透の疑い
    4. 4. 反論ではなく中傷を用いる戦術
  8. 向精神薬運動の操作と PR キャンペーン
    1. 1. PRキャンペーンの動機と目的
    2. 2. PRエージェントとしての主要人物
    3. 3. 知識層による下準備とプロパガンダ手法
  9. 情報源

全体俯瞰

AI

カルロス・カスタネダの欺瞞とカウンターカルチャーへの諜報機関の影響

要旨

このブリーフィング文書は、高名な人類学者カルロス・カスタネダの著作が、実際には巧妙に構築された詐欺であり、より広範な諜報活動の一部であったことを詳述する。情報自由法(FOIA)の請求や内部告発者の証言から得られた証拠は、カスタネダ、R・ゴードン・ワッソン、テレンス・マッケンナ、バーバラ・マイヤーホフといったサイケデリック・ムーブメントの主要人物が、中央情報局(CIA)と関連を持っていたことを示唆している。

この活動の主な目的は、1960年代の反体制文化(カウンターカルチャー)のエネルギーを、ベトナム反戦運動や公民権運動といった建設的な政治活動から逸脱させ、疑似シャーマニズムや麻薬を中心とした内向的な「もう一つの現実」へと誘導することであった。この戦略は、OSS(CIAの前身)工作員であった人類学者グレゴリー・ベイトソンが提唱した「ネイティブ・リバイバル」という概念に基づいている。これは、先住民文化の表層的な側面を利用して、植民地化された人々とカウンターカルチャーの双方を鎮静化させるための社会統制手法である。

この欺瞞のネットワークを解明することは、学術界への諜報機関の深い浸透、エリート層によるマインドコントロール戦術の歴史的連続性、そして偽情報に対抗するための批判的思考の重要性を浮き彫りにする。

1. カルロス・カスタネダの詐欺行為の解明

ジェイ・ファイクス教授(人類学)の研究によると、カルロス・カスタネダの作品群は学術的研究ではなく、完全な創作物であった。その欺瞞は、彼の個人的な経歴から作品の内容に至るまで、あらゆる側面に及んでいる。

個人的経歴の抹消

カスタネダの著作で中心的な概念である「個人的経歴の抹消」は、彼自身の人生から生まれたものであった。

  • 出生の真実: ペルーで入手した出生証明書によると、カスタネダは1925年12月25日にペルーの山岳地帯にあるカハマルカで、未婚の両親のもとに生まれた。カトリックが支配的な保守的な社会において、「私生児」であることは彼に深い羞恥心を与えたと推測される。
  • 虚偽の経歴: 彼はこの事実を隠蔽し、死に至るまで嘘をつき続けた。彼の死亡証明書には、1935年にブラジルで生まれたと虚偽の記載がされている。
  • 彼のモットー: 3冊目の著書『イクストランへの旅』で、彼は「嘘が嘘になるのは、個人的な経歴があってこそだ」と述べている。これは彼の生涯にわたる行動原理(modus operandi)であった。

創作された物語と架空の人物

カスタネダが語った物語の多くは、検証不可能な作り話であった。

  • SSヤヴァリ号の謎: 彼がペルーからサンフランシスコに渡った際に乗船したと主張する「SSヤヴァリ号」は、実際には海への出口がないチチカカ湖に現存する観光船であり、外洋を航行することは物理的に不可能である。
  • ドン・ファンの創造: 彼の師とされるヤキ族の呪術師「ドン・ファン・マトゥス」は架空の人物である。彼の著作は、メキシコのウィチョル族やオアハカでの限定的な滞在経験、他の学者の研究、そして特にバーバラ・マイヤーホフとの共同作業に基づいて構築された創作物(コンポジット)であった。
  • 滝の跳躍: カスタネダ、マイヤーホフ、ピーター・T・ファーストの3人がそれぞれ独立して目撃したとされる「シャーマンの滝の跳躍」という重要なエピソードには、それを裏付けるフィールドノートや録音が一切存在しない。これはニューエイジの疑似シャーマニズムにおける「シャーマン的バランス」という重要な比喩として広まったが、その根拠は完全に捏造されたものである。

大衆を魅了した手口

カスタネダは、すでにサイケデリックな体験に関心を持っていた聴衆を巧みに惹きつけた。

  • 3つの幻覚植物: 彼の初期の著作では、ペヨーテ、ジムソンウィード(ダチュラ)、シロシビン・マッシュルームという3つの植物が、異次元の現実への扉を開く鍵として描かれた。
  • 時代の空気: オルダス・ハクスリーのメスカリン体験(1953年)やR・ゴードン・ワッソンのマジックマッシュルームに関する出版(1957年)によって、一般大衆はすでに幻覚植物への関心を高めていた。カスタネダはこの流れに乗り、アメリカ国内の文脈をメキシコに移植することで、信憑性のある物語を構築した。

2. サイケデリック・ムーブメントの裏にある諜報活動

カスタネダの成功は個人の才能によるものではなく、カウンターカルチャーを政治的に無力化することを目的とした、より大規模な諜報機関の作戦の一部であった。

CIAの関与と証拠

情報自由法(FOIA)に基づく請求により、サイケデリック・ムーブメントの主要人物とCIAとの関連が明らかになった。

  • 関連人物: カルロス・カスタネダ、R・ゴードン・ワッソン、バーバラ・マイヤーホフ、テレンス・マッケンナらのCIAファイルは、「国家安全保障」を理由に完全な開示が拒否された。これは、彼らが諜報機関との何らかの提携関係にあったことを示唆している。
  • ワッソンの役割: ワッソンはCIAのMKウルトラ計画のサブプロジェクト58を率いており、CIA長官アレン・ダレスやオルダス・ハクスリーと同じ「センチュリー・クラブ」のメンバーであった。彼は同クラブでカスタネダと会い、彼の研究について話し合っている。

目的:政治的活動からの逸脱

この作戦の核心的な目的は、社会変革のエネルギーを内向的な探求へと逸らすことにあった。

  • カウンターカルチャーの誘導: 1960年代のベトナム反戦運動や公民権運動の高まりに対し、諜報機関は若者たちの注意を政治から逸らし、カスタネダが言うところの「もう一つの現実(a separate reality)」、つまり疑似シャーマニズムとドラッグの世界へと誘導した。
  • 「カウンターカルチャーの燻製ニシン」: この運動は、本質的な社会問題から目を逸させるための「燻製ニシン(red herring)」、つまり目くらましとして機能した。

主要人物と組織

この作戦には、複数の人物と組織が相互に関連し合って関与していた。

人物/組織役割と関連
カルロス・カスタネダ作家、人類学者。ウィチョル族の文化を大衆化し、疑似シャーマニズムを広めた中心人物。CIAとの関連が疑われる。
R・ゴードン・ワッソンJPモルガンの銀行家、民族菌類学者。CIAのMKウルトラ計画に関与。マサテコ族のマジックマッシュルームを広めた。
オルダス・ハクスリー作家、思想家。MKウルトラ計画の黒幕の一人と目される。『すばらしい新世界』で描かれた薬物による社会統制を推進。
グレゴリー・ベイトソン人類学者。OSS/CIA工作員。マーガレット・ミードの夫。植民地統治戦略「ネイティブ・リバイバル」を理論化。
テレンス・マッケンナ作家、思想家。FBIから逃亡中に諜報機関にリクルートされ、PR担当として活動したことを認めている。「アーカイック・リバイバル」を提唱。
リチャード・デ・ミル心理学者。カスタネダの最初の「暴露者」だが、彼自身もCIA工作員であり、サイエントロジーの共同設立者。管理された反対意見の役割を果たした可能性。
ピーター・T・ファースト人類学者。ファイクスの著作の出版を脅迫によって妨害。CIAエージェントであると強く疑われている。
バーバラ・マイヤーホフ人類学者。カスタネダの協力者。CIAとの関連が疑われる。彼女へのインタビューテープはデ・ミルによって破棄された。
エサレン研究所カリフォルニアにある自己啓発施設。CIAのフロント組織として、これらの思想を広めるための拠点として機能した。

3. 兵器化された人類学と「ネイティブ・リバイバル」戦略

諜報機関は、学問分野、特に人類学を社会統制の道具として利用した。その中心にあったのが、グレゴリー・ベイトソンによって理論化された「ネイティブ・リバイバル」戦略である。

グレゴリー・ベイトソンの理論

  • OSSでの活動: ベイトソンは第二次世界大戦中、OSS(CIAの前身)に所属し、ビルマやタイで偽情報を流す「ブラック・プロパガンダ」活動に従事していた。
  • 「ネイティブ・リバイバル」: 1944年にOSSに提出された報告書で、彼は植民地化された先住民の抵抗を防ぐための戦略を提唱した。これは、ロシア人がシベリアの先住民に対して用いた手法を参考にしたものである。
    • 手法: 植民者が先住民文化の表層的な側面(踊り、工芸品など)を見つけ出し、それを称賛・奨励する。
    • 効果: これにより、先住民は植民者に評価されていると感じ、自尊心を回復する。その結果、ゴーストダンスのような戦闘的・排外的な抵抗運動に発展するのを防ぎ、より穏やかな形の植民地支配を可能にする。

戦略の適用事例

この「ネイティブ・リバイバル」戦略は、カウンターカルチャーをメキシコの先住民文化へと誘導するために繰り返し適用された。

  1. 第一の波(ワッソン): マサテコ族のマジックマッシュルームを大衆化し、ヒッピーたちをメキシコに引き寄せた。
  2. 第二の波(カスタネダ、ファースト、マイヤーホフ): ウィチョル族のペヨーテ儀式を神秘化し、商業的なツアーや関心を生み出した。
  3. 第三の波(マッケンナ): ベイトソンの概念を「アーカイック・リバイバル(太古の復活)」として再パッケージ化し、マヤ文明の2012年予言などを通じて人々の関心を再び中南米に向けさせた。

4. 諜報員が用いる偽情報戦術

この作戦に関与した人物たちは、自分たちの活動を隠蔽し、批判者を攻撃するために一貫した戦術を用いた。

  • 名誉毀損と脅迫: ピーター・T・ファーストは、ファイクスの著書を出版しようとした出版社に対し、訴訟をちらつかせて脅迫した。また、ファイクス個人に対しても「殺害予告をした」などと完全に虚偽の defamatory statements(中傷的な発言)を広めた。
  • 証拠隠滅: リチャード・デ・ミルは、バーバラ・マイヤーホフに行ったインタビューの録音テープを「破棄した」と主張。これにより、彼の著作に引用された部分以外の内容を検証することが不可能になった。
  • 管理された反対意見: CIA工作員であるデ・ミルがカスタネダの最初の「暴露者」となることで、議論の方向性をコントロールし、より深い諜報活動の側面が暴かれるのを防いだ可能性がある。
  • 内部矛盾の利用: カスタネダの著作には、例えば「植物には知恵を授ける精霊がいる」とした初期の主張を、後の著作で「あれは単に君の世界観を打ち砕くための手段だった」と自己否定するような、明白な矛盾点が存在する。これは作品が捏造であることを示す証拠となる。

5. エリートによるマインドコントロールの歴史的連続性

カウンターカルチャーに対する心理操作は、孤立した事件ではなく、エリート層が民衆を支配するために用いてきた歴史的な戦略の延長線上にある。

ローマ帝国からMKウルトラへ

ジョー・アトウェルの著書『シーザーズ・メサイア』は、ローマ帝国が戦闘的なユダヤ人を鎮圧するために、福音書を通じて意図的に「平和主義的な救世主(イエス)」を創作したという説を提唱している。これは、大衆の信仰や価値観を操作して社会をコントロールするという、2000年続くエリートの戦略を示唆している。この偽の現実、つまり「もう一つの現実」を大衆に受け入れさせるという手法は、カスタネダたちが用いたものと酷似している。

オルダス・ハクスリーのアジェンダ

作家のオルダス・ハクスリーは、この現代的なマインドコントロール計画の中心人物であったと見られている。

  • MKウルトラの指導者: 元陸軍情報部長官アルバート・スタブルバイン将軍は、ハクスリーがMKウルトラ計画の事実上の責任者であった可能性を認めている。
  • 優生学思想: 彼の祖父トーマス・ハクスリーや兄ジュリアン・ハクスリー(英国優生学協会初代会長)と同様、彼もまたエリート主義者であった。彼は「人口の0.5%が、残りの99.5%を支配すべきだ」と記している。
  • 『すばらしい新世界』の実現: 彼の小説は単なる警告ではなく、彼が実現を目指した社会の青写真であった。彼は薬物、プロパガンダ、そしてサイバネティクスのような新しい技術を用いて、人々が自らの「隷属を愛する」ように仕向ける社会を構想し、その実現に向けて活動していた。

6. 結論と提言

この一連の出来事から得られる最も重要な教訓は、個人と社会が情報操作に対して脆弱であるという事実である。

  • 欺瞞への認識: 最も重要なことは、プロパガンダや偽情報を認識するための知的なツールを身につけることである。「行間を読む」、テキスト間の矛盾点を探す、そして何よりも自分が騙されていた可能性を謙虚に認める能力が求められる。
  • 透明性と監視の要求: ファイクスは、CIAのような諜報機関に対する議会の監督を包括的に見直す必要性を訴えている。また、米国人類学会(AAA)の倫理委員会がファーストに対する申し立てを調査せずに棄却した事例は、学術機関でさえも外部からの圧力に脆弱であり、自己浄化能力を失っていることを示している。
  • 教育の重要性: 最終的に、このようなマインドコントロールから社会を守る唯一の方法は、人々が自ら考え、情報源を批判的に評価する能力を養うことである。人々が操作されている事実に気づき、自律的な思考を取り戻すことが、改革への第一歩となる。

調査報告書

AI

20世紀カウンターカルチャー運動における諜報機関の関与と情報操作に関する調査報告書

1. 序論:カウンターカルチャーの裏面

本報告書は、20世紀のサイケデリック運動が、単なる自発的な文化的現象ではなく、米国の諜報機関による周到な情報操作の対象であったとする疑惑を検証する。この疑惑の中心にあるのは、人類学者ジェイ・ファイクス教授の長年にわたる調査と証言である。ファイクス教授の研究は、60年代のカウンターカルチャーが、若者たちのエネルギーをベトナム反戦運動や公民権運動といった具体的な政治活動から逸らし、内面的・神秘的な探求へと誘導するための壮大なキャンペーンであった可能性を浮き彫りにする。文化が社会工学の道具としていかに利用されうるかを理解し、現代における情報操作のリスクを評価する上で、この疑惑の検証は極めて重要である。

本報告書は、ファイクス教授の証言と調査を主軸に据える。情報公開法(FOIA)請求に対する諜報機関の不可解な応答、主要人物自身の告白、そして著作間の矛盾点などを丹念に分析し、サイケデリック運動の中心人物と諜報機関との関連性、その具体的な手口、背後にある動機、そして社会に与えた長期的影響を客観的に解き明かす。

次章ではまず、これらの情報操作の戦略的起源を第二次世界大戦期にまで遡り、その理論的基盤を検証する。

2. 文化的情報操作の戦略的起源:OSSと「ネイティブ・リバイバル」

ファイクス教授の研究が指し示す文化的情報操作という概念は、第二次世界大戦中に活動した戦略情報局(OSS)、すなわち中央情報局(CIA)の前身組織から生まれた。当時、多くの人類学者が戦争遂行のために政府機関に協力しており、彼らの知見が敵国へのプロパガンダや、植民地統治における被支配民族の懐柔策に応用された。この時期に確立された理論と手法は、戦後のCIAによる秘密工作の雛形となり、後のカウンターカルチャーへの介入においてもその戦略的基盤を形成した。

この戦略の形成において中心的な役割を果たしたとファイクスが指摘するのが、著名な人類学者グレゴリー・ベイトソンである。彼はOSSに協力し、プロパガンダと植民地統治に関する重要な戦略を考案した。

  • ブラック・プロパガンダの実践: 第二次世界大戦中、ベイトソンはビルマやタイで秘密裏のラジオ放送作戦に従事した。その手法は、敵国である日本の公式放送を装い、その主張を意図的に誇張して放送することで、敵のプロパガンダの信頼性を内部から失墜させるというものであった。これは、現代で「偽情報(disinformation)」と呼ばれる手法の典型例である。
  • 「ネイティブ・リバイバル」戦略: ベイトソンは1944年のOSSへの報告書で、植民地化された先住民の過激な抵抗運動を防ぐための戦略として「ネイティブ・リバイバル」を提唱した。これは、ロシアがシベリアの先住民に対して用いた手法を参考にしたもので、先住民文化の一部(ダンス、歌、工芸品など)を植民者側が称賛・奨励することで彼らの自尊心を高め、より穏健な形で文化を維持させることで、政治的・軍事的な抵抗意欲を削ぐことを目的としていた。

この「ネイティブ・リバイバル」というコンセプトは、カウンターカルチャーを操作する上で極めて重要な原型となったとファイクスは分析する。後にテレンス・マッケナが「アルカイック・リバイバル(太古への回帰)」という言葉で再定義したように、米国の若者たちの関心を、メキシコの先住民文化やシャーマニズムといった「エキゾチックで非政治的な」対象へと誘導する手法の理論的支柱となったのである。

これらの戦略的基盤が、具体的な人物を通じてどのようにサイケデリック運動に展開されていったのかを次のセクションで検証する。

3. 主要人物と諜報機関との関連疑惑

サイケデリック運動を牽引した主要人物たちの多くに、米国の諜報機関との関連が疑われている。ファイクス教授によれば、情報公開法(FOIA)に基づく彼らに関する請求は、国家安全保障を理由にその多くが開示拒否されている。その拒否理由の文言「調査すれば機関との提携(a search would reveal agency affiliations)が明らかになる」は、彼らが単なる文化的アイコンではなく、何らかの形で諜報活動に関与していたことを示唆するものだとファイクスは解釈する。本章では、個々の人物の具体的な役割と諜報機関との接点を分析する。

3.1.1. R・ゴードン・ワッソン:プロパガンダの先駆者

JPモルガンの副社長であったR・ゴードン・ワッソンは、単なるアマチュアの民族植物学者ではなかった。ファイクス教授の調査は、ワッソンがCIAの悪名高いマインドコントロール計画、MKウルトラのサブプロジェクト58を主導していたと指摘している。さらに、ワッソンはニューヨークのエリートが集うセンチュリー・クラブの重鎮であり、そこでCIA長官アレン・ダレスや思想家オルダス・ハクスリーといった人物と協力関係にあった。そして、この金融、諜報、エリート思想が交差するまさにその場所で、ワッソンはカルロス・カスタネダとも会合を持っていたのである。これは一連の偶然ではなく、調整された動きであった可能性を示唆している。また、ワッソンが「プロパガンダの父」エドワード・バーネイズの親友であった事実は、彼が大衆心理を操作する広報(PR)の専門知識をこの運動に応用した可能性を裏付けている。

3.1.2. カルロス・カスタネダ:捏造されたシャーマニズム

人類学者カルロス・カスタネダは、その著作群を通じてカウンターカルチャーに絶大な影響を与えたが、ファイクス教授の調査は、彼の経歴と作品内容が数多くの虚偽と矛盾に満ちていることを明らかにしている。彼のペルーの出生証明書によれば、彼は1925年生まれだが、米国の死亡証明書には1935年ブラジル生まれと記載されている。この基本的な経歴詐称の動機について、ファイクスは、カスタネダが私生児として生まれたことへの恥の意識にあったのではないかと考察する。彼の哲学の中心である「個人的な歴史の抹消」という概念は、自身の過去を隠蔽し、嘘を正当化するための理論武装であった可能性があるのだ。

彼の創作の厚かましさは、米国への移住に関する逸話に象徴される。カスタネダは、ペルーからサンフランシスコまで「SSヤヴァリ号」に乗ってきたと主張したが、この船はチチカカ湖に浮かぶ観光船であり、外洋に出ることは物理的に不可能である。このような荒唐無稽な嘘は、彼の作品全体がフィクションであることを示唆している。

3.1.3. テレンス・マッケナとティモシー・リアリー:工作員としての告白

カウンターカルチャーの他の指導者たちも、自らが工作員であったことを示唆する発言を残している。テレンス・マッケナは、ある音声記録の中で、FBIに追われる身であった1971年に、ある「組織」から「君のような口達者には、我々の組織に居場所がある」とスカウトされ、「広報(PR)」担当になったと自ら認めている。ファイクスが指摘するように、この講演が「CIAのフロント組織」と目されるエサレン研究所で、インターネットでの拡散など想定されていなかった時代の、信頼できる少人数の聴衆を前に行われたという状況が、この告白の信憑性を高めている。マッケナが自身を「吟遊詩人(バード)」と称していたことは、権力者の物語を大衆に語り聞かせるPR担当者としての役割を暗示している。

同様に、「LSDの教祖」ティモシー・リアリーも、ある映像の中で自分たちの活動について語る際に、無意識に「我々のエージェンシー(Our agencies)」という言葉を使い、自らが諜報機関の一員であったことを認めたとされる逸話を、ファイクスは紹介している。

これら主要人物の活動の裏にある共通した手口と戦術について、次のセクションで体系的に分析する。

4. 実行された情報操作の手法

ファイクス教授の調査が明らかにするのは、カウンターカルチャーを特定の方向へ誘導するために用いられた手法が、単なる個別の嘘の集合体ではなく、体系的かつ巧妙な情報戦の戦術に基づいていたという事実である。これらの手法は、若者たちの意識を現実の政治問題から逸らし、管理された神秘主義へと向かわせることを目的としていた。

偽りの現実への誘導:「分離した現実」の構築

カスタネダの著書タイトル『分離した現実(A Separate Reality)』は、この情報操作の目的そのものを象徴しているとファイクスは論じる。ベトナム反戦運動や公民権運動といった現実の政治的・社会的問題から若者たちの注意を逸らすため、サイケデリック体験や捏造されたシャーマニズムといった、魅力的だが非政治的な「偽りの現実」が提供された。これは、社会変革へのエネルギーを内面への探求に振り向けさせ、無力化するための戦略であった。

人格攻撃による批判の封殺

このキャンペーンの欺瞞を暴こうとする研究者に対しては、その主張内容に反論するのではなく、批判者自身の評判を貶めることでその発言の信憑性を失わせるという人格攻撃が組織的に行われた。この戦術は、中核となる議論を避け、反対意見を沈黙させるための古典的な諜報機関の手法である。ファイクス教授自身がその主要な標的となった。彼は、同僚の学者ピーター・T・ファーストらによって、「殺害予告をした」といった「全くの作り話」で中傷され、学術界から孤立させられそうになったと証言している。

証拠隠滅と管理された反対意見

工作の物的な証拠は徹底的に破壊され、一方で限定的な「暴露」を行うことで、より大きな組織的関与から大衆の目を逸らす戦術が用いられた。カスタネダの「暴露本」を執筆したリチャード・デミルは、重要な証言者であったバーバラ・マイヤーホフとのインタビューの録音テープを「破棄した」と主張した。これは、第三者による検証を不可能にし、情報をコントロール下に置くための意図的な証拠隠滅行為であったとファイクスは見ている。さらに、デミルのような人物が「暴露者」の役割を担うこと自体が、「管理された反対意見」の一環であった可能性も指摘する。カスタネダを個人の詐欺師として描くことで、彼の背後にあるCIAのような組織の関与という、より深刻な問題から世間の注意を逸らす効果があった。

テキスト間の矛盾の利用

プロパガンダや創作物を見抜く有効な分析手法として、複数のテキストを比較読解し、その矛盾を明らかにすることが挙げられる。ファイクスが具体的に指摘するように、カスタネダは最初の著書でペヨーテを「我々の兄、トマシ」と呼び、知恵を授ける神聖な存在として描いた。しかし後の著書では、それは単に「旧来の世界観を打ち砕くための道具に過ぎなかった」と述べ、自身の主張を根本から覆している。このような矛盾の分析は、単一のテキストだけでは見えない制作者の意図や捏造の痕跡を浮かび上がらせる。

これらの手法が、学術界や文化団体といった制度的な枠組みの中で、どのように支援され、増幅されていったのかを次のセクションで検証する。

5. 組織的黙認と支援体制

一連の情報操作キャンペーンは、個々の工作員の活動だけで成り立っていたわけではない。学術団体や文化施設といった権威ある組織が、意図的か否かにかかわらず、この活動に加担、あるいは利用されることで、プロパガンダは社会的に容認され、広範囲に浸透していった。

アメリカ人類学会:機能不全に陥った倫理委員会

学術界の健全性を保つべき組織が、その役割を放棄した事例として、アメリカ人類学会(AAA)の対応が挙げられる。ファイクス教授らが、同僚のピーター・T・ファーストによる脅迫や名誉毀損といった非倫理的行為についてAAAの倫理委員会に正式な申し立てを行った。しかし、委員会は正当な理由を示すことなく調査を放棄し、最終的には倫理問題を裁定する部門そのものを解散させるという異常な決定を下した。ファイクスはこの不可解な対応について、二つの可能性を考察している。一つは、学会側がファーストからの訴訟を恐れたという可能性。もう一つは、CIAが人類学界に深く浸透しており、組織が「仲間」である工作員を保護したという可能性である。いずれにせよ、学術界の自浄作用が完全に機能不全に陥っていたことを示している。

エサレン研究所:カウンターカルチャーのCIA拠点か

カリフォルニア州ビッグサーに位置するエサレン研究所は、ヒューマン・ポテンシャル運動の中心地として知られるが、その設立と運営には諜報機関が深く関与していた疑いが持たれている。ファイクス教授の見解によれば、この施設は事実上「CIAのフロント組織」として機能し、諜報関係者が集い、カウンターカルチャー向けの思想やプロパガンダを開発・普及させるための拠点となっていた。オルダス・ハクスリーのような思想家や、テレンス・マッケナのような工作員がここで講演を行い、社会に影響を与えるための新たな「ミーム」を広めていた。エサレン研究所は、諜報活動を文化的な装いの下に隠蔽するための、極めて効果的なプラットフォームであった可能性がある。

これらの活動の背後にある最終的な動機と、それが社会に与えた長期的な影響について、次のセクションで総括する。

6. 動機の分析と長期的影響

一連の情報操作の背後には、単なる文化的な流行の創出を超えた、より深い社会工学的なアジェンダが存在した。ファイクス教授が論じるその究極的な動機は、社会の根幹に関わる政治的エネルギーを無力化し、エリート層による支配をより容易にすることにあった。この活動は、カウンターカルチャー世代のみならず、その後の米国社会全体に深刻かつ長期的な影響を及ぼした。

政治的アクティビズムからの逸脱

最大の動機は、1960年代に高まりを見せていた若者たちの政治的エネルギーを、現実の社会問題から逸らすことにあった。ベトナム反戦運動や公民権運動は、当時の米国政府や支配体制にとって深刻な脅威であった。そこで、サイケデリックや偽のシャーマニズムといった内面的・神秘的な探求をカウンターカルチャーの主流に据えることで、若者たちの関心を「外」の政治闘争から「内」の精神世界へと向けさせた。これにより、体制変革を目指す組織的な政治活動は勢いを失い、個人主義的で非政治的な自己実現へと矮小化されたのである。

オルダス・ハクスリーの思想的青写真

この情報操作の思想的支柱となったのが、『すばらしい新世界』の著者であるオルダス・ハクスリーの思想であるとファイクスは指摘する。彼自身、かつてはハクスリーやベイトソンの知性に多大な影響を受けたことを認めながらも、その裏に隠されたエリート主義的なアジェンダの発見は「飲み込むには苦い薬」であったと語る。ハクスリーは、表向きには独裁制を批判しつつ、その裏ではエリートによる大衆支配の青写真を描いていた。

  • エリートによる支配: ハクスリーは、人口の99.5%を「愚かで凡庸」とみなし、知的に優れた0.5%のエリート層が彼らを支配するべきだと考えていた。彼の思想は、大衆を管理・操作の対象とみなす優生学的なエリート主義に根差している。
  • 「素晴らしき新世界」の実現: 彼の目標は、恐怖や暴力による支配ではなく、薬物やプロパガンダ、心理操作技術を駆使して、人々が自らの「隷属を愛する」ように仕向ける、より洗練された独裁体制を構築することであった。これは、被支配者の「同意」に基づいた、抵抗の意思すら生まれない究極の管理社会である。サイケデリック運動の推進は、このビジョンを実現するための壮大な社会実験であった可能性が指摘されている。

この情報操作がもたらした長期的な影響は計り知れない。大衆は巧妙なプロパガンダに対して脆弱になり、権威ある情報源や魅力的な物語を無批判に受け入れる傾向が強まった。その結果、批判的思考力が低下し、諜報機関の活動に対する議会の監督機能不全や透明性の欠如といった、現代に至るまで続く深刻な問題を助長する一因となった可能性がある。

最後に、本報告書の調査結果を総括する。

7. 結論

本報告書で提示された、ジェイ・ファイクス教授の調査に基づく証拠と分析は、20世紀のカウンターカルチャー、特にサイケデリック運動が、単なる自発的な若者文化の爆発ではなく、米国の諜報機関によって深く浸透され、特定の政治的目的のために操作されていたという疑惑を強く裏付けている。R・ゴードン・ワッソン、カルロス・カスタネダ、テレンス・マッケナといった主要人物たちの諜報機関との関連疑惑、彼ら自身の告白、そして彼らが用いた体系的な情報操作の手法は、この運動が周到に計画されたプロパガンダ・キャンペーンであった可能性を明確に示している。

この歴史から我々が学ぶべき教訓は、極めて現代的である。第一に、プロパガンダや情報操作を見抜くための批判的思考力の重要性である。特に、複数の情報源を比較し、テキスト間の矛盾や背景にある意図を読み解く能力は、情報が氾濫する現代社会を生きる上で不可欠なスキルとなる。第二に、市民が権力機関、とりわけ諜報機関のような秘密主義的な組織に対して、透明性と説明責任を粘り強く要求し続ける必要性である。

最終的に、この調査は我々一人ひとりに対し、自らの信念や価値観、そして現実認識が、外部からいかにして形成されているかを常に問い続けることの重要性を突きつけている。ファイクス教授が語るように、最も重要なのは、自分が騙された可能性を認める知的謙虚さを持ち、その過ちから学ぶことである。歴史の暗部から目を逸らさず、そこから学ぶことこそが、未来において同じ過ちが繰り返されるのを防ぐ唯一の道なのである。

CIA との繋がりが疑われる人物

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情報操作と諜報機関の関与という大きな文脈において、本ソースは、いわゆるサイケデリック運動や人類学界にまで及ぶ‌‌中央情報局(CIA)の広範な影響力‌‌があったと論じています。

情報公開法(FOIA)に基づく調査などにより、特定の人物がCIAとつながりがある、または雇用されていたという疑いが持たれています。

CIAとの関連が疑われる主要人物と、彼らが情報操作の文脈で果たした役割は以下の通りです。

1. CIAとのつながりや雇用が疑われる主要人物

情報公開法による要求から、以下の人物がCIAに「関連している、および/または雇用されていた」という事実が明確になったとされていますが、完全な記録は国家安全保障上の理由で開示されていません。

  • ‌R・ゴードン・ワッソン (R. Gordon Wasson):‌‌ CIAに接続または雇用されていたとされています。彼はMKウルトラ(MK Ultra)の副計画58を率いていました。彼はCIA長官であったアレン・ダレスやアルダス・ハクスリーと共にセンチュリークラブで活動していました。また、ワッソンは、プロパガンダの父である親友のエドワード・バーネイズによって訓練された、広報活動(PR)に非常に長けた人物であると指摘されています。
  • ‌カルロス・カスタネダ (Carlos Castaneda):‌‌ 明らかにCIAに接続または雇用されていたとされています。「ドン・ファン」は架空の人物であり、彼の著作は完全に捏造されたもの(concocted)であると見られています。カスタネダは、バーバラ・マイヤーホフらと積極的に協力していました。彼の本のタイトルの一つである『分離した現実(Separate Reality)』は、エリート層が政治闘争から人々の注意をそらすために「分離した現実」を作り出すという戦略を皮肉ったものである可能性が示唆されています。
  • ‌バーバラ・マイヤーホフ (Barbara Meyerhoff):‌‌ CIAに接続または雇用されていたとされています。彼女もカスタネダと共謀していたと見られています。
  • ‌リチャード・デイル (Richard Deil):‌‌ CIAに接続または雇用されていたとされています。彼はカスタネダの最初の「論破者」(debunker)を装いながら、研究者に対する偽情報キャンペーンを主導しました。彼はL・ロン・ハバードと共にサイエントロジーの主要な創設者の一人でもありました。彼は、自身が行ったバーバラ・マイヤーホフへのインタビューの証拠テープを破棄しており、これは情報機関の関与者が証拠隠滅のために取る戦術であると見なされています。
  • ‌テレンス・マッケンナ (Terrence McKenna):‌‌ 明らかにCIAに接続または雇用されていたとされています。彼は、FBIに追われ資金が底をついた際、「組織」に採用されたことを認めています。彼は「ディープ・バックグラウンド」での職務を経て、「広報(PR)」に異動したと語っており、PR担当者は「金で雇われた嘘つき」であると説明されています。彼は1970年代に東ティモールでディープ・バックグラウンドの仕事をしていました。

2. 諜報機関と情報操作の戦略

これらの人物が関与したとされる情報操作は、より大きな戦略の一環として説明されています。

  • ‌広範な転換工作(Diversion):‌‌ 諜報機関の影響力は、当時(1960年代)の建設的な政治活動、特に反ベトナム戦争運動や公民権運動から、世代の意識をそらすことを目的としていました。人々を「偽のシャーマン」や「いわゆる幻覚剤」で満たされた「ネバーランド」のような場所に誘導しようとしました。
  • ‌「偽の現実」の創出:‌‌ これらの工作は、国民の意識を世界の外交政策の問題やCIAによる秘密作戦の精査から遠ざけ、代替の「偽の現実」(separate reality)へと向けさせるためのPRキャンペーンでした。
  • ‌MKウルトラとの関連:‌‌ R・ゴードン・ワッソンはMKウルトラの副計画を率い、‌‌グレゴリー・ベイトソン‌‌と‌‌アルダス・ハクスリー‌‌はMKウルトラの主要な創設者であり、メイシー財団の会議にも参加していました。ハクスリーは軍情報部の元責任者によってMKウルトラの責任者と見なされていた可能性があります。ハクスリーは、人々を「彼らが愛する奴隷状態」に置くために、薬物(ソーマ)やプロパガンダを用いる未来の独裁政権の危険性について公に語っていましたが、彼自身がこれらの技術を推進する中心人物であったことは隠されていました。
  • ‌人類学の武器化:‌‌ 人類学も工作活動に利用されました。CIAの前身である戦略事務局(OSS)に所属していたグレゴリー・ベイトソンは、1944年の報告書で「ネイティブ・リバイバル(土着文化の復興)」戦略を提言しました。これは、植民地化された民族に、観光促進や自尊心向上に役立つ文化的側面(例:ウィチョル族のペヨーテ狩り)を披露させ、それを植民者(支配者)が称賛することで、ネイティブがより過激化したり抵抗運動を起こしたりするのを防ぐという手法です。テレンス・マッケンナはこの概念を「アルカイック・リバイバル(古拙の復興)」として再販促進しました。
  • ‌証拠の隠蔽と中傷:‌‌ 疑惑を追求する研究者(ジェイ・ファイクス博士など)に対して、情報機関の戦術として、証拠の破棄(デイルによるテープ破壊)や、論点を反論せずに個人的な嘘や中傷(名誉毀損)で攻撃する手法が用いられました。アメリカ人類学協会(AAA)の倫理委員会が、ピーター・T・ファースト博士(CIAとの直接的なつながりは明記されていないが、情報操作に関与し、研究者を中傷した人物)に対する苦情を不当に却下したことは、CIAがアメリカ人類学界に深く浸透している可能性を示唆しています。

これらのソースは、サイケデリック運動やカウンターカルチャーへの関心は、実際には諜報機関によって仕組まれたものであり、彼らとつながりのある人物たちが、プロパガンダと偽情報を用いて社会を支配し、人々の意識を政治的・社会的な問題からそらすための「新しい疑似宗教」を作り出したと結論づけています。

Carlos Castaneda の虚偽と背景

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情報操作と諜報機関の影響というより大きな文脈において、本ソースは、カルロス・カスタネダ(Carlos Castaneda)の作品が‌‌中央情報局(CIA)の広範な影響力‌‌の下で行われた‌‌広報キャンペーン(PR campaign)‌‌の一環として、いかに完全に虚偽であったか、そして彼がいかにして自身の個人的な背景を捏造したかについて詳述しています。

以下に、カスタネダの虚偽と背景に関する主な論点を説明します。

1. 諜報機関との関連と情報操作の目的

  • 情報公開法(FOIA)に基づく要求により、カルロス・カスタネダ(Carlos Costana)が‌‌CIAに「関連している、および/または雇用されていた」‌‌という事実が明確になったとされています。国家安全保障上の理由から、完全な記録は開示されていません。
  • 彼の作品は、‌‌カウンターカルチャーに対する目くらまし‌‌として機能し、特に1960年代の反ベトナム戦争運動や公民権運動のような建設的な政治活動から、一世代の意識をそらす目的がありました。
  • 彼の著書の一つ『分離した現実(Separate Reality)』というタイトルは、エリート層が政治闘争や抗議から人々の注意をそらすために‌‌「分離した現実」を作り出す戦略‌‌を揶揄したものであり、‌‌皮肉(tongue-in-cheek)‌‌であった可能性が示唆されています。
  • 彼の作品は、国民の意識を世界の外交政策やCIAの秘密作戦の精査から遠ざけるためのPRキャンペーンとして、‌‌「新しい疑似宗教」‌‌を作り出しました。

2. 著作の虚偽と捏造(「ドン・ファン」の正体)

  • カスタネダの著作は‌‌「完全に捏造されたもの(completely concocted)」‌‌であり、彼の「師」とされる‌‌ドン・ファン(don Juan)は架空の人物‌‌であったと見られています。
  • 彼の作品は、メキシコでの限られた経験(ウィチョル族やオアハカでの滞在)、他の学者の著作の読解、そして特に‌‌バーバラ・マイヤーホフ(Barbara Meyerhoff)‌‌との接触を通じて得た情報を組み合わせて作り上げられた‌‌寄せ集め(composite)‌‌であるとされています。彼はマイヤーホフと積極的に共謀していました。
  • ‌テキスト上の矛盾‌‌が、彼の作品が捏造であることを示しています。例えば、最初の著書ではペヨーテ、ジムソン・ウィード、シロシビン・マッシュルームが「知恵を教える」「友を得る」‌‌霊的な教師‌‌であると主張していましたが、3巻目の『イクストランへの旅(Journey to Ixtlan)』では、ドン・ファンがこれらの強力な植物を与えたのは‌‌「彼の世界観を打ち砕くための障害」‌‌としてであり、植物自体には霊的な友(ally)や霊などいないと、前の主張を真っ向から否定しています。
  • 彼は、MKウルトラ副計画58の責任者であった‌‌R・ゴードン・ワッソン(R. Gordon Wasson)‌‌と、センチュリークラブで昼食を共にしてこれら(工作活動)について話し合っていたことが、書簡により判明しています。

3. 個人的背景の捏造(パーソナル・ヒストリーの抹消)

カスタネダは、彼の著書の中で‌‌「個人的な履歴を消去すること(erasing personal history)」‌‌を提唱し、私生活においてもそれを徹底しました。

  • ‌出生地の虚偽:‌‌ 彼の死亡証明書には‌‌1935年ブラジル生まれ‌‌と記載されていましたが、これは嘘であり、彼は死後さえも嘘を続けたことになります。
  • ‌真実の出生地と背景:‌‌ 友人がペルーで入手した出生証明書によると、彼は実際には‌‌1925年12月25日、ペルーの山間部の町カハマルカ(Cajamarca)‌‌で生まれました。
  • ‌非嫡出子であることの隠蔽:‌‌ 彼の両親は彼が生まれた当時結婚しておらず、彼は‌‌非嫡出子(bastard child)‌‌でした。1925年当時の保守的なカトリックの世界において、この「低い地位」に対する恥の感情が、彼に個人的な歴史を消去させる動機となった可能性が示唆されています。
  • ‌渡米経緯の虚偽:‌‌ 彼はペルーからサンフランシスコにSSヤバリ号で航海したと主張しましたが、この船は世界で最も高い航行可能な湖であるチチカカ湖に係留されているため、‌‌大洋に出る出口がなく、物理的に不可能‌‌です。これは彼一流のユーモアか捏造の例とされています。
  • ‌欺瞞の動機:‌‌ 彼は妻マーガレットを含む全ての人に嘘をつき、真実を認めるよりも‌‌より壮大な自己の説明‌‌を好みました。彼の人生における行動様式(modus operandi)は、3巻目の著書にある「あなたが個人的な履歴を持っていなければ、嘘は嘘でなくなる」という考えに基づいています。

彼は人類学の博士号(UCLA)を持ちながら、詐欺師(fraud)として人類学界の最高の地位を占めていることは、非常に嘆かわしいことだと結論づけられています。

知識人/機関への批判と倫理問題

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情報操作と諜報機関の影響というより大きな文脈において、本ソースは、カルロス・カスタネダの虚偽を中心とする一連の工作活動が、‌‌知識人コミュニティや学術機関、特に人類学界の倫理と誠実さ‌‌に深刻な亀裂をもたらしたと述べています。

カスタネダの事例は、個人の欺瞞を超えて、諜報機関がどのように知識人を利用し、また学術機関がいかにその監視と倫理的責任を放棄したかを示すものとして、強く批判されています。

1. 学術界における不正と機会主義

  • カルロス・カスタネダはUCLAで人類学の博士号を取得した人物ですが、その著作が‌‌「完全に捏造されたもの(completely concocted)」‌‌であり、彼の「師」ドン・ファンが架空の人物であったという事実は、人類学界にとって大きな倫理的問題を突きつけています。
  • 彼は‌‌「詐欺師(fraud)」‌‌であるにもかかわらず、おそらく「史上最も有名な人類学者」の地位を占めていることは‌‌「本当に残念(really unfortunate)」‌‌なことだと述べられています。
  • 彼の成功は、彼の著作のタイトルにもある通り、「学術的日和見主義(academic opportunism)」と「サイケデリックな60年代」を利用した結果だと見られています。

2. 諜報機関に加担した知識人への批判

ソースは、カウンターカルチャーを逸脱させるPRキャンペーンに積極的に加担した、複数の著名な学者や知識人を批判しています。

  • ‌諜報機関への接続と雇用:‌‌ 情報公開法(FOIA)の要求により、R・ゴードン・ワッソン、バーバラ・マイヤーホフ、カルロス・カスタネダ、リチャード・デイル、テレンス・マッケンナといったキーパーソンが、‌‌CIAに「接続および/または雇用されていた」‌‌ことが明確になったとされています。
  • ‌「偽の論破者」の役割:‌‌ ‌‌リチャード・デイル‌‌は、カスタネダの最初の‌‌「論破者(debunker)」‌‌を自称しながら、実際にはCIAに繋がっており、L・ロン・ハバードと共にサイエントロジーの主要な創設者の一人でもありました。
  • ‌証拠隠滅の戦術:‌‌ デイルは、情報機関の関与者が証拠を隠滅するためにとる戦術として、バーバラ・マイヤーホフとのインタビューの証拠テープを‌‌「破壊した」‌‌とされています。これにより、彼らがインタビュー内容を捏造したとしても、それを検証する術がなくなりました。
  • ‌人類学の武器化:‌‌ ‌‌グレゴリー・ベイトソン‌‌(人類学者、マーガレット・ミードの夫)はOSS(CIAの前身)時代に、征服された民族の抵抗を防ぐために、彼らの文化の一部を称賛させる‌‌「ネイティブ・リバイバル(土着文化の復興)」‌‌戦略を提言しており、これは後にテレンス・マッケンナによって‌‌「アルカイック・リバイバル」‌‌として再販促進されました。ベイトソンと‌‌アルダス・ハクスリー‌‌は、MKウルトラ設立の主要な創設者でした。
  • ‌ハクスリーの欺瞞:‌‌ アルダス・ハクスリーは公の場で、人々を「彼らが愛する奴隷状態」に置くために薬物やプロパガンダを用いる将来の独裁政権の危険性について警告していましたが、彼はその技術を推進する‌‌「主要なエンジニアの一人」‌‌であったという事実を隠していました。

3. 機関の倫理的監視の失敗と内部浸透の疑い

最も深刻な批判の一つは、学術機関自体が不正行為の調査と対処に失敗したことです。

  • ‌AAA倫理委員会の機能不全:‌‌ カスタネダの虚偽を暴こうとした研究者(ジェイ・ファイクス博士ら)は、彼らを‌‌積極的に中傷し名誉を毀損した‌‌ピーター・T・ファースト博士(カスタネダと共同作業をしたとされる人物)に対して、アメリカ人類学協会(AAA)の倫理委員会に苦情を提出しました。
  • ‌不当な却下:‌‌ 倫理委員会は、‌‌「いかなる正当化もなく」‌‌これら3件の苦情を全て却下し、苦情を裁定する部門を解散させました。これにより、‌‌「盗作も、詐欺も、他の人類学者を中傷することも許容される」‌‌という、全く監視の効かない状態になったと批判されています。
  • ‌CIA浸透の可能性:‌‌ 倫理委員会が調査を拒否した行動について、ファースト博士による訴訟を恐れた可能性 とともに、‌‌「CIAがアメリカ人類学に深く浸透しており、同業のエージェントを暴露したくなかった」‌‌ために、倫理委員会が動かなかったのではないかという結論に至っています。

4. 反論ではなく中傷を用いる戦術

ソースは、これらの工作に関わる人物や機関が、実質的な倫理的・学術的問題に直面した際に用いる古典的な戦術を指摘しています。

  • ‌防御としての虚偽と中傷:‌‌ 工作活動が論理的な議論や証拠によって反論できなくなった場合、彼らが取る唯一の防御策は、‌‌「嘘をつき、私たちを中傷する」‌‌ことであると断言されています。彼らは、暴露した側が書いた‌‌「実質的な論点を決して取り上げない」‌‌まま、個人攻撃を行うのです。
  • ‌「偽りの現実」の創出:‌‌ これらの工作は、国民の意識を建設的な政治活動や外交政策の問題から遠ざけ、‌‌「新しい疑似宗教」‌‌や、カスタネダが呼んだ‌‌「分離した現実(separate reality)」‌‌へと導くためのPRキャンペーンでした。

要するに、カスタネダの欺瞞の文脈における知識人や機関への批判とは、CIAの工作活動は、学術的地位や権威を持つ者たちを使い、彼らの倫理的誠実さを利用して偽情報を流布し、さらには、その不正を監視すべき学術機関自体が内部から汚染されている可能性を示唆する、‌‌広範な倫理的危機‌‌であったということです。

向精神薬運動の操作と PR キャンペーン

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情報操作と諜報機関の影響というより大きな文脈において、本ソースは、‌‌向精神薬運動全体が、国民の意識を建設的な政治活動から逸らすために、CIAのエージェントや協力者によって組織的に計画・実行されたPRキャンペーン‌‌であったと主張しています。

カルロス・カスタネダの活動は、この広範な情報操作計画の重要な一部として位置づけられています。

ソースが説明する向精神薬運動の操作とPRキャンペーンの主要な側面は以下の通りです。

1. PRキャンペーンの動機と目的

諜報機関がサイケデリック運動に介入した主な動機は、1960年代に高まっていた政治活動から大衆の注意をそらすことでした。

  • ‌意識の転換(Diversion):‌‌ 諜報機関の影響力は、当時活発だった‌‌反ベトナム戦争の抗議活動や公民権運動‌‌などの「建設的な政治活動」から、一世代全体(そして今や二世代目)の意識を逸らすことを目的としていました。
  • ‌「偽の現実」の創出:‌‌ この工作は、人々の注意を世界の外交政策やCIAの秘密作戦の精査から遠ざけ、代わりに「疑似シャーマン」や「いわゆる向精神薬」に満ちた‌‌「ネバーランド」‌‌のような場所に誘導しようとしました。カスタネダが自身の著書の一つで用いたタイトル‌‌「分離した現実(Separate Reality)」‌‌は、エリート層が政治的闘争から人々を逸らすために作り出す「分離した現実」の戦略を皮肉ったもの(tongue-in-cheek)であった可能性が示唆されています。
  • ‌新しい疑似宗教の構築:‌‌ このPRキャンペーンは、プロパガンダによって現実として受け入れられるように押し出され、結果として‌‌「新しい疑似宗教」‌‌を作り出したと結論付けられています。

2. PRエージェントとしての主要人物

情報公開法(FOIA)の要求により、サイケデリック運動の主要人物がCIAとつながりがある、または雇用されていたことが明らかになったとされています。

  • ‌R・ゴードン・ワッソン(R. Gordon Wasson):‌‌ 彼はCIA長官アレン・ダレスらと共にセンチュリークラブで活動し、MKウルトラ副計画58を率いていました。彼はプロパガンダの父‌‌エドワード・バーネイズの親友‌‌であり、彼によって広報活動(PR)の訓練を受けていました。ワッソンはメキシコの‌‌マサテカ族のマッシュルーム‌‌を普及させることで、ヒッピー(カウンターカルチャー)をメキシコに引きつける「波」を始めました。
  • ‌カルロス・カスタネダ(Carlos Castaneda):‌‌ CIAに接続または雇用されていたとされています。彼はワッソンとセンチュリークラブで昼食を共にし、これらの工作活動について話し合っていました。カスタネダは、ハクスリーやワッソンによってすでに準備されていた聴衆に対し、ペヨーテ、ジムソン・ウィード、シロシビン・マッシュルームという既存のサイケデリックな関心を利用し、「ヤキ族の呪術師」の物語を捏造して売り込みました。
  • ‌テレンス・マッケンナ(Terrence McKenna):‌‌ 自身がFBIに追われ資金難に陥った際、「組織」に採用され、後に‌‌「広報(Public Relations)」‌‌部門に異動したことを認めています。彼は「PR担当者は‌‌金で雇われた嘘つき‌‌だ」と説明されています。マッケンナは、2012年のマヤ族に関するプロパガンダを支援し、ここでも人々の注意を国内の問題からそらす役割を果たしました。

3. 知識層による下準備とプロパガンダ手法

この運動の操作は、著名な知識人や学術機関によって支えられていました。

  • ‌アルダス・ハクスリーによる事前準備:‌‌ ハクスリーは、1953年頃のメスカリン服用などにより、サイケデリックへの関心を高める土壌を15年ほどかけて整えていました。彼は公には、将来の独裁政権が人々を「愛する奴隷状態」に置くために薬物(ソーマ)とプロパガンダを使用する危険性について警告していましたが、実際には彼自身がMKウルトラの主要な創設者の一人であり、これらの技術を推進する‌‌「主要なエンジニア」‌‌であったという事実を隠していました。
  • ‌人類学の武器化(ネイティブ・リバイバル):‌‌ グレゴリー・ベイトソン(OSSのメンバーであり、MKウルトラの主要な創設者)は1944年にOSSに提出した報告書で、‌‌「ネイティブ・リバイバル(土着文化の復興)」‌‌戦略を提言しました。これは、植民地化された民族に、支配者側が称賛する文化的側面(例:ウィチョル族のペヨーテ狩り、ビーズ細工)を展示させ、それによって彼らの自尊心を高めつつ、より過激な抵抗運動(ナティビズム)の発生を防ぐための、より穏やかな形の植民地化戦略でした。
  • ‌「アルカイック・リバイバル」へのリパッケージ:‌‌ ベイトソンのこの概念は、後にテレンス・マッケンナによって‌‌「アルカイック・リバイバル」‌‌として再販促進されました。ソースは、ワッソン(マサテカ族)、ファースト、マイヤーホフ、カスタネダ(ウィチョル族)、マッケンナ(マヤ族)による一連の「メキシコ・インディアンへのカウンターカルチャーの転換」の波は、ベイトソンが1944年に提言した戦略に基づいていると指摘しています。
  • ‌エサレン研究所(Esalen Institute)の関与:‌‌ エサレン研究所はCIAのフロント機関であり、これらの情報操作に関わる人々がそこで活動し、おそらく採用活動も行っていた場所であると見なされています。

情報源

動画(1:31:04)

Jay Fikes The Carlos Castaneda Deception

600 views 2016/09/29

Entrevista con el investigador Jay Fikes, crítico con la obra de Castaneda.

(2025-09-30)