動画 : Sixto Paz を TV 番組に招いて専門家が議論(1994年)
前置き
たぶん、スペイン語という壁があるので、英語圏では殆ど知られていない内容の筈。AI にはスペイン語の壁がないので整理が可能になった。
コメント
この動画では、嘘発見器でのテスト結果が過大評価されている。私は Sixto Paz がガニメデを訪れたとは見なさないが、それでも
検査官の結論: 検査官は、最後の質問に対して「非常に顕著な(生理的)反応」が見られるとし、「疑いの余地なく、彼は嘘をついている」と結論付けた。
は軽率すぎる。Sixto Paz が劇的な体験を思い返したために「非常に顕著な(生理的)反応」を示すことは十分に想定しうる。実際に、嘘発見器の結果は信頼性に欠けるゆえに、裁判所も証拠として採用していない。
要旨
シスト・パスとUFOの真実をめぐる議論
この文章は、シスト・パスという人物を中心に、未確認飛行物体(UFO)と地球外生命体との接触(コンタクティ)現象について議論するテレビ番組の書き起こしです。
パス氏は、地球外生命体との接触や彼らの宇宙船での他の惑星への旅行を主張しており、番組では、UFO研究家、宗教学者、元軍人、科学者、心理学の専門家など、さまざまな立場のゲストが招かれ、彼の証言の真偽について多角的に検討しています。
議論では、パス氏の主張の科学的根拠の欠如、集団のセクト的な性質、そして宗教的信念との類似性が焦点となり、ポリグラフ(嘘発見器)テストの結果も紹介され、彼が金銭的な動機で話を作ったわけではないが、宇宙旅行については嘘をついていることが示唆されています。
目次
全体俯瞰 1
ブリーフィング・ドキュメント:テレビ番組「真実の機械」におけるUFO接触現象の分析
要旨
本文書は、1994年にスペインで放映されたテレビ討論番組「La Máquina de la Verdad(真実の機械)」の内容を分析・要約したものである。番組は、ペルー人コンタクティ(地球外生命体との接触者)であるシクスト・パス・ウェルズ氏を中心に、UFOおよび地球外生命体との接触という現象の真偽を巡って、多様な専門家や当事者による激しい議論を展開した。
主要なテーマは、パス氏が主張する地球外生命体との交信や木星の衛星ガニメデへの宇宙旅行体験、個人的証言と科学的懐疑論との対立、コンタクティ・グループの心理学的分析、そして政府・軍事機関による大規模な情報隠蔽工作の可能性である。
番組のクライマックスは、パス氏がポリグラフ(嘘発見器)検査を受ける場面であった。その結果、パス氏は金銭的動機や薬物の影響を否定した点では「真実」と判定されたものの、番組の核心である「宇宙船で他の惑星へ旅行したか」という問いに対しては「虚偽」と判定された。この結果は、パス氏の主張の根幹に深刻な疑義を投げかけるものであり、彼の体験が客観的な事実ではなく、主観的な信念や夢想である可能性を示唆している。
1. 調査対象:テレビ番組「真実の機械」
- 番組名: La Máquina de la Verdad(真実の機械)
- 放映年: 1994年
- 中心テーマ: UFO現象と地球外生命体との接触の真実性
- 中心人物: シクスト・パス・ウェルズ(Sixto Paz Wells)、ペルー人コンタクティ
- 形式: 懐疑論者、肯定論者、専門家、そして中心人物が一堂に会し、テーマについて討論を行う。番組の最後に中心人物がポリグラフ検査を受ける構成。
2. 主要人物と主張
名前 | 役職・立場 | 主な主張・見解 |
---|---|---|
シクスト・パス・ウェルズ | ペルー人コンタクティ | 1974年に地球外生命体と初接触。彼らの宇宙船で木星の衛星ガニメデへ旅行したと主張。組織「ミッション・ラーマ」を創設。地球外生命体には善なる存在と悪なる存在がいると語る。 |
ルイス・ルイス・デ・ゴペギ | NASAスペインセンター長 | 科学的懐疑論者。パス氏の主張は物的な証拠がなく「検証不可能」であると指摘。ガニメデの物理的環境は生命を維持できないと断言。NASAによる隠蔽工作を強く否定。 |
サルバドール・フレイシェド | 元イエズス会士、UFO専門家 | 現代のコンタクティ現象は、歴史上の宗教の起源と「全く同じ現象」であると主張。NASAやCIAなどの権力機関が地球外生命体の実在を意図的に隠蔽していると確信している。 |
カルロス・ベルチェール | 医師、精神医学専門家 | コンタクティのグループは、カリスマ的リーダーと教義を中心に組織された「明確なセクト的構造」を持つと分析。彼らの信念は精神疾患ではなく、特定の心理的特徴に起因すると説明。 |
ペドロ・クレスピ・マルトレル | 退役空軍中佐 | 軍のレーダーが未確認現象を検知することは事実であると証言。軍には機密保持義務があり、UFO情報について公に話したことで8日間拘束された経験を語る。 |
バレンティーノ・マンチーニ | 「エライン」文明のメッセンジャー | 自身を地球人女性と地球外文明「エライン(エロヒム)」の指導者の 間に生まれた息子であると主張。「天使」や聖書の物語は、地球外生命体に関する歴史的記録であると説く。 |
ソレダ・ゴメス | コンタクティ(と主張) | 「寝室の訪問者」との遭遇や、自動書記によるメッセージ受信など、自身の接触体験を語る。 |
ペドロ・カント | UFO研究家 | パス氏の体験は、事前に読んだ本(『私はガニメデにいた』)に影響された無意識の創作(fabulation)の可能性があると示唆。10年間の調査の結果、「UFO現象は存在しない」と結論付けている。 |
フアン・ガルシア・ティエンサ | 作家 | 議論の主観性に不満を表明。コンタクティは科学的検証を求める代わりに、自らの体験を道徳的・経済的利益のために利用していると厳しく批判。 |
3. 主要なテーマと議論
3.1. シクスト・パスの接触体験
- 発端: 1974年、父親が開催したテレパシーに関する講演に触発され、家族(母、妹)と瞑想を試みたところ、自動書記(Psychography)現象が発生。「オキサルク」と名乗る存在から、「自分はモーレン(地球ではガニメデと呼ばれる)から来た」というメッセージを受け取った。
- 最初の集団目撃: メッセージの信憑性を確かめるため、仲間20人とペルーのチルカ砂漠へ向かった。メッセージで予告された通り、1974年2月7日にUFOを目撃したと主張。ただし、物理的な証拠は提供されなかった。
- ガニメデへの旅: 1974年6月、宇宙船から放たれた「黄金の半月状の光」に入ると、数秒でガニメデとされる場所に到着したと描写。そこにはドーム型の建造物が立ち並ぶ地下都市があり、人工的に生命が維持されていた。遭遇した地球外生命体は身長180cmほどで、つり上がった目、広い額、がっしりした体格を持ち、モンゴル人や東洋人に似ていたという。コミュニケーションはテレパシーで行われた。
- ミッション・ラーマ: 1974年にパス氏が創設した組織。当初、「1980年代半ばに世界の終わりが来る」というメッセージを受け取ったが、これは実現しなかった。番組内でパス氏自身は、これを「メンタリズム(自己の思い込み)」または「致命的な誤り」であったと認めた。彼は1990年8月に同組織の解散を宣言した。
3.2. 科学的懐疑論 vs. 個人的証言
- 検証可能性の欠如: NASAのゴペギ氏は、パス氏の主張には第三者の証人がおらず、物的証拠も提示されていないため「検証不可能」であると一貫して主張した。科学は検証可能なデータに基づいており、個人的な証言だけでは議論の対象にならないとした。
- ガニメデの環境: ゴペギ氏は、木星の衛星であるガニメ デは極低温であり、生命に必要な高分子(遺伝情報を伝える分子など)が安定して存在できないため、いかなる形態の生命も維持できないと科学的見地から反論した。
- パス氏の反論: これに対しパス氏は、ガニメデの生命は自然発生したものではなく、高度な技術を持つ地球外生命体によって「人工的に」維持されているため、地球の科学常識は通用しないと反論した。
3.3. 隠蔽工作の陰謀論
- 隠蔽の主張: フレイシェド氏、パス氏、クレスピ中佐など複数の出演者が、政府、軍、諜報機関(NASA、CIA、KGBなど)が地球外生命体の実在を意図的に隠蔽していると主張した。その主な動機は、国家の枠組みを揺るがし、政治・経済・宗教に計り知れない混乱(カルチャーショック)を引き起こすことを避けるためだとされた。
- 具体的な事例:
- クレスピ中佐: 軍には国際協定と憲法上の義務により、職務上知り得た情報を漏らしてはならない厳格な規定が存在すると証言。自身もこのテーマについて話したことで懲戒処分を受けたと述べた。
- フレイシェド氏: 元CIA高官のビクター・マーケッティが退官後、政府が墜落したUFOや地球外生命体の死体を回収している事実を暴露したと主張。
- パス氏: ペルーでのUFO目撃イベントに8カ国から40人のジャーナリストが参加し、UFOを撮影したが、マイアミのテレビ局(テレムンド、ユニビシオン)が帰国したジャーナリストから映像を没収し、 報道を3分間のローカルニュースに制限したと主張した。
- NASAの反論: ゴペギ氏は隠蔽論を「途方もないファンタジー」と一蹴。地球外生命体の発見は「人類史上最大のニュース」であり、宇宙開発に莫大な予算と国民の支持をもたらすため、NASAや他の宇宙機関がそれを隠す動機は全くないと反論した。
3.4. 心理学的・宗教学的分析
- セクト的構造: ベルチェール医師は、コンタクティのグループを分析し、カリスマ的リーダーと特定の教義を中心に組織された「セクト」の特徴を持つと指摘した。これは精神疾患とは異なるが、強い信念体系を形成する心理的メカニズムであるとした。
- 宗教の起源との類似性: フレイシェド氏は、コンタクティとその信奉者の関係性は、古代の預言者や宗教の創始者と「全く同じ現象」であると主張。時代や名称が異なるだけで、根底にあるメカニズムは同一であると述べた。
- 聖書の再解釈: マンチーニ氏は、聖書は神話ではなく、地球外生命体「エロヒム」が地球の生命を創造した過程を記した「歴史書」であると主張。「天使」とは翼を持つ霊的な存在ではなく、彼らの「メッセンジャー」を意味する言葉だと解釈した。