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大連(中国)経済の深刻な衰退 : 現地取材

· 約46分
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(全体俯瞰 : AI 生成) click で拡大

前置き+コメント

Youtube には中国の経済状況を報告する AI 音声を当てた「使いまわし動画」が腐る程 溢れている。それらは動画ソースの由来が不明だったり、特殊事例の切り取り編集の疑念が付き纏う。

だが、取材者が顔出し して取材した動画も少ないが存在する。その一つがこれ。

ドローン空撮が許可された点や、駐在員の間で有名な現地日本人経営者の話から、動画コメント欄で内容の一部を疑問視する見方もあるが、それを差し引いても参考になる。

日経や NHK を筆頭に日本のメディアは総じて中国の強い影響下にあるゆえ、こういった情報が報じられることは稀。アリバイ作りでチョロッと報じるのが関の山。

要旨

AI

中国経済崩壊:不動産バブルの終焉と絶望の現場実録

このソースは、現在の‌‌中国経済が直面している深刻な停滞‌‌を、大連や上海などの現地取材を通じて浮き彫りにしています。

かつての一等地の賃料が‌‌50分の1に暴落‌‌し、新築マンションの多くが‌‌空室のまま放置‌‌されているという不動産バブル崩壊の凄まじい実態が語られています。

また、若者の‌‌記録的な失業率‌‌や地方政府の財政難、そして富裕層による‌‌資産の海外逃避‌‌が、社会の不安定化に拍車をかけている現状が示されました。

米中対立によるサプライチェーンの再編も追い打ちをかけており、景気後退の波はもはや統計数値では隠しきれないレベルに達しています。

最終的に、この巨大な‌‌デフレの連鎖‌‌が隣国である日本や世界経済へ多大な影響を及ぼすリスクについて、強い警鐘を鳴らしています。

目次

  1. 前置き+コメント
  2. 要旨
    1. 中国経済崩壊:不動産バブルの終焉と絶望の現場実録
  3. 中国経済の現状分析:不動産崩壊と社会変容に関するブリーフィング
    1. エグゼクティブサマリー
    2. 1. 不動産バブル崩壊の深刻な実態
    3. 2. 経済指標と国民の体感の乖離
    4. 3. 社会構造の変化と国民生活への影響
    5. 4. 国際関係と世界経済への波及効果
    6. 5. 長期的展望:定期借地権問題
  4. 市場分析レポート:中国経済の現状と不動産バブル崩壊が日本に与える影響
    1. 序論:中国経済、第2フェーズへの移行
    2. 1. 不動産バブル崩壊の実態:ゴーストタウン化する都市
    3. 2. 経済停滞とデフレの兆候:実感なき成長率
    4. 3. 深刻化する若者の雇用危機:失われた世代
    5. 4. 地政学的要因と富裕層の動向
    6. 5. 日本経済への波及効果と展望
    7. 6. 結論
  5. 情報源

中国経済の現状分析:不動産崩壊と社会変容に関するブリーフィング

AI

エグゼクティブサマリー

中国経済は、GDPの約3割を占めていた不動産バブルの崩壊を起点として、深刻な不況の「第2フェーズ」に突入している。遼寧省大連市での現地取材からは、都市中心部における商業施設の9割が空室となり、賃料がかつての数百分の一に暴落するなど、経済活動の急激な停滞が明らかになった。新築マンション群は入居率5%未満のゴーストタウンと化し、「40億人分の住宅ストック」という巨大な供給過剰問題が経済全体に重くのしかかっている。

公式発表では5.2%のGDP成長率が示されているが、現場の体感とは著しく乖離しており、「経験したことのない不況」との声が上がっている。特に若者の失業問題は深刻を極め、北京大学の調査では実質的な失業率が46%に達するとの報告もあり、エリート層である北京大学の学生でさえ強い就職不安を訴える事態となっている。

この経済危機は、消費の冷え込みによるデフレ、中小零細企業の大量倒産、そして富裕層による資産の海外逃避といった社会構造の変化を引き起こしている。米中対立によるサプライチェーンの再編も経済に追い打ちをかけている。日本の約4.5倍という巨大な経済規模を持つ中国がデフレに陥ることは、安価な製品の輸出を通じて世界経済、特に最大の貿易相手国である日本に深刻な影響を及ぼす重大なリスクをはらんでいる。

1. 不動産バブル崩壊の深刻な実態

中国経済の根幹を揺るがしているのは、GDPの30%から40%を占めるまで膨張した不動産バブルの崩壊である。その影響は都市部の景観から地方政府の財政まで、あらゆる側面に及んでいる。

1.1. 都市中心部の「半廃墟化」:大連の事例

かつて遼寧省大連市で最も地価が高いとされた大連駅前の商業施設「勝利広場」の地下街は、経済崩壊の象徴的な光景を呈している。

  • テナントの大量撤退: 地下3階建ての商店街は「半廃墟化」しており、特に最下層の地下3階では9割以上の区画がシャッターを下ろしている。
  • インフラの停止: 施設内のエスカレーターは全て停止している。
  • 賃料の暴落: この一等地の月額賃料は、最盛期には20万元(日本円で約560万円)であったが、現在は500元(約1万円)にまで急落。ソース内の表現によれば「実に1/50にまで賃料が下落」した状態である。

1.2. 供給過剰とゴーストタウン化

都市部だけでなく、郊外のニュータウン開発も深刻な供給過剰に陥っている。

  • 新築マンションの空室問題: 大連開発区の海沿いに造成された人気のニュータウンでは、100棟単位で建設されたマンション群の入居率が「5%もない」と見られる。室外機の設置状況などから、ほとんど人が住んでいないことが確認できる。
  • 国家レベルでの過剰ストック: 元国家統計局の副局長は、「中国には40億人が住める住宅が建設中・売れ残っている」と指摘。14億人の人口に対して、約3倍の住宅ストックが存在する異常事態となっている。あるエコノミストは、国内に9000万戸の空き家があると試算している。

1.3. 地方政府の財政危機

不動産バブルは、地方政府の財政構造と密接に結びついていたため、その崩壊は地方財政を直撃している。

  • 収入源の喪失: 土地は全て国有であり、地方政府はデベロッパーへの「土地使用権」(宅地70年、商業地50年)の売却益を主要な財源としてきた。バブル崩壊によりこの収入が激減し、多くの地方政府が「倒産しないだけの破産状態」に陥っている。
  • 公共サービスの崩壊: 財政難の結果、年金の支払いが遅延したり、公立学校の教師への給与未払いが発生したりする事例が報告されている。

2. 経済指標と国民の体感の乖離

中国政府が発表する公式経済指標と、国民が肌で感じる経済状況との間には、大きな隔たりが存在する。

2.1. GDP成長率への疑問

  • 公式発表と体感: 2025年1月から9月期のGDP成長率は5.2%と発表されたが、現地の専門家は「体感ではとても実感できない」「今まで経験しない不況の中に入っている」と証言している。
  • 乖離の具体例: 不動産価格は公式発表で10%下落とされる一方、体感では30%程度下落しているとの認識が示された。飲食店の家賃が半額になる事例も頻発している。
  • 「数字作り」の背景: かつて中央政府が8%成長を目標に掲げた際、地方の役人はそれ以下の数字を報告すると出世が阻まれるため、「一生懸命数字を作っていた」という歴史的背景が指摘されている。

2.2. 深刻化する若者の失業問題

若者の雇用問題は、公式統計でさえ隠しきれないほど悪化しており、中国社会の将来に暗い影を落としている。

統計・調査元若者失業率(数値)備考
中国国家統計局 (2025年10月)17.3%2023年6月に過去最高の21.3%を記録後、一時公開停止。学生を対象から除外する統計改善後も高水準。
清華大学チームの調査32%公式統計の約2倍の数値。
北京大学の独自調査46%公式統計を大幅に上回る深刻な数値。
専門家の指摘60%超輸出製造業で働く出稼ぎの若者まで含めた場合の推定値。
  • エリート層への波及: この問題は一般層にとどまらない。アジアトップクラスの頭脳が集まる北京大学の学生が「就職の不安」を訴え、かつては「給料が安すぎる」と見向きもしなかった日本企業を就職先として考慮し始めている。彼らの希望月収は2万元(約44万円)、最低でも1.5万元(約33万円)だが、そのような求人がないと語っている。

3. 社会構造の変化と国民生活への影響

経済危機は、雇用、消費、資産防衛といった国民生活の根幹を揺るがし、社会に構造的な変化をもたらしている。

3.1. 雇用の崩壊と社会不安の増大

  • 中小企業の大量倒産: 3年間のゼロコロナ政策による都市封鎖は、中国の主要な雇用源である中小零細企業に壊滅的な打撃を与えた。国内SNSの情報によれば、最低でも400万社が倒産に追い込まれたとされ、これは「中国社会の雇用の根っこがまとめて折れた」状態と表現されている。
  • 社会不安の連鎖: 仕事を失い、相談できる公的なカウンセリング制度も存在しないため、うつ病の増加、自殺、凶悪事件が多発し、社会の不安定化が進んでいる。「負の連鎖が止まらなくなってきている」との指摘がある。
  • 若者の価値観の変化: 厳しい現実を前に、若者の間では家も車も買わず、結婚もしない「躺平(タンピン、寝そべり族)」というライフスタイルが広がっている。

3.2. 消費の冷え込みとデフレの兆候

  • 消費行動の変化: かつては「メンツ」を重視した消費が主流だったが、現在は「コストパフォーマンス」を求める傾向が強まっている。
  • デフレの具体例:
    • 上海のコーヒー価格が2割安くなる。
    • 従来40~50元だった散髪が、デパート内に10元の店舗が出現。
    • 大連市中心部の高級ショッピングモール「タイムズスクエア」は日中の時間帯でも客足がまばらで、半分以上のテナントが空いている。

3.3. 富裕層による資産の海外逃避

政治的・経済的な先行き不透明感から、富裕層は資産を国外へ移転させる動きを加速させている。

  • 資産保全の動機: 「中国ではトップが変わると企業があっという間に没落する」ため、国内の財産がいつ没収されるかわからないというリスク意識が強い。
  • 移転の手法:
    • 子供を海外に留学させ、配偶者も同行させる形で家族と生活基盤を国外に置く。
    • 外貨の持ち出し規制を回避するため、海外に法人を設立し、その法人を通じて不動産を購入する。
    • ロレックスや金といった現物資産に換えて国外に保管する。
    • 「地下銀行」を利用した不正な送金。

4. 国際関係と世界経済への波及効果

中国経済の変調は国内問題にとどまらず、国際関係や世界経済全体に大きな影響を及ぼす可能性がある。

4.1. 米中対立とサプライチェーンの再編

  • 「脱中国依存」の加速: トランプ政権下で導入された関税強化をきっかけに、Appleを始めとする多くのグローバル企業が生産拠点をインドや東南アジアへ移転し、サプライチェーンの再編が加速している。
  • 中国の対抗策: 中国はアフリカやASEANといったグローバルサウスへの輸出を拡大し、米国市場への依存度を下げようとしている。また、ハイテク製品に不可欠なレアアースの生産で高いシェアを握っており、これを国際交渉のカードとして利用する可能性がある。
  • 日本の立ち位置: 日本にとっては、米中のどちらかに偏ることなく、状況に応じて柔軟に動くことで、新たなビジネスチャンスを掴む可能性があると指摘されている。

4.2. 日本および世界経済へのリスク

中国経済のデフレは、その巨大さゆえに世界中に波及するリスクを内包している。

  • 「デフレの輸出」: 日本のGDPの約4.5倍の規模を持つ中国経済がデフレに陥ると、安価な製品が世界市場に溢れ、世界中にデフレを輸出することになる。
  • 日本への直接的打撃: 中国は日本にとって最大の輸出国であり、その市場の冷え込みは避けられない影響をもたらす。「他の国に買ってもらえばいい」という代替策は非現実的であり、ASEAN全域の経済規模を合わせても中国の一部の規模に過ぎない。
  • 競争力の喪失: 広東省一つのGDPがロシアやカナダを上回るほどの経済規模を持つ地域が、安価な製品の大量生産に舵を切れば、日本の産業は価格競争力を失う可能性がある。

5. 長期的展望:定期借地権問題

中国の不動産システムには、20~30年後に顕在化する可能性のある構造的な課題が存在する。

  • 満了ラッシュの到来: 1990年代半ばから始まった70年間の居住用土地使用権は、あと20~30年で満了の時期を迎える。
  • 国家による再収益化の可能性: これまで誰も更新を経験していないため将来は不透明だが、専門家は「国はこれをもう1回売ることによって立て直す」と予測している。満了した土地使用権を再度高値で売却できれば、それは国家にとって新たな財源、いわば「うちでの小槌」となり、中国経済が再生する契機となる可能性がある。

市場分析レポート:中国経済の現状と不動産バブル崩壊が日本に与える影響

AI

序論:中国経済、第2フェーズへの移行

9ヶ月前、私は上海で不動産バブル崩壊の現場を取材し、中国経済が直面する厳しい現実を報告した。あれから月日が流れ、中国経済は新たな局面、いわば「第2フェーズ」へと移行した。本レポートは、不動産市場の崩壊、深刻化する若者の雇用危機、そして米中対立という地政学的リスクといった複合的要因が、中国経済にどのような構造変化をもたらしているのかを多角的に分析する。さらに、その影響が隣国である日本、ひいては世界経済全体にどう波及するのか、その潜在的リスクと展望を明らかにすることを目的とする。

本稿ではまず、ゴーストタウン化する都市の実態から不動産バブル崩壊の深刻さを描き出し、次に公式統計と国民の「体感景気」との乖離が示す経済停滞とデフレの兆候を分析する。続いて、社会の安定を揺るがす若者の雇用危機、地政学リスクと富裕層の動向を考察し、最後にこれらの複合的危機が日本経済に与える影響を詳述する。まずは、中国経済の崩壊を語る上で避けては通れない不動産問題の実態から見ていきたい。

1. 不動産バブル崩壊の実態:ゴーストタウン化する都市

中国経済の変調を理解する上で、不動産問題は避けて通れない核心的なテーマである。かつて経済成長の牽引役であった不動産セクターは、今や巨大な不良債権と化し、国全体の経済基盤を揺るがしている。その崩壊は、単なる市場の調整ではなく、地方政府の財政構造と深く結びついた構造的な問題であり、その影響は都市の隅々にまで及んでいる。

その象徴的な現場が、大連市の中心地「勝利広場」の地下商店街だ。かつて市内で最も地価が高いとされた一等地にもかかわらず、現在、地下3階は9割以上がシャッター街と化し、廃墟のような静けさに包まれている。驚くべきは賃料の暴落である。最盛期には月額2万元—当時のレートで約560万円に相当—だった賃料が、今や「500元(約1万円)」にまで下落した。実に50分の1という価格崩壊は、都市の一等地でさえ商業活動が成り立たなくなった現実を物語っている。

この巨大なバブルが形成された背景には、中国特有の構造的要因が存在する。

  • 土地所有権の仕組み 中国では土地はすべて国有であり、個人や企業は所有できない。1990年代半ば、日本を参考に期限付きの「土地使用権」(宅地70年、商業用地50年)を売却する制度が導入された。これがバブルの起点となった。
  • 地方政府の役割 土地使用権の売却益は、中央政府ではなく地方政府の主要な財源となった。これにより、地方政府は不動産開発による収入への依存を強め、地価を吊り上げるインセンティブを持つようになった。
  • 投資会社「有資平台」 地方政府は「有資平台」と呼ばれる投資会社を設立し、不動産開発を自ら主導した。地方政府が後ろ盾となっているため、金融機関はこれらの会社に積極的に融資を行い、官民一体でバブルを巨大化させてしまった。

その結果として生まれたのは、凄まじい規模の供給過剰である。元国家統計局の副局長は「中国には40億人が住める住宅が建設中・売れ残っている」と指摘し、あるエコノミストは国内に「9000万戸の空き家がある」と推計している。大連の開発区では、海沿いに立ち並ぶ新築の人気マンション群ですら、実際の入居率は5%にも満たないという。需要を無視した開発が、国中にゴーストタウンを生み出したのだ。

このバブル崩壊は、地方政府の財政に壊滅的な打撃を与えている。かつてGDPの3〜4割を占めた不動産関連収入が激減し、多くの地方政府は「倒産しないだけの破産状態」に陥っている。その影響は市民生活にも及び、年金の支払いが遅延したり、公立学校の教師への給与未払いが発生したりする事態にまで発展している。

不動産市場の崩壊は、もはや一セクターの問題ではない。地方財政を破綻させ、国民の資産を蝕み、中国経済全体の土台を揺るがす深刻な構造問題となっている。この経済基盤の揺らぎが、次に述べる実体経済の停滞とデフレ圧力へと直結していくのである。

2. 経済停滞とデフレの兆候:実感なき成長率

不動産市場の崩壊は、中国の実体経済へと確実に波及し、公式発表される経済指標と、国民が肌で感じる「体感景気」との間に深刻な乖離を生み出している。政府が示す成長率と、現場で聞こえる悲鳴とのギャップは、経済の実態を覆い隠し、社会に静かな不安を広げている。

中国政府は2023年1-9月期の経済成長率を5.2%と発表したが、現地ではこの数字を信じる者は少ない。「体感ではとても5.2%は実感できない」「今まで経験したことのない不況だ」という声が聞かれるように、公式統計への信頼は大きく揺らいでいる。この乖離は不動産価格にも顕著に表れており、公式発表では「10%程度の下落」とされる一方で、現場の感覚では「30%程度下がっている」と感じられている。飲食店の家賃が半額になる事例も次々と出てきているのが実情だ。

消費行動の変化にも、デフレの兆候は明確に現れている。

  • 消費マインドの変化 かつて「メンツ」や「ステータス」を重視していた消費スタイルは影を潜め、多くの人々が「コストパフォーマンス(コスパ)」を最優先するようになった。
  • 低価格サービスの出現 景気の変化を敏感に反映するように、デパート内には10元(約200円)で散髪ができる低価格店が登場するなど、低価格志向が社会全体に浸透している。
  • デフレの具体例 上海ではコーヒーの価格が2割安くなるなど、物価が継続的に下落する明確なデフレの兆候が見られる。

なぜ公式統計と現実の間にこれほどの乖離が生まれるのか。その背景には、地方政府の役人が自身の出世のために、中央政府が掲げる成長目標を下回る数字を報告できないという、長年の構造的な問題がある。目標達成のために数字を「作っていた」という歴史的経緯が、現在の統計不信の根底にあるのだ。

公式統計が実態を映し出さない状況は、経済の実態把握を困難にするだけでなく、国民の不信感を増大させている。この経済停滞のしわ寄せは、社会で最も脆弱な立場にある若者層に、特に深刻な形で現れている。

3. 深刻化する若者の雇用危機:失われた世代

経済停滞の最も深刻な影響は、社会構造の最も脆弱な層である若者たちを直撃している。彼らが直面する雇用危機は、単なる経済問題にとどまらず、社会全体の活力を奪い、将来の安定を揺るがす極めて深刻な事態へと発展している。

若者の失業率に関して、公式発表と学術機関による調査結果の間には、看過できないほどの大きな隔たりがある。

統計元失業率備考
公式発表(国家統計局)17.3%2023年6月に21.3%を記録後、学生を除外する統計改善を経て2023年10月時点の数値。
清華大学の調査32%
北京大学の調査46%
非公式な推計60%超出稼ぎ労働者を含む場合。

この危機感は、アジアの最高学府である北京大学のエリート学生たちにも広がっている。かつては「給料が安すぎる」と日本企業に見向きもしなかった彼らが、初めて就職への不安を口にするようになった。彼らが現実的な目標とする月給は「1.5万〜2万元(約33万〜44万円)」であり、かつての強気な姿勢は見る影もない。アジアトップクラスの頭脳ですら、厳しい現実に直面しているのだ。

この深刻な雇用危機は、社会に負の連鎖を引き起こしている。「仕事がない」「相談できる人もいない」という孤立した状況は、若者の間でうつ病の増加や自殺、さらには凶悪事件の多発につながり、社会の不安定化が急速に進んでいる。

こうした絶望的な状況は、「躺平(タンピン、寝そべり族)」という言葉に象徴される無気力なライフスタイルを生み出した。「家も車も買わず、結婚もしない」という諦めの声は、社会全体の活力が失われつつあることを示唆している。消費もせず、将来への希望も持たない世代が増えることは、中国の長期的な成長ポテンシャルを根底から蝕むことに他ならない。

国内で若者層が希望を失い内向きになる一方、変化に敏感な富裕層は資産と共に国外へ活路を求める。この国内資本と人材の空洞化は、米中対立という外部からの圧力と共振し、中国の長期的な成長基盤を揺るがす深刻な構造問題となっている。

4. 地政学的要因と富裕層の動向

中国経済が直面している課題は、国内要因だけに起因するものではない。米中対立という深刻な地政学的リスクと、それに敏感に反応する国内富裕層の動向が、経済の先行きを一層複雑化させている。

トランプ前政権時代に強化された米国の関税措置は、中国の輸出製造業に大きな打撃を与えた。これを契機に、Appleをはじめとする多くのグローバル企業が生産拠点をインドや東南アジアへ移転させる「脱中国依存」の動きが世界的に加速。世界のサプライチェーンから中国が徐々に切り離される流れが生まれている。

これに対し、中国もただ手をこまねいているわけではない。アフリカやASEANといったグローバルサウスへの輸出を拡大し、米国市場への依存度を低下させる戦略を推進している。また、ハイテク製品に不可欠な「レアアース」の生産で世界の大半を占めており、これを外交カードとして国際交渉を有利に進めようという思惑も持つ。

一方で、国内の富裕層は自国の将来に不安を感じ、「資産保全」を目的とした資産の海外移転(キャピタルフライト)を加速させている。彼らは外貨の持ち出し規制を回避するため、様々な手法を用いている。

  • 子供を海外に留学させ、配偶者も共に海外に居住させる。
  • 地下銀行を利用したり、日本で会社を設立し、その法人名義で不動産を購入したりする。
  • ロレックスの高級腕時計や金(ゴールド)といった現物資産に換え、海外で保管する。

米中対立という外部からの圧力と、富裕層の資産流出という内部からの揺さぶりの双方が、中国経済の先行きに対する不透明感を一層強めている。このような複合的な危機が、隣国である日本にどのような影響を及ぼすのか、次章で具体的に分析していく。

5. 日本経済への波及効果と展望

これまで分析してきた中国経済の複合的危機は、一国だけの問題では済まされない。特に、最大の貿易相手国である日本にとって、その影響は甚大であり、目を背けることは許されない。

最も懸念されるリスクの一つが、「デフレの輸出」である。日本のGDPの4.5倍という巨大な経済圏がデフレに陥れば、過剰生産された安価な製品が世界中に、とりわけ地理的に近い日本に大量に流入する可能性がある。そうなれば、国内産業は熾烈な価格競争に晒され、競争力を失う危険性が極めて高い。

日本経済の中国への依存構造は、このリスクをさらに増幅させる。中国は日本にとって最大の輸出国であり、その経済規模は代替市場としてしばしば挙げられるASEAN全域を合わせたものとは比較にならない。専門家が指摘するように、ASEAN全体の経済規模を合計しても中国の5分の1程度に過ぎず、代替市場とはなり得ないのである。中国経済のスケールを理解するには、一つの省を見るだけで十分だ。例えば、広東省だけでロシアや韓国、カナダのGDPを上回る経済規模を持つ。これほど巨大な経済圏の失速がもたらすインパクトは計り知れない。

長期的な視点では、中国特有の構造的問題も無視できない。あと20〜30年で、1990年代に設定された土地使用権の「定期借地権の満了ラッシュ」を迎える。この時、中国政府が財政再建のために土地使用権を国民に「再販売」するのではないか、という見方がある。これが実現すれば、政府にとっては新たな財源という「うちでの小槌」になるかもしれないが、国民にとっては二重の負担となり、将来の大きな社会不安の火種となる不確定要素である。

しかし、危機の中には潜在的なビジネスチャンスも存在する。日本が米中のどちらか一方に過度に依存するのではなく、状況に応じて柔軟に立ち回ることで、新たな機会を掴む可能性も残されている。

とはいえ、中国経済の現状が日本にとって無視できない深刻な脅威であることは間違いない。この静かに進行する危機の本質を理解し、備えることが不可欠である。

6. 結論

本レポートで分析したように、現在の中国が直面している危機は、かつて日本が経験した「失われた時代」の単純な繰り返しではない。不動産バブルの後始末という共通点はあるものの、人口構造の崖、一党独裁という政治体制、そして地方政府の天文学的な債務問題など、中国が抱える課題は日本よりもはるかに複雑で険しい。

この危機は、劇的な出来事としてではなく、静かに、しかし着実に進行していく。最後に、この危機の性質を的確に捉えた言葉を引用して、本レポートを締めくくりたい。

「崩壊は爆発音のように派手ではありません。静かに気づかぬうちに進んでいきます。街が静かになり、マンションが売れず、若者が働けなくなる。その気配は統計より先に町の空気に現れます。」

情報源

動画(23:43)

【衝撃実録】中国経済崩壊・第2フェーズ|駅前も新築も“90%空室”の絶望現場

https://www.youtube.com/watch?v=TWZqqyY3fHc

285,100 views 2025/12/26

(2025-12-27)