甚野博則 : 介護の二重崩壊:現場の闇と2026年への危機感
前置き+コメント
情報源では悲観的な将来予測になっているが、本日の別記事、
AI Revolution : 次世代の人型ロボット:2025年の進化と世界情勢
が現実化すれば、一気に様変わりする筈。
つまり…。我々の世代は、実質的に「ロボットに介護され、ロボットに看取られながら死ぬ」ことになる。人間は他の人間よりもロボットに感謝し、ロボットに親しみを実感するするようになる。
要旨
介護の二重崩壊:現場の闇と2026年への危機感
このソースは、ノンフィクションライターの甚野博則氏が、日本の介護保険制度が直面している「二重の崩壊」について解説した番組内容をまとめたものです。全国で訪問介護 事業所が消滅している現状や、人手不足を背景とした介護の質の著しい低下、さらには高齢者虐待や不正請求といった深刻な現場の実態が語られています。甚野氏は、現場を支える外国人人材やテクノロジーの重要性を説く一方で、円安による人材流出への懸念も示しています。また、2026年に向けた介護報酬のサブスク化(定額制)などの新たな政策の動きと、それが利用者や事業者に与える影響についても鋭く分析しています。最終的に、介護を「自分事」として捉え、システムの不備や運営の不透明さに目を向けることの重要性を強調する内容となっています。
目次
- 前置き+コメント
- 要旨
- 日本の介護業界:二重崩壊のリスクと2026年への展望
- 介護業界の「崩壊」の真相:これから学ぶ人のための6つの論点整理
- 日本の介護業界が直面する「二重崩壊」のリスク:現状分析と2026年への展望
- 知らないと危ない!「介護崩壊」の始まりと、自分と家族を守る方法
- 現状の課題
- システム上の欠陥・構造
- 超高級老人ホームの光と影
- 情報源
日本の介護業界:二重崩壊のリスクと2026年への展望
エグゼクティブ・サマリー
ノンフィクションライター甚野博則氏の分析によると、日本の介護業界は、サービス提供者の不足という「量の崩壊」と、虐待や不正請求に代表される「質の崩壊」が同時に進行する「二重崩壊」の深刻な危機に直面している。この危機は、介護事業所が存在しない自治体が全国に100町村あるという事実や、過去最多を更新し続ける倒産件数によって具体的に示されている。
現場では慢性的な人材不足が続いており、外国人労働者が重要な担い手となっているが、近年の円安により日本で働く魅力が薄れ、人材確保はさらに困難になっている。質の面では、身体的・精神的な虐待の増加や、介護サービスを提供せずに公金を不正に請求する悪徳業者の存在が、制度の根幹を揺るがす問題となっている。
政府は対策として、2026年に向けて訪問介護の「定額制(サブスクリプションモデル)」導入を検討しているが、これもまた新たな不正の温床となるリスクを孕んでいる。多くの人々が自身や家族の問題となるまで関心を持たない「当事者意識の欠如」が、この構造的な問題をさらに根深いものにしている。
1. 介護業界の「二重崩壊」:量と質の同時劣化
甚野氏は、現在の介護業界が直面している危機を「量と質の二重崩壊」と表現している。これは、介護サービスを提供する事業者の数(量)が物理的に減少し、同時に提供されるサービスの内容(質)も著しく低下している状況を指す。
1.1. 量の崩壊:サービス提供体制の危機
量の崩壊は、主に事業所の不在、記録的な倒産、そして深刻な人材不足という三つの側面から明らかになっている。
- 訪問介護の危機と事業所の不在
- 2023年4月時点で、当時の厚生労働大臣が、全国に介護事業所が存在しない町村が100あると公式に認めた。
- これは、介護保険料を平等に支払っているにもかかわらず、住んでいる地域でサービスを受けられない住民が存在することを示している。
- 事業所がない地域の住民は、他の市町村からの連携によって何とかサービスを維持しているが、その実態は「綱渡り状態」である。
- 特に北海道のような広大な地域では、隣町から介護者が来るだけで1時間以上かかるケースもあり、人材不足に拍車をかけている。
- 記録的な倒産件数と経営難
- 帝国データバンクや東京商工リサーチの調査によると、介護事業所の倒産件数は「うなぎのぼ り」で増加しており、2000年の介護保険制度創設以来、過去最多を記録している。
- 倒産の背景には、売上が伸びず経営が立ち行かなくなるという根本的な問題がある。
- 経営者が夜逃げするようなケースも発生しており、手広く経営している法人が倒産した場合、複数の施設が同時に運営不能に陥るリスクがある。
- 深刻化する人材不足
- 公式な推計でも20万〜30万人の介護人材が不足するとされているが、甚野氏が取材する現場レベルの感覚では「もっと足りない」という声が強い。
- 求人広告を出しても人が集まらず、介護サービスの提供が困難になるという悪循環に陥っている。
- この人材不足を補う手段として期待されるのは「外国人とテクノロジー」しかないと指摘されている。
1.2. 質の崩壊:虐待と不正の蔓延
質の崩壊は、利用者の尊厳を脅かす虐待の増加と、制度を悪用する業者の存在によって特徴づけられる。
- 増加する高齢者虐待
- 質の低下が最も顕著に表れているのが、高齢者虐待件数の増加である。
- 虐待は、殴る蹴るといった身体的なものだけでなく、精神的虐待(例:認知症の高齢者に屈辱的な文章を書かせて笑う)や経済的虐待も含まれる。
- 表面化しにくい精神的虐待を含めると、水面下にはさらに多くの事案が存在する可能性が高い。
- 悪徳業者の存在と不正請求
- 最も悪質とされるのが、実際には介護をしていないにもかかわらず、サービスを提供したと偽って公金(介護保険料)を不正に請求する「ブラック業者」の存在である。
- 利用者が認知症である場合などは発覚しにくく、内部告発がなければ行政も動けないため、問題が表面化しにくい構造がある。甚野氏は「実は結構たくさんあると思う」と述べている。
- こうした業者への対策が不十分なまま公金を投入しても、不正に資金が流れるだけで、業界全体の健全化には繋がらない。
- 表面化しない質の低下
- 統計データには表れない形での質の低下も進行している。
- 具体例として、業績悪化を理由に職員研修を中止したり、人件費削減のために経験豊富なベテラン職員を解雇して未経験の新人に置き換えたりするケースがある。
- 行政のウェブサイト等では職員数が同じでも、その内実(経験やスキル)は大きく異なり、実質的な介護の質は著しく低下している可能性がある。
2. 制度の構造的課題と主要な関係者
介護業界の崩壊は、個々の事業所の問題だけでなく、制度全体が抱える構造的な課題に起因している。