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Leslie Kean : 物理霊媒術と物質化の驚異

· 約137分
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前置き

2020-06-09 に収録されたインタビューが再 up されていたので、これを AI(NotebookLM) で整理した。

要旨

AI

物理霊媒術と物質化の驚異

この文書は、ジェフリー・ミシュラブと調査報道ジャーナリストであるレスリー・キーンの対談録であり、非常に物議を醸している‌‌肉体霊媒術‌‌と物質化現象に焦点を当てています。

キーンは、念力(PK)によって物理的な形や存在を生み出すこの現象が、その稀少性と実験室での再現の難しさから、歴史的に文書化されてきたにもかかわらず広く否定されていると説明します。

彼女は、20世紀初頭にノーベル賞受賞者のシャルル・リシェらによって霊媒‌‌フラネック・クルスキ‌‌に対して行われた厳密な科学的研究、特に物質化された手の‌‌パラフィンワックスの型‌‌の作成について詳述しています。

さらにキーンは、現代の霊媒‌‌スチュアート・アレクサンダー‌‌との自身の経験を共有し、‌‌エクトプラズム‌‌の形成や、完全な姿での物質化、そして手首を締め付けた‌‌結束バンド‌‌の非物質化といった稀な現象を目撃したと述べています。

これらの議論を通して、二人は、これらの現象が死後の世界の存在を証明するのか、それとも単に人間の意識の極限的な能力を示すものに過ぎないのかという哲学的疑問を呈しています。

目次

  1. 前置き
  2. 要旨
  3. 主要人物
  4. 時系列 : 霊体物質化とフィジカル・ミディアムシップの歴史的な主な出来事
  5. 要約報告書:霊の物質化現象
    1. エグゼクティブ・サマリー
    2. 物理的霊媒現象:最も驚異的な超常現象
    3. 歴史的証拠と科学的調査
    4. レスリー・キーンによる現代の調査:スチュアート・アレクサンダーとのセッション
    5. ウォルター・スティンソンの再来
    6. 現象の解釈と意味
    7. 結論
  6. 物理霊媒とは何か?エクトプラズム、物質化、そして科学的探求の歴史
    1. 導入:物理霊媒への招待
    2. 1. 物理霊媒の核心的要素
    3. 2. 歴史的な証拠:フランツ・クルスキーのワックス手袋実験
    4. 3. 現代における物理霊媒:スチュアート・アレクサンダーの事例
    5. 4. 課題と考察:なぜ物理霊媒は受け入れられにくいのか?
    6. 5. 結論:物理霊媒が示唆するもの
  7. 著名な物理霊媒たちの人物紹介
    1. 導入:物理霊媒とは何か
    2. 1. フランツ・クルスキー(Franek Kluski)
    3. 2. ユサピア・パラディーノ(Eusapia Palladino)
    4. 3. ミナ・クランドン(Mina Crandon)、「マージェリー(Margery)」
    5. 4. スチュアート・アレクサンダー(Stewart Alexander)
    6. 結論:歴史を通じて見る物理霊媒の本質
  8. ケーススタディ:調査ジャーナリスト、レスリー・キーンの物理霊媒探求
    1. 序文:合理主義者が「不可能」と対峙する時
    2. 1. 調査対象の現象:物理霊媒の歴史的文脈と科学的証拠
    3. 2. 調査の開始:信頼できる情報源の探求とデューデリジェンス
    4. 3. 観察された証拠:物理現象のカタログ
    5. 4. 分析と解釈:「それで、これは何を意味するのか?」
    6. 5. 結論:調査がジャーナリストにもたらした変容
  9. 定義と現象の性質
  10. フィジカル・ミディアムシップと霊体物質化の定義
    1. フィジカル・ミディアムシップの定義
    2. 霊体物質化の定義と文脈
  11. 現象の性質と特徴
    1. 1. 科学的検証と困難性
    2. 2. エクトプラズムの役割
    3. 3. 主要な現象の具体例
    4. 4. 哲学的・懐疑的な論点
  12. 歴史的な事例と科学的研究
  13. 1. 科学的検証の困難性と歴史的記録
    1. 再現性の問題
    2. 過去の研究の厳密性
  14. 2. 厳密な管理下で行われた歴史的な実験
    1. フラネク・クルスキの研究とワックス型
    2. マージェリー・クランドンとフーディーニの論争
  15. 3. 現代の検証と物理現象の記録
    1. スチュアート・アレクサンダーの「物質通過実験」
    2. 著名な目撃者と文献
  16. 4. 哲学的論争と意識の力
  17. 現代の事例:Stuart Alexander
  18. 1. 霊媒の背景と検証
    1. 卓越した能力と長期にわたる開発
    2. 徹底的なデューデリジェンス
    3. プライバシーと社会的なスティグマ
  19. 2. 物質化現象(エクトプラズムと手の形成)
  20. 3. 「物質通過実験」と科学的検証
  21. 4. 霊体ウォルターと歴史的つながり
  22. 5. その他の物理現象:独立音声と全身物質化
    1. 独立音声とトランペット
    2. 全身物質化
  23. 情報源

主要人物

人物名 (英語表記)簡単な解説関連情報/背景
‌Leslie Kean‌調査ジャーナリスト。超常現象の分野に進出し、死後の世界の証拠を調査した著書『Surviving Death: A journalist investigates evidence for an afterlife』を執筆。物理霊媒現象に最も興味を持ち、スチュアート・アレクサンダー氏のセッションに参加し、現象を綿密に検証した。彼女はニュージャージー州選出の共和党下院議員を10期務めたロバート・ケイン氏の孫娘でもある。彼女の調査は客観的であり、懐疑的な視点を保ちながら現象を記録している。
‌Jeffrey Mishlove‌心理学者であり、『New Thinking Allowed』のホスト。レスリー・ケイン氏のインタビューを通じて、霊体物質化のトピックを探求している。彼は、PK(サイコキネシス)を扱った『The PK Man』という書籍について言及している。
‌Franek Kluski‌ポーランド出身の非常に有名な物理霊媒。高度な教育を受け、ビジネス界で活躍した洗練された人物。彼の能力は家族に受け継がれたものであった。彼の交霊会(Seances)はしばしば混沌としており、動物や奇妙な生き物の物質化が起こった。パリの研究所で、シャルル・リシェやギュスターヴ・ジュレなどの著名な科学者によって厳密な管理下で研究され、‌‌手の蝋型(ワックス・グローブ)‌‌の制作を通じて永続的な記録を残した。
‌Eusapia Paladino‌非常に有名な物理霊媒。クルスキと同様に、研究所で研究され、その記録は細心の注意を払って文書化されている。彼女は、物質化現象に関わる物理霊媒であるにもかかわらず、必ずしも完全なトランス状態にあったわけではないかもしれない。
‌Mina Crandon (Margery)‌20世紀初頭の有名な霊媒で、ハイソサエティの女性。彼女の霊媒現象は、後にスチュアート・アレクサンダー氏と働くことになる霊体‌‌ウォルター‌‌によって引き起こされたとされる。彼女は科学委員会による実演で、雑誌『サイエンティフィック・アメリカン』から賞を受け取る寸前までいったが、フーディーニの介入により受賞を逃した。彼女の夫が関与した問題やワックスの指紋に関する論争があったものの、非常に並外れた霊媒であった。
‌D. D. Home (Hume)‌過去の著名な物理霊媒の一人。正しい発音は「Hume」であると考えられている。
‌Houdini‌有名なマジシャン。マージェリー・クランドンが『サイエンティフィック・アメリカン』誌の賞を受賞する前に介入し、彼女の信用を失墜させる論争を引き起こした。クランドンとフーディーニの有名な対立は、1920年代に全米の新聞の一面を飾った。
‌Charles Richet‌フランスの主導的な科学者で、‌‌ノーベル賞受賞者‌‌。フラネク・クルスキの研究所での研究を主導し、ワックス・グローブの実験を行った。全身物質化現象を目撃した。彼の研究は、クルスキが詐欺を行う可能性を完全に排除するために、厳密な管理下で行われた。
‌Gustave Geley‌フランスの主導的な科学者で、シャルル・リシェとともにフラネク・クルスキの研究を行った。クルスキの研究室での厳格な制御の確立に関与した。
‌Steven Browy‌非常に厳格な分析哲学者。彼は、最も極端な物理的現象でも必ずしも死後の世界の存在を証明するわけではなく、現象は霊ではなく‌‌人間によってのみ引き起こされる極端な形のPK(念力)‌‌であると主張している。彼の主張は、物質化現象の原因に関する哲学的な議論の核心となっている。
‌Stuart Alexander‌現代のフィジカル・ミディアム。40年間にわたって活動を続けており、非常にまれな能力を持つ。レスリー・ケイン氏が検証した「物質通過実験」やエクトプラズムによる手の物質化、独立音声、全身物質化などを実現する。過去の霊媒が受けた攻撃を恐れ、キャリアのほとんどで公的な宣伝を避け、活動を最小限に抑えている。ケイン氏の著書に一章を執筆している。彼の現象は霊体‌‌ウォルター‌‌が責任を負っている。
‌Walter (Stinson)‌スチュアート・アレクサンダー氏と働く霊体。物質化現象や部屋の中の物体を動かす物理現象の責任者。アレクサンダー氏の能力開発に何年もかかっている。1920年代に活躍した霊媒マージェリー・クランドン(ミナ・クランドン)の亡くなった兄弟‌‌ウォルター・スティンソン(Walter Stinson)‌‌と同一人物であるとされる。彼は以前の活動での失敗を取り戻すために再挑戦したいと考えている。
‌Thomas Mann‌偉大なドイツ人作家。交霊会に出席し、現象を目撃した際の衝撃と方向感覚の喪失から、‌‌船酔いのような気分になった‌‌と雄弁に記述している。彼は知的階級の人物であり、超常現象を目の当たりにするとは予想していなかった。
‌Dr. Barnett‌スチュアート・アレクサンダー氏と働く霊体の一人。生前は「ディスティンギッシュド・ブリティッシュ」( distinguished British)の医師だった。アレクサンダー氏のセッションで‌‌全身を物質化‌‌する唯一の霊体であり、独立音声(独立して話す)も担当している。ケイン氏の頭に手を置いて物理的な接触を示したことがある。
‌Leslie Flint‌独立音声(independent voice)で非常に有名だった霊媒。彼の現象では、拡張された会話を亡くなった愛する人と行うことができた。彼の霊媒活動は、ほぼ独立音声のみであった。
‌Sir William Crookes‌英国王立科学協会(British Royal Scientific Society)の会長。彼は全身物質化現象を目撃した。彼の証言は、物理霊媒現象に関する広範な文献の一部となっている。
‌Alec Harris‌史上最高の物質化霊媒の一人。彼は光の下で作業するタイプの霊媒で、数えきれないほどの人々が、霊体が歩き回るのを目撃した。彼の現象は、スチュアート・アレクサンダー氏が行うよりも遥かに多くの全身物質化を含んでいた。
‌Mrs. Glattis Osborne Leonard‌1930年代の偉大な霊媒の一人。彼女の自伝には、彼女自身の霊媒能力の開発過程、特に何ヶ月も何も起こらなかった後に全身物質化が起こった事例が記述されている。物質化された霊体が踊り、足音を立てる様子が聞こえたとされる。
‌Robert Kean‌レスリー・ケイン氏の祖父。ニュージャージー州選出の共和党下院議員を10期務めた。霊体物質化の研究者ではなく、ケイン氏の背景を示すために言及された人物。
‌David Jaher‌マージェリー・クランドンの霊媒活動に関する書籍『The Witch of Lime Street』の著者。彼の著書は、マージェリーとフーディーニの有名な論争の歴史についてより詳しく知りたい視聴者向けに参照されている。
‌Ted Owens‌PK(念力)を行う人物。ジェフリー・ミシュラブ氏が彼について『The PK Man』という書籍を執筆した。彼はスプーン曲げやサイコキネシスを行う人物として、物理霊媒現象とは別のPKの例として挙げられている。

時系列 : 霊体物質化とフィジカル・ミディアムシップの歴史的な主な出来事

時代/時期出来事関連人物概要典拠
過去150年間‌霊体物質化現象の繰り返し報告‌D. D. Home (Hume), Eusapia Paladino など霊体物質化は心霊研究の分野で繰り返し報告されてきたが、ほとんどの人々に受け入れがたい現象であった。
19世紀〜20世紀初頭‌物理霊媒の科学的文書化‌Eusapia Paladino, Franek Kluski, D. D. Home (Hume)これらの物理霊媒は研究所で研究され、彼らの現象は科学者によって細心の注意を払って文書化された。
19世紀後半‌全身物質化の目撃‌Sir William Crookes, Charles Richet英国王立科学協会会長のウィリアム・クルックス卿やノーベル賞受賞者のシャルル・リシェなど、著名な科学者たちが全身物質化現象を目撃した。
時期不明(過去)‌トーマス・マンによる交霊会参加‌Thomas Mann偉大なドイツ人作家トーマス・マンが交霊会に出席し、現象の衝撃から「船酔いのような気分になった」と記述した。
20世紀初頭‌フラネク・クルスキの研究と蝋型作成‌Franek Kluski, Charles Richet, Gustave Geleyパリの研究所で、クルスキが厳重な管理下で熱いワックスに手を浸し、手の蝋型(パラフィン・グローブ)を作成。これは霊体が非物質化して手を型から抜いた物理的な証拠となった。
1920年代‌マージェリー・クランドン(ミナ・クランドン)の活躍‌Mina Crandon (Margery), Houdini, Walterマージェリーは『サイエンティフィック・アメリカン』誌から賞を受け取る寸前まで行ったが、フーディーニの介入によって論争が勃発し、受賞に至らなかった。彼女の現象は霊体ウォルターによって引き起こされたとされた。
1930年代‌グラッティス・オズボーン・レナードの能力開発‌Mrs. Glattis Osborne Leonard霊媒能力開発の過程で数か月間何も起こらなかった後、全身物質化が発生し、霊体が踊る足音などが聞こえたとされる。
過去40年間‌スチュアート・アレクサンダー氏の霊媒活動‌Stuart Alexander, Walterアレクサンダー氏が、攻撃を避けるために目立たず、私的にフィジカル・ミディアムシップの活動を継続。
数年前‌レスリー・ケイン氏の調査開始‌Leslie Kean, Stuart Alexander調査ジャーナリストのレスリー・ケイン氏が、物理霊媒現象の目撃と検証を決意し、アレクサンダー氏の活動を研究対象とした。
2015年春‌ケイン氏の最初のセッション‌Leslie Kean, Stuart Alexanderケイン氏が初めてイギリスへ渡航し、アレクサンダー氏とのセッションに2度参加した。これは彼女にとって「人生を変える」経験であった。
その後数年間‌エクトプラズムによる手の物質化の目撃‌Leslie Kean, Stuart Alexander, Walterケイン氏は、エクトプラズムが雲のような塊から、目の前で固体で物理的な人間の手に形を変える様子を目撃し、それに触れることができた。この形成にはウォルターが何年もかけた。
継続的に発生‌ウォルターによる「物質通過実験」‌Stuart Alexander, Walter非常にきつく締められたケーブルタイ(結束バンド)を、アレクサンダー氏の腕が物理的に破壊することなく通過する現象が、繰り返し行われた。顕微鏡検査でもタイの構造的損傷は確認されなかった。
継続的に発生‌独立音声とトランペット現象‌Stuart Alexander, Dr. Barnettアレクサンダー氏の喉を使わず、部屋の別の場所から声が発せられる現象や、メガホンのようなトランペットが浮遊し、そこから声が話される現象が発生した。
2020年5月(当時)‌全身物質化の目撃‌Leslie Kean, Dr. Barnettケイン氏がセッションで、霊体バーネット博士が全身を物質化させ、彼女の前に立ち、‌‌非常に大きな両手を彼女の頭の上に置いて‌‌物理的な接触を示した。
2018年頃~‌遠隔セッションの開始‌Stuart Alexander, Leslie Kean, Walterケイン氏がニューヨークからコンピューターを介してアレクサンダー氏のセッションに毎週参加し始めた。ウォルターはこの長距離でのシッター参加による現象創造の実験に「熱狂的」であった。

要約報告書:霊の物質化現象

AI

エグゼクティブ・サマリー

この報告書は、調査ジャーナリストであるレスリー・キーン氏が、物理的霊媒現象、特に霊の物質化について行った調査と考察をまとめたものである。キーン氏によれば、この現象は超常現象の中でも最も興味深く、PK(念力)が生物や生命体そのものを創り出すレベルにまで達したものと定義される。

この現象は、その常識を超えた性質から「驚愕要因(boggle factor)」が働き、科学者や超心理学者を含む多くの人々から懐疑的に見なされている。実験室での再現が困難であることが、その存在を否定する主な論拠となっている。しかし、キーン氏は、この現象が過去150年間にわたり、管理された科学的条件下で十分に記録されてきたと主張する。特に、ノーベル賞受賞者シャルル・リシェによって研究されたフラネック・クルスキの「ワックス・グローブ実験」は、物質化された手がパラフィンワックスの中に手形を残し、その手が消えるという物的証拠を提供した。

キーン氏は自身の調査として、現代の物理霊媒スチュアート・アレクサンダー氏とのセッションに長年参加し、厳格な不正防止策を講じた上で、数々の驚異的な現象を目撃した。これには、霊媒の体から放出される物質「エクトプラズム」が固形の手を形成する様子、霊媒の体を介さずに部屋の別の場所から声が聞こえる「独立音声」、そして拘束された霊媒の腕がケーブルタイを通り抜ける「物質透過現象」などが含まれる。最も注目すべきは、暗闇の中で霊体が完全に物質化し、キーン氏自身がその存在に物理的に触れた経験である。

これらの現象が「死後の世界の証明」なのか、それとも「人間の意識が持つ未知の能力(PK)」なのかという問いは、依然として中心的な議題である。哲学者のスティーブン・ブラウディは後者の可能性を提示するが、キーン氏は自身の直接体験から、死後の生存という現実に強く傾倒している。彼女の調査は、これらの現象が意識の本質と死後の生存の可能性について、我々の理解を根本的に広げるものであることを示唆している。

物理的霊媒現象:最も驚異的な超常現象

定義と魅力

レスリー・キーン氏は、物理的霊媒現象を「PK(念力)が、生きた形態や生命体さえも創り出すレベルで発生するもの」と定義している。彼女は、超常現象の様々な側面を研究してきた中で、この現象が最も刺激的で興味深く、説明が困難であるからこそ、強く惹かれると述べている。

「驚愕要因」と懐疑論

物理的霊媒現象は、その報告が150年以上にわたって繰り返されてきたにもかかわらず、ほとんどの人々に受け入れられていない。その理由は、現象があまりにも常識からかけ離れており、「あり得ない」という先入観が働く「驚愕要因」にある。

  • 科学界からの批判: 多くの科学者や超心理学者は、この現象を19世紀から20世紀初頭の報告とみなし、カード当て実験やリモートビューイングのように実験室で繰り返し再現できないことから、その存在を否定する傾向にある。
  • 社会的スティグマ: マクロPK(大規模な念力現象)に関わることは、専門家としてのキャリアを危うくするほどの強い社会的スティグマを伴う。現象を支持するように見られることを恐れ、多くの研究者がこの分野から距離を置いている。キーン氏は、この好奇心の欠如こそが、この驚異的な現象が探求されない大きな要因であると指摘する。

歴史的証拠と科学的調査

キーン氏は、現代の科学者が軽視しがちな過去の研究が、非常に厳格で緻密であったことを強調している。当時の科学者たちは、現代に劣らない能力で徹底的な調査を行っていた。

主な歴史的物理霊媒

  • ユサピア・パラディーノ: イタリアの著名な物理霊媒で、実験室で研究された。
  • ミナ・クランドン(「マージェリー」): 20世紀初頭のアメリカの霊媒。サイエンティフィック・アメリカン誌から賞を授与されかけたが、奇術師フーディーニの介入により阻止された。
  • D.D.ホーム(ヒューム): 19世紀を代表する物理霊媒。
  • フラネック・クルスキ: ポーランドの教育水準の高い物理霊媒。彼の現象は、当時の知識人や科学者たちを魅了した。

フラネック・クルスキとワックス・グローブ実験

クルスキの霊媒現象の最も重要な証拠は、ノーベル賞受賞者であるシャルル・リシェとギュスターヴ・ジュレという二人のフランス人科学者がパリの研究所で行った実験である。

実験の側面詳細
実験環境窓がなく、完全に管理された部屋で実施。
不正防止策霊媒は両側を研究者に挟まれ、手足を抑えられていた。部屋に何も持ち込んでいないか検査され、詐欺の可能性は完全に排除されていた。
実験プロセス物質化した霊の手が、熱湯で溶かされたパラフィンワックスの桶に手を浸すよう求められた。ワックスが冷えて固まった後、手が非物質化し、薄いワックスの手袋だけが残された。
物的証拠残されたワックスの手袋に石膏を流し込み、物質化した手の完璧なレプリカが作成された。
証拠の特異性・薄さ: ワックスは紙のように薄く、人間の手では破壊せずに引き抜くことは不可能だった。
・形状: 手が組まれた状態や、指が特定の形をしたままの型もあり、物理的に作成することは不可能だった。
・サイズ: 大人の手の特徴を持ちながら、子供の手のサイズである型も存在し、超常的な性質を示唆していた。
科学的統制研究者たちは、霊媒にも知らせずにワックスに染料を混ぜたり、実験前後のワックスの量を正確に測定するなど、極めて緻密な管理を行っていた。

キーン氏は、これらの石膏型をパリの形而上学研究所の金庫で実際に目にし、触れる機会を得た。彼女は、これらを「物質化の現実性を示す最も奇跡的な証拠」と評している。また、ドイツの文豪トーマス・マンもクルスキの交霊会に出席し、そのあり得ない光景に「船酔い」のような感覚を覚えたと雄弁に記述している。

レスリー・キーンによる現代の調査:スチュアート・アレクサンダーとのセッション

キーン氏は、この現象を自ら目撃するために、信頼できる霊媒を探し求めた。詐欺師も存在する中で、彼女はスチュアート・アレクサンダーという一人の霊媒と出会い、5年間にわたる調査を行った。

デュー・ディリジェンス(適正評価手続き)

キーン氏は、アレクサンダー氏との最初のセッションに臨むにあたり、徹底的な不正防止策を講じた。

  • 部屋の構造を調べ、セッション中に出入りができないことを確認した。
  • 霊媒が座る椅子やテーブルを点検した。
  • 霊媒を椅子に固定するために、トリック防止のために自身で用意したケーブルタイを使用した。

スチュアート・アレクサンダーの人物像

アレクサンダー氏は40年以上にわたり、ごく少人数のグループ(サークル)と静かにセッションを続けてきた人物である。彼は過去の霊媒たちが世間の注目を浴びた結果、悲惨な運命を辿ったことを知っており、極度にプライベートを重んじ、公に出ることを避けている。

目撃された主な現象

現象の種類詳細な説明
エクトプラズム霊媒の体から放出されるとされる物質で、霊団が物質化や物体移動に用いるとされる。キーン氏は、照明の下で雲のようなエクトプラズムがテーブル上に出現し、それが目の前で固形の物理的な手に変化するのを目撃した。その手はテーブルを叩き、物理的な存在であることを示し、キーン氏自身もそれに触れることができた。
独立音声声が霊媒の口からではなく、部屋の別の場所から聞こえる現象。時には「トランペット」と呼ばれるメガホンのような円錐形の物体が空中を浮遊し、その途中から声が発せられる。霊団の説明によれば、エクトプラズムで人工的な声帯を創り出して発声しているという。
物質透過現象「物質を透過する物質の実験」と霊団が呼ぶ現象。アレクサンダー氏の手首に固く締められたケーブルタイを、彼の腕が通り抜ける。腕が自由になった後も、ケーブルタイは椅子に無傷のまま残されている。その後、そのケーブルタイは参加者への記念品として渡される。キーン氏がその一つを高解像度顕微鏡で分析させたところ、構造に何の変化も見られなかった。
全身の物質化ドクター・バーネットと名乗る霊体が、暗闇の中で完全に物質化する現象。キーン氏は、バーネットが目の前に立ち、その非常に大きな両手で彼女の頭に触れ、すぐ目の前で話しかけるという体験をした。この時、霊媒であるアレクサンダー氏は、部屋の別の場所にある「キャビネット」と呼ばれる空間に拘束されたままである。

ウォルター・スティンソンの再来

アレクサンダー氏の交霊会を主導する霊は「ウォルター・スティンソン」と名乗っており、これは1920年代にミナ・クランドン(「マージェリー」)と共に活動した霊と同じ存在であるとされる。ウォルターは、アレクサンダー氏が彼の姉(マージェリー)に強い関心を持っていたために引き寄せられたと語っている。この100年越しの繋がりは、死後の生存を示唆する強力な状況証拠であるが、キーン氏は「証明」という言葉の使用には慎重である。

現象の解釈と意味

死後の世界の証明か、人間のPKか

キーン氏は、これらの現象が実際に起こることを認めた上で、その原因について二つの主要な解釈を提示している。

  1. スピリチュアリズム的解釈: 死後の世界に存在する霊が、死後存続の証拠を示すために現象を引き起こしている。霊媒自身もこの立場を取る。
  2. 哲学的解釈(スティーブン・ブラウディ): これは霊の介入ではなく、人間の意識が持つ極限のPK能力の現れである。指一本の物質化も人間一人の物質化も、同じプロセスの延長線上にあるとする合理的な議論である。

キーン氏は、後者の議論の合理性を認めつつも、自身の直接体験を踏まえると、直感的なレベルで受け入れることは難しいと述べている。

キーン個人への影響

これらの5年間にわたる体験は、キーン氏の認識を大きく広げた。

  • 意識観の変化: 意識が脳に限定されたものではないという確信を深めた。現象の原因が霊であれ人間であれ、それは意識の持つ驚異的な能力を示している。
  • 死生観の変化: 死後も別の場所で生き続けるという可能性への確信が強まった。合理的な思考から時に疑念を抱くことはあるものの、体験は彼女を死後の生存という現実へと強く結びつけた。
  • 癒やしの価値: 参加者が亡き愛する人から、本人しか知り得ない情報を受け取り、深い感動と癒やしを得る場面を数多く目撃した。この体験は、悲嘆にくれている人々にとって計り知れない価値を持つと彼女は考えている。

結論

レスリー・キーン氏へのインタビューは、霊の物質化という現象の現実性について、説得力のある論拠を提示している。その主張は、過去の厳格な科学的研究と、彼女自身による現代での緻密な調査という二つの柱によって支えられている。報告された現象は常識を覆すものであるが、提示された証拠は詳細かつ一貫性がある。

中心的な論点は、これらの出来事が死後の霊魂の存在証明なのか、それとも人間の意識に秘められた未知のポテンシャルの発現なのかという点に集約される。調査ジャーナリストとして出発したキーン氏が、最終的に交霊会の積極的な参加者となった道のりは、これらの現象との直接的な関わりが持つ、個人の認識を根底から変容させる力を浮き彫りにしている。

物理霊媒とは何か?エクトプラズム、物質化、そして科学的探求の歴史

AI

導入:物理霊媒への招待

ジャーナリストのレスリー・キーンは、物理霊媒を「超常現象の中で最も興味深い側面」と評しました。彼女はこれを、「生きた形さえも創造するほど大規模なサイコキネシス(PK)」と定義しています。多くの人々にとって、この現象はあまりにも常識からかけ離れているため、にわかには信じがたい「驚愕の要素(boggle factor)」を持っています。

このガイドは、この複雑で驚異に満ちたトピックを初めて学ぶ読者のために、基本的な概念から歴史的な証拠、現代における事例までを分かりやすく解説し、有益な入門書となることを目的としています。

1. 物理霊媒の核心的要素

物理霊媒とは、単一の現象ではなく、驚くべき多様な出来事の総称です。ここでは、報告されている主要な現象を定義し、説明します。

1.1. エクトプラズム:現象の源泉

エクトプラズムは、物理霊媒現象の根幹をなす物質です。その特徴は以下の通りです。

  • 源泉:霊媒の体から放出されるとされる、神秘的な物質です。
  • 役割:霊的な存在が、物体の移動(テレキネシス)や後述する「物質化」を行うための媒体として利用すると考えられています。
  • 性質:基本的にはエネルギー的な性質を持つとされますが、時には雲や霧のように目に見える形で現れます。
  • 感受性:非常にデリケートな物質であり、予期せぬ光や接触は霊媒に深刻なダメージを与える危険性があると警告されています。

1.2. 物質化:無から有を生み出す

物質化とは、エクトプラズムを用いて、霊的存在が一時的に物理的な形態を創り出すプロセスを指します。レスリー・キーンは、自身の調査中に以下のような驚くべき物質化現象を目撃しました。

  • 部分的な物質化 テーブルの上に現れたエクトプラズムの雲が、目の前で物理的な手へと形を変え、キーンが実際にそれに触れて固い感触を確かめることができた事例。
  • 完全な物質化 「バーネット医師」と名乗る霊的存在が、暗闇の中で全身を物質化させ、キーンの目の前に立ち、彼女の頭の上に両手を置いた事例。その際、彼は「私が物理的な人間であることを、あなたに知ってもらいたかったのです」といった趣旨の言葉を語りかけ、その手の感触は完全に物理的なものであったと報告されています。

1.3. その他の驚異的な現象

物質化以外にも、物理霊媒の交霊会では様々な現象が報告されています。

  • 独立した声(Independent Voice) 霊媒自身の声帯からではなく、部屋の別の場所(天井や空間の真ん中など)から直接、霊的な存在の声が聞こえる現象。
  • トランペット現象(Trumpet Phenomenon) メガホンのような形状の「トランペット」と呼ばれる物体が空中を浮遊し、その先端から霊の声が拡大されて発せられる現象。
  • 物質透過(Matter through Matter) 霊媒の腕が、ケーブルタイ(結束バンド)で固く椅子に縛り付けられているにもかかわらず、その結束具を破壊することなく通り抜けてしまう現象。

2. 歴史的な証拠:フランツ・クルスキーのワックス手袋実験

物理霊媒の信憑性を裏付ける最も強力な歴史的証拠の一つが、20世紀初頭に行われた「ワックス手袋実験」です。

この実験の中心人物は、フランツ・クルスキー。彼は教育水準の高いポーランド人実業家であり、同時に強力な物理霊媒でもありました。彼の能力は、ノーベル賞受賞者である生理学者シャルル・リシェをはじめとする当時の第一線の科学者たちによって、厳しく管理されたパリの研究所で調査されました。

これらの交霊会が、洗練された知識人に与えた衝撃は計り知れません。ドイツの偉大な作家トーマス・マンもクルスキーの交霊会に参加し、その現象を「あまりにも衝撃的で、方向感覚を失わせる」と表現し、ありえないものを目撃したことで「船酔い」のような感覚に襲われたと記しています。これは、導入で触れた「驚愕の要素」をまさに体現する逸話です。

実験のプロセスは以下の通りです。

  1. 準備 科学者たちは、外部からの侵入が不可能な管理された実験室に、熱湯で温められた溶けたワックスの容器を持ち込みます。
  2. 実行 交霊会中に物質化した霊的な「手」が、そのワックスの中に複数回浸されます。
  3. 離脱 ワックスが冷えて固まった後、内部の霊的な手が非物質化して消え、中空の薄いワックスの手袋だけが残されます。
  4. 記録 残された繊細なワックスの手袋に石膏を慎重に流し込み、固まった後に外側のワックスを取り除くことで、物質化した手の完全なレプリカを作成します。

この実験がなぜ詐欺である可能性が極めて低いとされるのか、その説得力のある理由は以下の3点に集約されます。

  • 極薄のワックス 手袋は紙のように薄く、もし物理的な手で引き抜こうとすれば、その圧力で必ず壊れてしまいます。
  • 不可能な形状 二つの手が固く絡み合った状態や、指が特定のポーズを取ったままの手袋など、物理的な手を引き抜くことでは到底作成不可能な形状のものが作られました。
  • 矛盾したサイズ 手のしわや爪の形は大人の特徴を持っているにもかかわらず、手袋全体のサイズは子供のものという、物理的にありえない特徴を持つレプリカが作成されました。

3. 現代における物理霊媒:スチュアート・アレクサンダーの事例

現代における物理霊媒の実践者として、レスリー・キーンが5年間にわたり調査したスチュアート・アレクサンダーの事例は非常に重要です。彼は非常にプライベートな人物であり、自身の能力を公にすることを極力避けてきました。

トピック説明
観察された現象アレクサンダーの交霊会でキーンが目撃した現象には、エクトプラズムからの手の物質化、バーネット医師による独立した声と完全な物質化、そしてケーブルタイを使った物質透過実験などが含まれます。これらの現象は、厳格な管理下で確認されました。
ウォルターとの繋がりアレクサンダーの交霊会を主導するのは「ウォルター」と名乗る霊的存在です。彼は、1920年代に活動した有名な霊媒マージェリー・クランドン(彼の妹)の協力者であったと主張しています。ウォルターによれば、妹との活動では完全に失敗したと感じ、「二度とこんなことはしない」と誓ったものの、アレクサンダーの妹に対する深い関心に引かれて再び現れたと説明しています。100年近くの時を超えて同じ霊的存在が活動しているというこの主張は、死後存続の絶対的な「証明」とまでは言えないものの、非常に「示唆に富む」証拠であるとキーンは同意しています。

4. 課題と考察:なぜ物理霊媒は受け入れられにくいのか?

物理霊媒の現象が本物であると仮定した場合でも、その原因については二つの主要な解釈が存在します。

解釈説明
スピリット説(霊魂説)この現象は、死後の世界の霊的存在がエクトプラズムを操作して引き起こしているとする考え方。これは霊媒自身の見解であり、伝統的な解釈です。
PK説(サイコキネシス説)この現象は、死後の霊的存在の介在なしに、霊媒や参加者など、その場にいる生きている人間の未知の精神能力(PK)が極限まで高められた結果であるとする考え方。

これらに加え、物理霊媒が一般的に懐疑的に見られる背景には、いくつかの現実的な理由があります。

  • 再現性の欠如 実験室の管理された環境で、意図した通りに現象を繰り返し再現することが極めて困難です。
  • 詐欺の歴史 過去に多くの詐欺師が物理霊媒を装って不正行為を働いたため、分野全体の信頼性が著しく損なわれています。
  • 暗闇の条件 多くの交霊会が、現象を起こしやすくするために完全な暗闇で行われます。この条件が、不正行為を疑う余地を生み出しています。
  • 現象の希少性 本物の能力を持つとされる物理霊媒は歴史的にも極めて稀であり、ほとんどの人が直接体験する機会がないため、現実味を感じにくいのが実情です。

5. 結論:物理霊媒が示唆するもの

物理霊媒は、その現象の信じがたさと数々の課題にもかかわらず、私たちに根源的な問いを投げかけます。レスリー・キーンが指摘するように、重要なのはその核心的な意味です。

「現象の原因が霊魂であれ、人間の精神能力であれ、どちらにしても意識の驚くべき可能性を示している」

物理霊媒の現象は、私たちの「意識は脳の産物であり、物質がすべてである」という唯物論的な世界観に根本的な挑戦を突きつけます。それが死後の世界の霊によるものなのか、あるいは生きている人間の未知なる潜在能力の現れなのか。その答えがどちらであっても、この現象は、意識が物質世界に直接作用を及ぼすという驚異的な可能性を示唆しています。

この探求は、私たち自身の存在、そして死後存続の可能性について、深く考えるきっかけを与えてくれる、最も深遠なテーマの一つと言えるでしょう。

著名な物理霊媒たちの人物紹介

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導入:物理霊媒とは何か

物理霊媒とは、超常現象の中でも特に驚異的で理解が難しい現象の一つであり、「PK(念力)が、生きた姿や存在を創り出すまでに至る現象」と定義されます。これは非常に稀で、物議を醸す現象でありながら、その歴史においては管理された条件下で科学者たちによって厳密に記録されてきました。

しかし、たとえ科学的な証拠が示されたとしても、多くの人々にとってこの現象は信じがたいものです。この心理的な障壁は「ボーグル・ファクター(boggle factor)」、つまり「あまりに常識からかけ離れているために、思考が停止してしまうほどの衝撃」と呼ばれます。本文書では、この不可思議な現象の歴史において中心的な役割を果たし、私たちの世界観に挑戦し続けてきた4人の重要な物理霊媒を紹介します。彼らの人生と能力を学ぶことで、この現象の複雑さと探求の歴史を深く理解することができるでしょう。

1. フランツ・クルスキー(Franek Kluski)

1.1. 人物像と背景

フランツ・クルスキーは、教養があり洗練されたポーランド人の実業家でした。彼の霊能力は家系に由来するとされ、子供の頃から不思議な能力を発揮していたと報告されています。彼の交霊会には、当時の知識人、科学者、哲学者たちが集まり、その現象を目撃しました。

1.2. 特徴的な現象:ワックス・グローブ

クルスキーの霊媒能力の中で最も重要かつ証拠価値が高いとされるのが、物質化した「手」の永久的な記録を残すために考案された「ワックス・グローブ」の実験です。この実験は、詐欺の可能性を排除するために綿密に設計されました。

  • 作成プロセス: 交霊会の最中、物質化した霊の手が熱いワックスの入った桶に浸されます。ワックスが冷えて固まった後、手が非物質化し、中空のワックスの「手袋」だけがその場に残されました。その後、研究者たちはその繊細なワックスの手袋に石膏を慎重に流し込み、固まった後に外側のワックスを取り除くことで、物質化した手の完璧な石膏レプリカを作成しました。
  • 手袋の薄さ: 残された手袋は紙のように非常に薄く、物理的な人間の手では、それを壊さずに引き抜くことは不可能でした。
  • 形状の特異性: 中には、両手が組まれた状態や、指を指した形で作られた手袋も存在しました。このような複雑な形状は、物理的な手で作ることはできません。
  • サイズの矛盾: 手袋の中には、大人の手の特徴(しわなど)を持ちながらも、子供ほどの小さなサイズのものがありました。これも、その場にいた大人の手によるものではないことを示す強力な証拠と見なされました。

1.3. 科学的調査

クルスキーの能力は、ノーベル賞受賞者であるシャルル・リシェと、ギュスターヴ・ジュレという二人の著名なフランス人科学者によって厳格に調査されました。二人はパリの研究所にある、窓がなく完全に管理された部屋で実験を行い、クルスキーの手足を押さえつけるなど、厳格な管理体制を敷きました。

目撃者たちは、霊の手が形成される際にその周りに小さな光が見えたり、ワックスがはねる音を聞いたりしたと報告しています。さらに科学者たちは、誰にも知らせずにワックスに特殊な染料を混ぜるといった手法を用い、作成された手袋が確かにその場のワックスから作られたものであることを科学的に検証しました。

1.4. 有名な証言

ドイツの偉大な作家トーマス・マンもクルスキーの交霊会に出席した一人です。彼は、目の前で起こるあり得ない現象の衝撃に耐えきれず、まるで「船酔い」のような感覚を覚えたと雄弁に記述しています。これは、当時の知識人がこの現象にどれほど大きな衝撃を受けたかを示す逸話です。

学習の架け橋: クルスキーが厳格な科学的調査を受けたのと同様に、次に紹介するユサピア・パラディーノもまた、当時の科学者たちの注目を集めた霊媒師でした。

2. ユサピア・パラディーノ(Eusapia Palladino)

2.1. 著名な物理霊媒

ユサピア・パラディーノは、フランツ・クルスキーと並んで、歴史上非常に有名な物理霊媒の一人です。彼女の現象もまた、1世紀以上にわたって繰り返し報告されてきました。

2.2. 科学的研究の対象

彼女もまた、研究室という管理された環境で詳細な調査を受けました。しばしば「昔の調査は未熟だった」という懐疑的な見方がありますが、それは歴史的事実を正確に反映していません。当時の科学者たちは、現代の科学者と何ら遜色のない能力で、徹底的かつ綿密な調査を行いました。彼らの記録は、この現象が単なる逸話ではなく、真剣な探求の対象であったことを示しています。

2.3. 意識状態

クルスキーが交霊中に完全に意識を失っていた(トランス状態にあった)のとは対照的に、パラディーノは必ずしも完全なトランス状態にあったわけではないという点で違いがありました。

学習の架け橋: パラディーノのように科学界の注目を浴びた霊媒は他にもいましたが、中には科学界からの承認を目前にしながら、論争に巻き込まれた人物もいました。それが次に紹介するミナ・クランドンです。

3. ミナ・クランドン(Mina Crandon)、「マージェリー(Margery)」

3.1. 20世紀初頭の有名霊媒

ミナ・クランドンは、通称「マージェリー」として知られる、20世紀初頭のアメリカの上流社会の女性でした。彼女の霊媒能力は非常に強力で、当時の科学界に大きな衝撃を与えました。

3.2. 成功と論争

マージェリーのキャリアは、輝かしい成功と深刻な疑惑という二つの側面を持っていました。彼女の現象には、夫が関与したとされる不正行為など、正当な問題点が指摘されたことも事実です。しかし、そうした論争があったにもかかわらず、彼女の霊媒能力が「並外れていた」という評価は揺るぎませんでした。

功績と評価論争と疑惑
科学雑誌『サイエンティフィック・アメリカン』から賞を授与されそうになるほど、科学委員会にその能力を実証しました。有名な奇術師フーディーニが介入し、不正を指摘したことで、その評価は覆されました。
彼女の霊媒能力は「並外れていた(extraordinary)」と評価されています。ワックスで作成された親指の指紋に関する問題や、夫が関与したとされる不正行為の疑いが持たれました。

3.3. 指導霊ウォルター

彼女の現象を主導したのは、「ウォルター・スティンソン」と名乗る亡き兄の霊でした。驚くべきことに、このウォルターは100年後の現代において、次に紹介する霊媒師スチュアート・アレクサンダーのもとにも現れ、活動を続けているとされています。この繋がりは、物理霊媒の歴史が断絶せず、現代にまで続いている可能性を示唆しています。

学習の架け橋: マージェリーの指導霊ウォルターとの繋がりは、物理霊媒の歴史が現代にまで続いていることを示唆します。次に、そのウォルターと共に活動する現代の霊媒師、スチュアート・アレクサンダーを紹介します。

4. スチュアート・アレクサンダー(Stewart Alexander)

4.1. 現代における物理霊媒

スチュアート・アレクサンダーは、40年以上にわたって静かに活動を続けている、現代で最も信頼されている物理霊媒の一人です。マージェリーのような歴史上の霊媒たちが世間の注目を浴びた結果、悲惨な運命を辿ったことを知っているため、彼は極めてプライバシーを重視してきました。この現象に伴う強烈な「社会的スティグマ」は、時に職を失ったり、社会的に孤立したりする危険をはらんでいます。そのため、彼は公に出ることを慎重に避けてきました。

4.2. 目撃された主な現象

調査ジャーナリストのレスリー・キーンは、5年間にわたって彼を調査し、数々の驚異的な現象を直接目撃しました。以下は、彼女の衝撃的な体験談に基づく現象の紹介です。

  1. エクトプラズムの物質化 キーン氏は、霊媒の体から放出された「エクトプラズム」と呼ばれる物質が、まるで雲のように現れるのを目撃しました。そして、その雲が「目の前で物理的な『手』を形成する」瞬間を見たのです。彼女がその手に触れると、それは固い物理的な人間の手であり、テーブルを叩いてその物理性を証明したといいます。その後、手は再び非物質化して消え去りました。
  2. 物質透過現象 霊媒の裸の手首には、切断しない限り外すことのできないケーブルタイ(結束バンド)が固く締め付けられます。参加者がそのケーブルタイの上に手を置いていると、突然「パチン」という音と共に霊媒の腕が空中に飛び出し、ケーブルタイを通り抜けて自由になります。結束バンドは無傷のまま椅子の上に残されており、腕が固体を通り抜けたとしか考えられません。後にキーン氏がこのケーブルタイを高解像度顕微鏡で分析させたところ、「構造が乱された痕跡は一切見つからなかった」と報告されています。
  3. 全身の物質化 暗闇のセッション中、発光する帯が縁取られたカーテンが開き、「バーネット医師」と名乗る霊が完全に物理的な姿で現れました。彼はキーン氏の目の前に立ち、彼女の頭の上に「二つのとても大きな手」を置きました。彼女は、頭上で速い「タッピング」のような奇妙な感覚を覚えながら、目の前から聞こえる彼の声を直接聞いたといいます。数分前には存在しなかった物理的な人間が、その場に実体化したのです。

4.3. 発達の過程と目的

彼の能力は、一夜にして得られたものではありません。同じ仲間たちと何十年もの間、毎週辛抱強くセッションを続けることで、非常にゆっくりと発達しました。彼の活動は観客を楽しませる「パフォーマンス」ではなく、霊界との協力のもとで新しい能力を試す「実験」です。例えば、エクトプラズムから手を一つ物質化させるだけでも、「ウォルターが何年もかけて取り組んだ」成果なのです。その目的は、死後も意識が存続することを示すことにあります。

4.4. マージェリーとの繋がり

彼の指導霊は、100年前にミナ・クランドン(マージェリー)の指導霊であったウォルターと同一の存在であるとされています。ウォルターがスチュアートのもとに現れた理由は、極めて人間的で感動的です。ウォルターは、スチュアートが、不当な扱いを受けたとされる姉マージェリーに対して深い関心と共感を持っていたことに惹かれたのだと説明しています。この繋がりは、単なる偶然ではなく、時を超えた深い共感が生んだ奇跡なのかもしれません。

結論:歴史を通じて見る物理霊媒の本質

これら4人の人物紹介を通じて、物理霊媒という現象に共通するいくつかの本質的なテーマが見えてきます。

  • 現象の継続性 クルスキーのワックス・グローブから、アレクサンダーのエクトプラズムの手まで、時代や場所を超えて「物質化」という核となる現象が一貫して報告されています。
  • 科学的探求と社会的スティグマの相克 19世紀のノーベル賞受賞者による研究室での実験から、現代のジャーナリストによる徹底した検証まで、この現象は常に真剣な科学的探求の対象であり続けてきました。しかし、その一方で、卓越した現象が報告されるたびに、詐欺の疑惑や強烈な社会的スティグマがつきまといました。この根深い矛盾こそが、アレクサンダーのような現代の霊媒たちが、自らのプライバシーを固く守る理由となっているのです。

この文書が、物理霊媒という現象を単なるオカルトとして片付けるのではなく、複雑な歴史と科学的探求の文脈を持つ、奥深い研究分野として理解するための一助となれば幸いです。この分野は、私たちの信念がどうであれ、意識と物質の根源的な関係性について、根本的な問いを投げかけてくるのです。

ケーススタディ:調査ジャーナリスト、レスリー・キーンの物理霊媒探求

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序文:合理主義者が「不可能」と対峙する時

本ケーススタディは、確立された調査ジャーナリストであるレスリー・キーンが、最も物議を醸す超常現象の一つである「物理霊媒」に5年間にわたり深く関与した軌跡を分析するものである。懐疑的な視点を持つプロフェッショナルが、客観的現実の根幹を揺るがすような現象に直面した時、その調査プロセスはどのように展開し、個人の世界観や職業的アイデンティティにどのような変容をもたらすのか。本稿は、キーンの厳格な調査手法、彼女が目撃した驚くべき現象、そしてその経験が彼女の視点をいかに変容させたかを探ることを目的とする。

レスリー・キーンは、単なる超常現象愛好家ではない。彼女は、ビルマの民主化闘争や米国の政治家に関する書籍を共同執筆するなど、硬派なテーマでキャリアを築いてきた。その後、UFOに関する著作で高い評価を受け、その厳密な調査手法をもって超常現象という未知の領域に足を踏み入れた。キーンが従来型の調査ジャーナリズムで培った実績は、この通常は周縁に追いやられがちな分野への彼女の参入に大きな重みを与え、そのアプローチが安易な受容ではなく、厳格な証拠精査に基づくものであることを示している。

物理霊媒現象は、その性質上、極めて高い「boggle factor」(信じ難さ)を持つ。物体が浮遊し、霊的な存在が物質化し、物理法則が公然と無視されるとされるこの現象は、一般大衆だけでなく、多くの超心理学者からさえも敬遠されがちである。その主な理由は、遠隔透視やカード当て実験のように、管理された実験室の環境で繰り返し再現することが極めて困難であるためだ。しかし、キーンの調査が示すように、この現象の歴史を紐解くと、かつてはノーベル賞受賞者を含む一流の科学者たちが、その真偽を確かめるべく厳格な調査を行っていた事実が浮かび上がってくる。

1. 調査対象の現象:物理霊媒の歴史的文脈と科学的証拠

このセクションでは、物理霊媒現象が単なる逸話や伝承の産物ではなく、過去において厳格な科学的調査の対象であったことを示す。この歴史的文脈を理解することは、レスリー・キーンが現代において行った調査の重要性と信頼性を評価する上で不可欠である。それは、彼女の探求が根拠のないものではなく、検証可能な物理的証拠の歴史に基づいていることを明らかにする。

20世紀初頭、ポーランド出身の物理霊媒フラネック・クルスキは、当代一流の科学者たちの注目を集めた。特に、ノーベル生理学・医学賞受賞者であるシャルル・リシェと、著名な研究者ギュスターヴ・ジュレは、パリの研究所でクルスキを調査した。彼らは、詐欺の可能性を完全に排除するため、窓がなく外部からの侵入が不可能な部屋を用意し、クルスキの両手両足を常に監視下に置くなど、厳格に管理された条件下で実験を行った。

彼らの調査手法の中でも画期的だったのは、「ワックス・グローブ」の作成である。これは、交霊会中に物質化したとされる「手」に、溶かしたワックスの入った桶に浸るよう依頼し、その周囲にワックスの型を作らせるというものだった。手が非物質化すると、中空のワックスの手袋だけが残される。このワックス・グローブは、詐欺の可能性を排除するための強力な物理的証拠となった。その信憑性を高めるため、科学者たちは密かにワックスに染料を混ぜ込むといった策を講じ、作成された型が間違いなくその場に用意されたワックスから作られたものであることを確認した。

  • 極薄のワックス: 残された手袋のワックスは紙のように薄く、物理的な人間の手がその形を壊さずに引き抜くことは不可能であった。
  • 絡み合った手: 時には、指が絡み合った二つの手が一体となった型が作成された。このような形状から物理的な手を取り出すことは、解剖学的に不可能である。
  • 子供サイズの成人の手: 作成された型の中には、大人の手の特徴(皮膚の質感やしわ)を持ちながら、子供のサイズしかないものがあった。これは、通常の人間が作り出したものではないことを示唆する強力な証拠とされた。

キーン自身、後年パリの形而上学研究所を訪れ、保管されているこれらのワックス・グローブの実物を手に取る機会を得た。彼女はこの経験を、自らの調査における「重大な瞬間」であったと語っている。100年前に作られた物理的証拠に触れたことで、この現象の現実性に対する彼女の確信は深まり、現代における信頼できる霊媒師を探求する意欲を掻き立てられたのである。この歴史的背景は、現代において真の能力を持つ霊媒を見つけることがいかに困難で、また重要であるかを浮き彫りにし、キーン自身の5年間にわたる探索へと我々を導く。

2. 調査の開始:信頼できる情報源の探求とデューデリジェンス

このセクションは、レスリー・キーンの調査アプローチがいかに厳格であったかを確立する上で極めて重要である。ジャーナリストとしての彼女の生来の懐疑心と、観察対象の信頼性を確保するために行われた徹底的なデューデリジェンス(適正評価手続き)のプロセスは、彼女が後に報告する現象の信憑性を裏付ける基盤となる。

キーンが直面した最初の課題は、信頼できる調査対象を見つけることの難しさだった。現代において、十分に能力が発達し、かつ倫理的に信頼できる物理霊媒は極めて稀である。詐欺や自己欺瞞の事例が後を絶たないこの分野では、情報源の選定が調査の成否を分ける。

長年の探索の末、彼女が5年間にわたる調査の対象として選んだのは、英国の霊媒師スチュアート・アレクサンダーであった。彼は40年以上のキャリアを持つ一方で、過去の霊媒師たちが受けた不当な非難や攻撃を恐れ、極めてプライベートな活動を続けてきた人物である。彼の世評を求めない姿勢は、キーンにとって信頼性を測る一つの指標となった。

キーンが2015年に初めてアレクサンダーの交霊会(シッティング)に参加するにあたり、彼女はジャーナリストとしての本領を発揮し、徹底したデューデリジェンスを実施した。

  1. 環境の検証: 交霊会が行われる部屋を事前に隅々まで調査し、セッション中に部外者が出入りする隠し扉や通路が存在しないことを確認した。
  2. 備品の確認: アレクサンダーが座る椅子や、彼の前に置かれるテーブルに、現象を引き起こすための仕掛けがないかを綿密に点検した。
  3. 拘束の検証: アレクサンダーはセッション中、椅子のアームレストに手首をケーブルタイで固く拘束される。トリック用のタイである可能性を排除するため、キーンは彼女自身が持参した市販のケーブルタイを使用した。

この綿密な検証プロトコルは、ありふれた詐欺行為に対する管理のベースラインを確立し、それによって、後に観察される現象の証拠としての地位を高めるものである。

3. 観察された証拠:物理現象のカタログ

本セクションは、このケーススタディの証拠上の中核をなす。ここに記録される現象は、単なる逸話的好奇心の対象としてではなく、厳格に管理された条件下でキーンによって記録された、繰り返し観察可能な事象のカタログとして提示される。その持続性と一貫性は、厳密な検討を要求する。

3.1. エクトプラズムの形成と実体化

物理霊媒の古典的な現象であるエクトプラズムの出現を、キーンは光のある条件下で目撃している。これは、暗闇が不正の温床になるとの批判を回避する上で極めて重要である。彼女は、光源が下にあるテーブルの上に、雲のような、あるいは水のような物質(エクトプラズム)が出現するのを見た。そして、その雲状の物質が目の前で徐々に形を変え、固体の人間の手に変化するプロセスを観察した。彼女はその手に触れることを許され、それが物理的な実体を持つ人間の手であることを自身の触覚で確認した。この現象が進行中、その手の持ち主とされる霊的存在(ウォルター)が、霊媒師を通じて語りかけ、プロセスを説明し、参加者にいつ触れるべきか指示していたという。その手はテーブルを叩いて物理的な存在を証明した後、再び非物質化して消え去った。

3.2. 独立音声(インディペンデント・ボイス)

これは、霊媒師自身の声帯を使うことなく、部屋の別の場所から音声が聞こえる現象である。キーンは、トランス状態にあるアレクサンダーとは全く別の場所から、明瞭な声が発せられるのを何度も経験した。特に奇妙な体験として、彼女は「トランペット」と呼ばれる円錐形のメガホンのような物体が、ひとりでに空中に浮遊し、部屋の中を飛び回る様子を目撃している。そして、そのトランペットが彼女の目の前で静止し、その内部から直接声が発せられたと報告している。霊媒師が部屋の反対側に拘束されている状況で、この現象が起こることは、通常の物理法則では説明がつかない。

3.3. 物質透過現象

キーンが「物質透過実験」と呼ぶ現象は、物理法則に対する最も直接的な挑戦の一つである。アレクサンダーの裸の手首の最も細い部分に、ワイヤーカッターがなければ切断不可能なケーブルタイが、極めてきつく締め付けられている。この拘束方法は、単純に手を滑らせて抜くというトリックの可能性を排除するために重要である。しかし、セッション中に「ウォルター」と名乗る存在の指示で、彼の腕は物理的にケーブルタイを通り抜け、自由になる。この時、参加者は「パチン」という破裂音を聞くが、ウォルターによれば、これは物理的な破壊音ではなく、エネルギーの放出に関連する音だという。その瞬間、参加者は彼の腕が自由になったことを確認すると同時に、空になったケーブルタイが切断されることなく、そのままの形で椅子のアームレストに固く残っていることを触って確認できる。キーンはこの実験で残されたケーブルタイの一つを入手し、専門家による高解像度顕微鏡での調査を依頼した。その結果、ケーブルタイの分子構造には、切断、溶解、あるいはその他のいかなる物理的変性の痕跡も一切見られなかった。

3.4. 完全な身体での物質化

キーンが最も衝撃的だったと語る体験の一つが、霊的存在が完全な物理的身体を持って部屋に現れる現象である。彼女はこれを3〜4回経験したという。あるセッションでは、「ドクター・バーネット」と名乗る存在が、暗闇の中、彼女の前に物理的な身体を持って立った。彼はキーンの頭の上に彼の非常に大きな両手を置き、頭を優しく叩きながら、彼女の顔の真ん前から直接語りかけた。数分前には存在しなかったはずの人間が、物理的な実体としてすぐそばに存在し、触れ、語りかけてくるというこの体験は、彼女にとって個人的かつ強烈な現実として刻まれた。

これらの現象は、5年という歳月をかけて繰り返し観察されたものである。その一貫性と、厳格な管理下で発生したという事実は、我々に対し、これらの不可解な出来事をどのように解釈すべきかという、根源的な問いを突きつける。

4. 分析と解釈:「それで、これは何を意味するのか?」

キーンの観察における「何が」を確立した今、本セクションは「いかにして」そして「なぜ」という、はるかに複雑な問いに取り組む。ここでは、現象の記述を超え、これらの根本的な異常事態を理解しようと試みる、競合する説明的枠組みの評価へと移行する。

物理霊媒現象の解釈を巡っては、主に二つの対立する視点が存在する。

解釈提唱者/視点説明
スピリチュアリスト的解釈霊媒師と参加者現象は、死後の世界の霊魂が、霊媒師の身体から放出されるエクトプラズムという物質を操作して引き起こすものである。これは、意識が肉体の死後も存続するという「死後存続」の直接的な証拠であると見なされる。
超心理学的解釈(Super-PK)スティーブン・ブラウディ(哲学者)など現象は死者の霊魂によるものではなく、霊媒師や参加者といった生きている人間が持つ、未知の広範な精神能力(サイコキネシス)が極限まで発揮された結果である。この説では、指一本を物質化させることと人間全体を物質化させることに質的な差はなく、同じサイコキネシス過程における規模の問題に過ぎないと主張する。

キーン自身の立場は、この二つの解釈の間で揺れ動く、知的誠実さに満ちたものである。彼女は、5年間の個人的で強烈な体験から、「直感レベルでは」、これが単に生きている人間の潜在能力(Super-PK)であると受け入れるのは難しいと感じている。特に、明確な個性と記憶を持つ存在と対話し、物理的に触れ合った経験は、スピリチュアリスト的解釈に説得力を与える。しかし、同時に彼女は合理的な懐疑主義者であり、調査ジャーナリストとして、どちらの説も現時点では証明不可能であることを冷静に認めている。

この解釈の困難さは、現象の価値を損なうものではない。むしろ、それが「霊魂」によるものか「未知の精神能力」によるものかにかかわらず、意識が脳という閉じた系に限定されず、物理世界に直接的かつ劇的な影響を及ぼす能力を持つ可能性を強く示唆している。この事実は、現代科学の物質主義的なパラダイムに根本的な問いを投げかけるものであり、その点において極めて重要である。この問いこそが、キーン自身の世界観に変容をもたらした核心的な要素であった。

5. 結論:調査がジャーナリストにもたらした変容

本ケーススタディの締めくくりとして、5年間にわたる物理霊媒現象への深い関与が、調査ジャーナリストであるレスリー・キーンの個人的な世界観と職業的アイデンティティに、いかに永続的な影響を与えたかを統合的に評価する。彼女の経験は、単なる現象の記録に留まらず、合理主義者が未知と対峙した際の知的・感情的変容の貴重な事例となっている。

キーンの認識の変化は、主に以下の3つの点で要約できる。

  • 意識観の拡大: 彼女の最大の収穫は、意識が決して脳に限定された副産物ではないという深い認識である。現象が霊魂によるものか、人間の潜在能力によるものかにかかわらず、意識が物理世界に直接作用し、物質を形成し、法則を乗り越える力を持つ可能性を目の当たりにした。これは、唯物論的な世界観からの決定的な脱却を意味する。
  • 死生観の変化: 調査以前に比べ、死後存続の可能性に対して、はるかにオープンで、個人的なつながりを感じるようになった。もちろん、彼女は合理的な疑いを保持し、「証明」されたとは考えていない。しかし、体験を通じて得られた感覚は、死を単なる終わりとしてではなく、移行の可能性として捉える視点をもたらした。
  • 共感的視点の獲得: 彼女は、遺族が霊媒を通じて故人とコミュニケーションを取ることで得られる、深い感情的な癒やしの価値を目の当たりにした。現象の真偽を巡る科学的・哲学的議論とは別に、それが人々の悲嘆(グリーフ)に与えるポジティブな影響の重要性を、ジャーナリストとして、また一人の人間として深く理解するようになった。

キーンは、これらの極めて個人的で異質な経験を、客観性と証拠を重んじる調査ジャーナリストとしての自己同一性と巧みに両立させている。彼女の実践が示すのは、没入と客観的評価のバランスを保つ二重のプロセスである。交霊会中は、その体験に完全に身を委ねる。しかし、その後は、すべてのセッションの音声記録をレビューすることで、客観的な分析者としての役割に戻る。このアプローチが、熱狂的な信者になることなく、かといって体験の持つ意味を否定することもなく、この難解なテーマを探求し続けることを可能にしている。

最終的に、レスリー・キーンの事例は、未知の領域、特に超常現象の調査において、厳格なデューデリジェンスと懐疑的な視点を維持することと、個人的・主観的な体験の価値を認め、深く関与することの双方が不可欠であることを示す、説得力のあるモデルである。彼女の探求は、我々が「不可能」と考えるものの境界線は、我々の理解の限界を示すものであり、現実そのものの限界を示すものではないかもしれない、という重要な示唆を与えてくれる。

定義と現象の性質

AI

提示された情報源に基づき、「霊体物質化」と「フィジカル・ミディアムシップ」の定義と現象の性質について、より大きな文脈の中で説明します。


フィジカル・ミディアムシップと霊体物質化の定義

フィジカル・ミディアムシップの定義

フィジカル・ミディアムシップ(物理霊媒現象)は、超常現象の側面の中で最も‌‌驚異的で、不可思議で、説明が非常に困難な側面‌‌として捉えられています。

その基本的な定義は、‌‌PK(念力/サイコキネシス)が、生命体や生きている存在を創造するまでに発生すること‌‌です。この現象は、非常にまれな能力であり、世界中でこの能力を持つ人物はほとんどいません。

霊体物質化の定義と文脈

霊体物質化は、心霊研究の分野で過去150年間にわたり繰り返し報告されてきた現象の中で、最も議論を呼び、かつ刺激的な現象の一つです。この現象の目的は、スピリチュアリズムの文脈において、‌‌死後の世界の証拠を提供する‌‌ことであるとされています。

しかし、その性質上、「こんなことが起こるはずがない」という‌‌驚愕の要素(boggle factor)‌‌があるため、ほとんどの人にとっては受け入れがたい「不可能なこと」として処理され、科学界の大多数からは、受け入れを拒否される傾向にあります。

現象の性質と特徴

1. 科学的検証と困難性

フィジカル・ミディアムシップは、実験室で繰り返し再現できるカード当てや遠隔透視の実験とは異なり、繰り返し再現することができません。

再現が困難である理由として、以下の要因が挙げられます。

  • ‌希少性:‌‌ 能力を持つ者が非常に少ない。
  • ‌エネルギーへの依存:‌‌ 現象のすべてが「エネルギー」、部屋にいる人、状況、霊媒と参加者(シッター)との繋がりにかかっている。
  • ‌社会的なスティグマ:‌‌ この種の大規模なマクロ現象(large-scale macro phenomena)を起こすと主張する人々は、ほぼ例外なく攻撃の対象となり、その人生は悲惨なものにされるため、公に活動することが難しい。

一方で、ユサピア・パラディーノやフラネク・クルスキといった著名な物理霊媒は、かつての研究所で厳密な管理下で研究されており、その記録は詳細に文書化されています。

2. エクトプラズムの役割

霊体物質化の主要な構成要素は‌‌エクトプラズム‌‌です。

  • ‌物質の性質:‌‌ エクトプラズムは霊媒の体から放出される実際の物質であり、過去150年間にわたり様々な霊媒で文書化され、写真に収められてきました。
  • ‌物理的/エネルギー的側面:‌‌ エクトプラズムには物理的な構成要素がありますが、実際には‌‌一種のエネルギーのような物質‌‌です。
  • ‌霊による利用:‌‌ 霊媒と協力する「スピリット・チーム」は、エクトプラズムを用いて、自身を物質化させたり、棒を作って部屋の中の物を動かしたりします。
  • ‌危険性:‌‌ エクトプラズムは非常に敏感であり、不適切な行動や間違いを犯すと、霊媒にとって危険を及ぼす可能性があります。
  • ‌目撃された形成:‌‌ 目撃者(レスリー・ケイン氏など)は、エクトプラズムが光の下で雲のような、あるいは水のような塊として現れ、それが目の前で‌‌固体で物理的な人間の手へと形を変える‌‌様子を観察し、その手に触れて、物理的な感触や、テーブルを叩く音を確認することができました。

3. 主要な現象の具体例

霊体物質化およびフィジカル・ミディアムシップを裏付ける現象として、いくつかの明確な例が挙げられています。

A. 手の蝋型(Wax Molds)

フラネク・クルスキの研究において、ノーベル賞受賞者であるシャルル・リシェを含む科学者たちは、物質化された霊の手に、熱いワックスを浸して手袋状の型を作らせるという方法を採用しました。

  • ‌方法:‌‌ 霊体はワックスで手の周りに手袋を作り、ワックスが乾燥すると霊の手は非物質化し、その蝋型をテーブルや参加者の膝の上に落とします。
  • ‌証拠性:‌‌ これらの蝋型は紙のように薄く、人間の手が破壊せずにそこから抜くことは不可能でした。また、型の中には指が絡み合った二つの手や、成人の手の特徴を持ちながら‌‌子供のサイズしかないもの‌‌があり、部屋の中にいた人間がトリックで作成した可能性を排除する超常的な要素を示していました。

B. 物質通過現象(Matter Through Matter Experiment)

霊媒のスチュアート・アレクサンダー氏とのセッションでは、ウォルターと呼ばれる霊が「物質通過実験」を実施します。

  • ‌現象:‌‌ 霊媒の手首の最も薄い部分に非常に強く締められたケーブルタイ(結束バンド)を、ウォルターが物理的に破壊せずに霊媒の腕を通過させ、腕を空中に持ち上げます。
  • ‌性質:‌‌ 腕が通過する際、「パチン」という音が聞こえますが、これはケーブルタイの構造的損傷ではなく、その瞬間に発生するエネルギーの破裂に関連していると霊は説明しています。高解像度の顕微鏡でケーブルタイを調べても、構造が乱された兆候は見られませんでした。

C. 独立音声とトランペット(Independent Voice and Trumpets)

霊媒の意識的な関与なしに、部屋の別の場所から声が発せられる現象です。

  • ‌トランペット:‌‌ 霊が使用するメガホンのような円錐形の物体(トランペットと呼ばれる)が部屋中を浮遊し、空中で停止して、そこから声が話されることがあります。これは「非常に異世界的な奇妙なもの」として体験されます。
  • ‌声帯の使用外:‌‌ この独立音声は霊媒の喉を使って発せられるものではなく、霊がエクトプラズムを使って「声帯箱」のような構造を創造し、そこに思考を投影して声を生み出していると説明されています。

D. 全身の物質化(Full-Bodied Materialization)

非常にまれな現象ですが、霊媒の体の外で、霊が全身を物質化して、部屋の中を歩いたり、参加者に話しかけたり、触れたりすることが報告されています。この際、霊媒はキャビネットの中に固定された状態にあります。

4. 哲学的・懐疑的な論点

これらの現象が実際に起こることを認めたとしても、‌‌「どのように起こるのか」‌‌という疑問が残ります。

  • ‌PK説 vs. 霊説:‌‌ 哲学的な議論として、これらの現象(指の物質化から全身の物質化まで)は、霊界の霊がエクトプラズムを操作して引き起こしているのか、それともスティーブン・ブロウディ氏が主張するように、‌‌人間によってのみ引き起こされる極端な形のPK‌‌に過ぎないのか、という点があります。
  • ‌証拠性:‌‌ 霊体物質化は死後の世界の証拠と見なされますが、懐疑論者は、霊が「自分はウォルターだ」と主張しても、それが本当に死後の存在であるという証明はないと反論します。
  • ‌意識の力:‌‌ 現象が人間の意識によって引き起こされるにせよ、霊によって引き起こされるにせよ、フィジカル・ミディアムシップは、‌‌意識が物理的な世界を遥かに超えた力を持っている‌‌こと、そして意識が私たちの脳に閉じ込められたものではないという事実を物語っています。

歴史的な事例と科学的研究

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霊体物質化とフィジカル・ミディアムシップに関するこれらの情報源は、これらの現象が‌‌過去150年間にわたり厳密に文書化されてきた歴史‌‌と、‌‌科学的な再現性の困難さ‌‌について、詳しく説明しています。

以下に、歴史的な事例と科学的研究に関する主要な論点を説明します。


1. 科学的検証の困難性と歴史的記録

フィジカル・ミディアムシップは、超常現象の中でも‌‌最も驚異的で、不可思議で、説明が非常に困難な側面‌‌であると同時に、科学的検証の観点からは多くの課題に直面しています。

再現性の問題

これらの現象は、実験室で繰り返し再現できるカード当て実験や遠隔透視実験とは異なり、‌‌繰り返し再現することができません‌‌。この再現性の欠如が、多くの懐疑的な実験者や科学界の主流が、これらの現象の存在を否定する理由の一つとなっています。

現象が再現性に乏しいのは、以下の要因に大きく依存しているためです。

  1. ‌能力を持つ人物の希少性‌‌。
  2. ‌エネルギー、状況、霊媒と参加者(シッター)との繋がり‌‌など、部屋にいるすべての人に依存する「エネルギー」の要素。

過去の研究の厳密性

一方で、初期の心霊研究において、科学者たちが徹底的な研究を行っていた事実が強調されています。

  • 著名な物理霊媒である‌‌ユサピア・パラディーノ‌‌やポーランドの‌‌フラネク・クルスキ‌‌は、当時の研究所で研究されました。
  • 情報源は、当時の科学者たちが現代の科学者と同じくらい徹底した仕事をする能力があったと指摘し、これらの研究が‌‌細心の注意を払って文書化されている‌‌ことを強調しています。

2. 厳密な管理下で行われた歴史的な実験

フラネク・クルスキの研究とワックス型

クルスキは高度な教育を受け、ビジネス界で活躍していた洗練された人物であり、その霊媒能力は家族に受け継がれたものでした。

彼の研究は、フランスの二人の主導的な科学者、ノーベル賞受賞者である‌‌シャルル・リシェ‌‌と‌‌ギュスターヴ・ジュレ‌‌によってパリの研究所で実施されました。

制御の徹底

研究は「ラボ」(研究所)の、窓のない、完全に制御された部屋で行われました。

  • 霊媒(クルスキ)は、詐欺の可能性を完全に排除するため、‌‌両側からシッターに座られ、手足を押さえつけられる‌‌という厳重な管理下に置かれました。
  • 彼らは、霊媒が何も持ち込んでいないことを確認するために検査を行い、厳格な制御を行う方法を熟知した‌‌抜け目のない調査員‌‌でした。

ワックス・グローブの作成

リシェとジュレは、物質化された形態の存在を永続的な記録として残すため、熱いワックス(ろう)の浴槽を用いました。

  • 物質化された霊の形態は、ワックスに手を浸し、手の周りに手袋状の型(パラフィン・グローブ)を作成するように求められました。
  • ワックスが乾くと、霊の手は非物質化し、このワックス製の型がテーブルや参加者の膝の上に落ちました。
  • これらの型は‌‌紙のように薄く‌‌、人間が手を破壊せずに型から引き抜くことは不可能でした。
  • さらに、証拠性の高い要素として、‌‌指が絡み合った二つの手‌‌の型や、‌‌成人の手の特徴を持ちながら子供のサイズしかない‌‌型が発見されました。これは、部屋にいた人間によるトリックの可能性を排除する超常現象的な要素を示しています。
  • 科学者たちは、霊媒を含む誰にも告げずにワックスに染料を混ぜるなどの厳密な管理も行いました。

マージェリー・クランドンとフーディーニの論争

20世紀初頭には、ハイソサエティの女性霊媒である‌‌マージェリー・クランドン‌‌(ミナ・クランドン)も非常に有名でした。彼女は科学委員会の前で現象を実演し、『サイエンティフィック・アメリカン』誌から賞を受け取る寸前まで行きましたが、魔術師‌‌フーディーニ‌‌が介入したことで受賞に至りませんでした。彼女の霊媒現象は、後にスチュアート・アレクサンダー氏と働くことになるのと同じ霊体‌‌ウォルター‌‌によって引き起こされたとされています。

3. 現代の検証と物理現象の記録

スチュアート・アレクサンダーの「物質通過実験」

現代の物理霊媒の一人である‌‌スチュアート・アレクサンダー‌‌氏も研究対象となっており、彼とのセッションはレスリー・ケイン氏によって詳細に検証されています。アレクサンダー氏は、過去の霊媒が受けた攻撃を恐れ、生涯のほとんどを公に活動することなく、非常に私的に過ごしてきました。

レスリー・ケイン氏は、霊媒を信頼する以前に、部屋、椅子、テーブルをチェックし、彼を椅子に拘束するために使用される結束バンド(ケーブルタイ)を持参するなど、‌‌徹底的なデューデリジェンス‌‌を実施しました。

ケーブルタイの通過

アレクサンダー氏の現象の一つは、霊体ウォルターが実行する「‌‌物質通過実験‌‌」です。

  • この実験では、ケーブルタイが霊媒の‌‌むき出しの手首の最も薄い部分に非常にきつく締め付けられます‌‌。
  • ウォルターが指示を出すと、アレクサンダー氏の腕が空中に舞い上がり、ケーブルタイを物理的に切断したり破壊したりすることなく、腕がタイを通過します。
  • 通過時に「パチン」という音がしますが、ウォルターはこれをケーブルタイの構造的損傷ではなく、その瞬間に発生する‌‌エネルギーの破裂‌‌に関連していると説明しました。
  • 実験後に持ち帰られたケーブルタイを、物理素材を調べる最高解像度の顕微鏡で検査した結果、‌‌その構造が乱された兆候は全く見られませんでした‌‌。

著名な目撃者と文献

物理霊媒現象の文献は非常に広範であり、著名な科学者による目撃証言が存在します。

  • ノーベル賞受賞者‌‌シャルル・リシェ‌‌は、全身物質化現象を目撃しました。
  • 英国王立科学協会会長の‌‌ウィリアム・クルックス卿‌‌も、全身物質化を目撃しています。
  • 著名なドイツ人作家‌‌トーマス・マン‌‌は、霊媒現象を目撃した際、その衝撃と見ているものが不可能であるという感覚から、‌‌船酔いのような気分になった‌‌と非常に雄弁に記述しています。

4. 哲学的論争と意識の力

これらの研究と歴史的記録は、これらの驚異的な現象が実際に起こった(または起こっている)という主張を裏付けるものですが、その‌‌原因‌‌については議論が残っています。

  • ‌PK説 vs. 霊説:‌‌ この現象は、死後の世界の霊がエクトプラズムを操作して引き起こしているのか、それとも、分析哲学者スティーブン・ブロウディ氏が提唱するように、‌‌人間によってのみ引き起こされる極端な形の念力(PK)‌‌なのか、という哲学的な論争があります。
  • ‌意識の証言:‌‌ 現象が何によって引き起こされるにせよ、フィジカル・ミディアムシップは、‌‌意識が物理的な世界を遥かに超えた力を持っており‌‌、意識が単に私たちの脳に閉じ込められたものではないという事実を物語っています。

これらの歴史的・科学的な文書や証言は、霊体物質化が「不可能である」として多くの科学者や一般人から拒否される「驚愕の要素(boggle factor)」にもかかわらず、過去の厳密な調査によって裏付けられてきた、驚くべき超常現象であるという文脈を提供しています。

現代の事例:Stuart Alexander

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「霊体物質化」と「フィジカル・ミディアムシップ」の文脈において、現代の事例である‌‌スチュアート・アレクサンダー氏‌‌(Stuart Alexander)に関する情報源の記述は、現象の性質、厳密な検証、そして現代の霊媒が直面する困難な状況について詳細に示しています。

1. 霊媒の背景と検証

卓越した能力と長期にわたる開発

スチュアート・アレクサンダー氏は、世界でも非常にまれな能力を持つフィジカル・ミディアムの一人であり、その能力の開発には‌‌信じられないほどの忍耐力‌‌が必要であり、‌‌40年間‌‌にわたってこの活動を続けています。

彼は、当初自身が霊媒だとは思っていませんでしたが、友人たちと座ることを楽しみ、徐々に現象が起こり始めました。現象の進展は非常に遅いプロセスであり、例えば、エクトプラズムから手の物質化を目撃できるまでには、ウォルター(霊体)が‌‌何年もかけて取り組む‌‌必要がありました。

徹底的なデューデリジェンス

調査ジャーナリストであるレスリー・ケイン氏は、アレクサンダー氏とのセッションに参加するにあたり、‌‌徹底的なデューデリジェンス(適正評価)‌‌を行いました。

  • セッション中に出入りする者がいないこと、椅子やテーブルをチェックし、部屋の状況を確認しました。
  • 霊媒が椅子に拘束される際に使用されるケーブルタイ(結束バンド)について、トリックでないことを確認するため‌‌自前のケーブルタイを持参‌‌しました。
  • ケイン氏は、彼が長年にわたり活動しており、これまでに詐欺師であれば発覚しているはずだと考えた上で、彼を信頼できる人物と判断しました。

プライバシーと社会的なスティグマ

アレクサンダー氏は、キャリアのほとんどにおいて‌‌公的な宣伝を望まず‌‌、現在もその活動を最小限に抑えています。

これは、この種の大規模な現象を起こすと主張する人々が、ほぼ例外なく攻撃の対象となり、‌‌人生を悲惨なものにされる‌‌という、他の物理霊媒の「恐ろしい運命」を彼が認識しているためです。彼は、自身が去った後の家族への影響や遺産について深く懸念しています。

2. 物質化現象(エクトプラズムと手の形成)

アレクサンダー氏の霊媒現象の中心は、‌‌エクトプラズム‌‌の生成と、それを利用した物質化です。

  • ‌エクトプラズムの性質:‌‌ エクトプラズムは、霊媒の体から放出される実際の物質ですが、実際には物理的な構成要素を持つ‌‌一種のエネルギーのような物質‌‌です。
  • ‌形成の目撃:‌‌ ケイン氏は、光の下でエクトプラズムが‌‌雲のような、あるいは水のような塊‌‌として現れるのを観察し、それが目の前で‌‌固体で物理的な人間の手‌‌へと形を変えるのを直接目撃しました。
  • ‌物理的接触:‌‌ 物質化された手に触れることができ、それが‌‌固体の物理的な人間の手‌‌であることを確認しました。その手は、物理的な存在であることを示すためにテーブルを叩くこともありました。
  • ‌危険性:‌‌ エクトプラズムは非常に敏感であり、不適切な行動や間違いを犯すと、霊媒にとって‌‌危険を及ぼす可能性‌‌があります。

3. 「物質通過実験」と科学的検証

アレクサンダー氏の霊体ウォルターが実施する最も驚異的な現象の一つが「‌‌物質通過実験(matter through matter experiment)‌‌」です。

  • ‌実験内容:‌‌ ケーブルタイが、霊媒の‌‌むき出しの手首の最も薄い部分に、非常にきつく締め付けられます‌‌。ウォルターが指示を出すと、アレクサンダー氏の腕は物理的にタイを切断したり破壊したりすることなく、空中へ舞い上がり、タイを通過します。
  • ‌通過音の解釈:‌‌ 腕が通過する際、「パチン」という音が聞こえますが、ウォルターはこの音がケーブルタイの構造的損傷ではなく、その瞬間に発生する‌‌エネルギーの破裂‌‌に関連していると説明しています。
  • ‌科学的確認:‌‌ ケイン氏は、現象後に受け取ったケーブルタイを、物理的な物質の分子構造を調べるための‌‌最高解像度の顕微鏡‌‌で検査させましたが、‌‌構造が乱された兆候は全く見られませんでした‌‌。
  • ‌懐疑論への反論:‌‌ マジシャンも同様のことができると懐疑的な意見がありますが、ケイン氏は、ケーブルタイが腕にどれほどきつくロックされているかを部屋にいれば理解でき、これがトリックではないと確信しています。

4. 霊体ウォルターと歴史的つながり

アレクサンダー氏の現象の責任者である霊体は、‌‌ウォルター・スティンソン‌‌と名乗っています。

  • ‌歴史的同一性:‌‌ このウォルターは、1920年代に活躍した著名な霊媒‌‌マージェリー・クランドン‌‌(ミナ・クランドン)の亡くなった兄弟であるウォルターと‌‌同一人物である‌‌とされています。
  • ‌再挑戦の動機:‌‌ ウォルターは以前(マージェリーを通じて)活動した際に「完全に失敗した」と感じ、二度と活動しないと誓っていましたが、マージェリーが不公平に扱われた状況を‌‌改善するために再挑戦したい‌‌という思いから、アレクサンダー氏に惹きつけられたと説明されています。
  • ‌生存の示唆:‌‌ もし彼が100年前に現象を起こしたのと同じ霊であるならば、それは「実際の生存」の証拠として示唆的です。

5. その他の物理現象:独立音声と全身物質化

独立音声とトランペット

アレクサンダー氏のセッションでは、彼の発声器官を使わずに、部屋の別の場所から声が発せられる‌‌独立音声‌‌も発生します。

  • 霊体は、メガホンのような円錐形の物体(‌‌トランペット‌‌)を使用して音声を伝えます。
  • トランペットは部屋中を浮遊し、空中で静止して、そこから声が話されることがあります。これは「非常に異世界的な奇妙なもの」として体験されます。
  • 霊体は、エクトプラズムを使って「声帯箱」のような構造を創造し、そこに思考を投影して声を生み出していると説明されています。

全身物質化

非常に稀な現象として、アレクサンダー氏と働く霊体の一人である‌‌バーネット博士‌‌(Dr. Barnett)が、‌‌全身を物質化‌‌させることがあります。

  • ‌準備:‌‌ この現象が起こる際、霊媒はキャビネットに入り、椅子に固定されます。
  • ‌目撃された接触:‌‌ ケイン氏は、バーネット博士が彼女の前に立ち、‌‌非常に大きな両手を彼女の頭の上に置いて‌‌、彼が物理的な形であることを示す言葉を話しているのを体験しました。
  • ‌特異性:‌‌ 物質化された霊体は、数分前には存在しなかったにもかかわらず、エクトプラズムを用いて物理的な形態を創造します。

スチュアート・アレクサンダー氏の事例は、物理霊媒現象が現代においても継続していること、そして厳格な検証を通じて、人間の意識や霊体が物理法則を超えた力を発揮している可能性を示唆する具体的な証拠(ケーブルタイの構造が乱されない物質通過など)を提供しているという点で、非常に重要です。

情報源

動画(53:57)

Spirit Materialization with Leslie Kean (4K Reboot)

https://www.youtube.com/watch?v=1KTfWD3MccU

2,000 views 2025/12/04

(2025-12-04)